TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

お腹の音が鳴り止まない。

頭がぼーっとして朝ごはんを食べる気にもなれない。

青兎

(僕は一体どうすればいい?)

そう聞きたくても

悩みを相談できた唯一の相手は

もうこの家には居ない。

青兎

(受け入れられそうにない…)

しばらくして

青兎

(とにかくこの家から離れたい。)

今の自分には、楽しかった頃の思い出が沢山詰まったこの家で

とても生活する気にはなれない。

そこで

青兎

ジャージどこやったっけ…

外に出ることにした。

1番楽なジャージに着替え

玄関への扉を開ける。

数日ぶりの外の冷たい空気はとても心地よくて

自然と足が前に出ていた。

特に何も考えず慣れ親しんだ町を巡る。

幼い頃から見てきた町だ。

ここでも母との思い出が鮮やかに蘇ってきて

泣いてたまるかと涙をこらえる。

そしてある角を曲がった瞬間

青兎

わ、え

目の前にかなり古びた鳥居が現れた。

その立派な朱色の鳥居にとても惹かれ

僕は吸い込まれるように鳥居の下をくぐって行った。

その先には

木漏れ日に包まれた小さな神社が

ぽつんとたたずんでいた。

僕はいつの間にか賽銭箱の前に立っていた。

青兎

(ただの神社に惹かれすぎじゃないか?)

自分でも不思議に思った。

ちょうど休みたいと思っていたところだったので

そのまま神社の階段に座る。

そこは今の僕にはとても居心地が良かった。

暖かい木漏れ日が自分のことを励ましてくれているような

応援してくれているような

そんな気がして、目が潤んでしまう。

すると当然

ガサガサッ

どこからか草をかき分ける音が聞こえた。

青兎

(誰か来たのか?)

僕は驚いて、周りを見回した。

青兎

ん?

視界の右側に

朱色の髪を結わえた少年が立っているのが見えた。

その少年は顔まで朱色に染めて

こちらを見つめている。

赤兎

青兎

(なんなんだ…?)

あまりにこちらをじっと見つめてくるものだから

なんだか気まずくなり、顔を逸らしてしまった。

青兎

(失礼だったかな…)

青兎

(嫌な気分になってないかな…)

段々不安になってきて、もう一度朱色髪の少年を向くと

その少年は私の隣に腰掛けていた。

唐突にここまで距離の詰めて来られると

誰でも驚くだろう。

もちろん僕はとても驚いた。

青兎

え、急に隣…

咄嗟に声が出ていた。

すると

少年もとても驚いた顔をしている。

青兎

(なぜこの人は驚いているんだ?)

青兎

(驚きたいのはこっちなんだが…)

疑問ばかりが頭に浮かんだ。

赤兎

僕の名前は赤兎!君の名前は?

急な質問に僕は反射的に答えた。

青兎

青兎です。

その瞬間彼の表情がより1層輝いた。

赤兎

青兎!青兎かー!!漢字はどう書くの?青兎くんって呼んでもいいかな?

彼の朱色の髪が揺れる。

青兎

(揺れているけど)

青兎

(なんだか耳みたいな…)

青兎

(三角形の耳…?)

青兎

(頭の上には耳は生えないだろ…)

青兎

(犬かなにか?)

僕が目前の情報に追いつけず悶々としている間に

彼は僕をどう呼ぶか勝手に決定したり

名前の漢字を覚えようと必死になっている。

赤兎

青兎くん!まだここに居る予定?もっと話そうよ!!

と、どかどか提案をしてくる。

母のことで落ち込んでいた自分は

どこかへ行ってしまったようだ。

この作品はいかがでしたか?

14

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚