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_それは静かに忍び寄る"闇"だった。

犯人の正体は不明なまま。

だが、次はどちらが先に消えるかという赤文字の脅迫は

確かに二人を追い詰めていた。

及川 徹

警察には?

及川が問いかけると、監督は苦々しい表情を浮かべた。

監督

調査は進んでいる。

監督

ただ校内外の人間の可能性が高い。

監督

情報が漏れないよう、慎重に動いている。

及川 徹

つまり、まだ誰かは俺たちのすぐ近くにいるかもしれないってことか…

及川は歯を食いしばった。

夜空の存在が自分の中でどれだけ大きくなっていたか_

脅迫され、狙われて、ようやく気づいた。

(このままじゃ、きっと後悔する)

その夜。

夜空は1人、自宅のベランダから空を見上げていた。

天音 夜空

どうして、私はいつも人に迷惑をかけちゃうんだろう…

目を閉じれば、過去の言葉が蘇る。

君がいなければ、あの人は傷つかなかったのに。

全部あんたのせいだ。

そんな声が心を締め付ける。

けれど今は、及川徹の声も胸の奥で反響していた。

俺は天音ちゃんを信じてる。

好きな人が出来たから、強くなれたんだ。

夜空はそっとスマホを手に取ると及川にメッセージを送った。

校門前。

夜の静けさの中で、二人は並んで歩いた。

天音 夜空

ねぇ、及川君。怖くないの?

夜空がポつりと問いかける。

天音 夜空

私と一緒にいるとこで狙われたりするの。

天音 夜空

…また壊れちゃうかもしれないのに。

及川は立ち止まり、夜空の肩を掴んだ。

及川 徹

俺はね、昔は怖かった。

及川 徹

壊れるのも、失うのも、負けるのも。

天音 夜空

及川 徹

でも、キミに出会って変わった。

及川 徹

失うのが怖いのは、君と本気で向き合いたいからだって気づいたんだ。

そして_

及川 徹

だからもう一度ちゃんと伝えるよ。

風が優しく吹いた瞬間、及川の瞳が夜空を真っ直ぐ見つめる。

及川 徹

俺は、天音夜空が好きだ。

及川 徹

全部知った上で、それでもそばにいたいと思ってる。

夜空の瞳が潤んだ光をたたえる。

天音 夜空

そんな風に言ってもらえるなんて…私……

その言葉は涙に溶けて声にならなかった。

でもその夜、夜空はようやく自分がひとりじゃないと信じられた。

だが、翌朝。

校舎の裏に置かれた白い箱の中に

一通の手紙と共に

制服の切れ端

が見つかる。

手を引かなければ、次は本当に起きる。

そして監視カメラには制服を着た青葉城西の生徒が映っていた。

その正体はまだ、誰にも分からない。

さよならを知らない君へ

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