おじさんに絡まれたあのあと。 ふたりは、屋台の灯りから少し離れた、静かな道を歩いてた。
手は、ずっと繋いだまま。 でも、元貴の指先はさっきからずっと、ぎゅうって滉斗の手を握ってる。
若井滉斗
……手、めっちゃちっちゃくなってない?今日
大森元貴
……ちっちゃくなってねぇし。
ただ……あったかいだけ
ただ……あったかいだけ
若井滉斗
んー……甘えんぼモード継続中だな?
大森元貴
……ダメかよ
若井滉斗
ダメなわけない
むしろ……最高です(にやにや)
むしろ……最高です(にやにや)
少し歩いて、公園のベンチにふたりで座る。 滉斗が隣に座った瞬間、元貴がひょこっともたれかかる。
大森元貴
ん……もう、やだ……
歩きたくない……ずっとこうしてたい……
歩きたくない……ずっとこうしてたい……
若井滉斗
おいおい、完全に赤ちゃんじゃん今日……
大森元貴
……赤ちゃんだよ
だから、頭なでて、よしよしってして
だから、頭なでて、よしよしってして
若井滉斗
よしよし(即)
大丈夫、えらかったな、元貴……すっごく頑張った
大丈夫、えらかったな、元貴……すっごく頑張った
大森元貴
……もう、お前がいないと、むり。
ひとりやだ。ずっと、いて
ひとりやだ。ずっと、いて
若井滉斗
いる。ずっと、いるよ
離れない。何があっても、絶対
離れない。何があっても、絶対
大森元貴
なあ……今夜だけ、“赤ちゃんでいい”って言って
若井滉斗
……ううん、元貴は毎日赤ちゃんでいいよ
俺が、全部甘やかすから
俺が、全部甘やかすから
静かな夜風が、ふたりの髪をそっとなでる
この夏祭りは、 きっとずっと、忘れられない夜になる。