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ー私に夢を見させてー
〜第3話〜
練習が一段落して、体育館に水分補給の時間が流れた。
「ナイスレシーブ!」
「今のコースえぐ!!」
楽しそうな声が飛び交う中、
私はスコアシートを抱えてベンチに座っていた。
視線の先には、
転がったままの一つのバレーボール。
―近いのに、遠い。
武田鉄矢
差し出されたのは、練習用の1つのボールかご。
夢々ユユ
はいと答え、ボールを拾い集める。
床に手を伸ばした、その瞬間―
一瞬だけ、
体が“打つ準備”をしてしまった。
夢々ユユ
慌てて動きを止め、
何事も無かったかのようにボールをかごに入れる。
「ゆゆ?」
振り向くと、日向が立っていた。
日向翔陽
夢々ユユ
少し早口で笑って誤魔化す。
日向翔陽
コートに戻っていく日向を見送りながら、
私はそっと手のひらを見つめた。
まだ覚えている。
夢々ユユ
小さく呟いた言葉は、
体育館の音に溶けて消えた。
でも、確かに、
心の奥で何かが目を覚ました