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お腹の音が鳴り止まない。
頭がぼーっとして朝ごはんを食べる気にもなれない。
青兎
そう聞きたくても
悩みを相談できた唯一の相手は
もうこの家には居ない。
青兎
しばらくして
青兎
今の自分には、楽しかった頃の思い出が沢山詰まったこの家で
とても生活する気にはなれない。
そこで
青兎
外に出ることにした。
1番楽なジャージに着替え
玄関への扉を開ける。
数日ぶりの外の冷たい空気はとても心地よくて
自然と足が前に出ていた。
特に何も考えず慣れ親しんだ町を巡る。
幼い頃から見てきた町だ。
ここでも母との思い出が鮮やかに蘇ってきて
泣いてたまるかと涙をこらえる。
そしてある角を曲がった瞬間
青兎
目の前にかなり古びた鳥居が現れた。
その立派な朱色の鳥居にとても惹かれ
僕は吸い込まれるように鳥居の下をくぐって行った。
その先には
木漏れ日に包まれた小さな神社が
ぽつんとたたずんでいた。
僕はいつの間にか賽銭箱の前に立っていた。
青兎
自分でも不思議に思った。
ちょうど休みたいと思っていたところだったので
そのまま神社の階段に座る。
そこは今の僕にはとても居心地が良かった。
暖かい木漏れ日が自分のことを励ましてくれているような
応援してくれているような
そんな気がして、目が潤んでしまう。
すると当然
ガサガサッ
どこからか草をかき分ける音が聞こえた。
青兎
僕は驚いて、周りを見回した。
青兎
視界の右側に
朱色の髪を結わえた少年が立っているのが見えた。
その少年は顔まで朱色に染めて
こちらを見つめている。
赤兎
青兎
あまりにこちらをじっと見つめてくるものだから
なんだか気まずくなり、顔を逸らしてしまった。
青兎
青兎
段々不安になってきて、もう一度朱色髪の少年を向くと
その少年は私の隣に腰掛けていた。
唐突にここまで距離の詰めて来られると
誰でも驚くだろう。
もちろん僕はとても驚いた。
青兎
咄嗟に声が出ていた。
すると
少年もとても驚いた顔をしている。
青兎
青兎
疑問ばかりが頭に浮かんだ。
赤兎
急な質問に僕は反射的に答えた。
青兎
その瞬間彼の表情がより1層輝いた。
赤兎
彼の朱色の髪が揺れる。
青兎
青兎
青兎
青兎
青兎
僕が目前の情報に追いつけず悶々としている間に
彼は僕をどう呼ぶか勝手に決定したり
名前の漢字を覚えようと必死になっている。
赤兎
と、どかどか提案をしてくる。
母のことで落ち込んでいた自分は
どこかへ行ってしまったようだ。