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静かな嵐が青葉城西に迫っていた。

『制服の切れ端』

『脅迫文』

『校内犯』

全てが揃ってなお、真相は霧の中にあった。

岩泉 一

今、誰を疑ってる?

控え室で岩泉が問う。

及川はわずかに口を結び、視線を宙に彷徨わせる。

及川 徹

正直、全員をって言いたくなる。

及川 徹

でも、信じたいんだよ。チームを。

及川 徹

けど、実際に制服を着た誰かが彼女を脅してる。

岩泉 一

及川、これ以上何かあったら、俺はもう見てられないぞ。

それは親友としての警告だった。

その日の放課後。

夜空は図書室で偶然あのノートを見つけた。

落ちていたのは誰かの持ち物と思われる古びたメモ帳。

中には歪んだ文字でこんな言葉が並んでいた。

『壊してしまえばいなくなる。』

『彼女のせいで私は失った。』

『あの時のようにまた全部消えればいい。』

(この文字、見覚えがある。)

手が震える。

思い出したくもない記憶が頭の奥から這い出してくる。

(この筆跡、中学の時私を追い詰めた彼女と同じ…)

天音 夜空

七瀬…さんなの…?

夜空は震える声で言葉を絞り出した。

七瀬は図書室の入口で立っていた。

七瀬

見ちゃったんだ。そう、ならもう隠さない。

七瀬はゆっくりと近ずいて来る。

その瞳には憎悪と何処か哀しみに似た光が宿っていた。

七瀬

私ね、ずっと思ってたの。

七瀬

あんたさえいなければ、全部上手くいってたのにって。

天音 夜空

…どうして?

七瀬

好きだったの。彼のこと。

七瀬

及川徹を。

七瀬

あんたよりずっと前から。ずっと強く。

夜空の瞳が揺れる。

七瀬

でも、彼は…私じゃなくて、あんたを見た。

七瀬

何も持ってない、弱くて、作り笑いしかできないあんたを_

天音 夜空

だからって……!

七瀬

奪ってやろうと思った。全部。場所も、信頼も、そして彼自身も。

七瀬の笑顔は、まるで壊れたガラスのようだった。

七瀬

でもね、どんなに脅しても、彼はあんたを守った。

七瀬

私を睨んで、私の投稿を正義で潰した。

天音 夜空

ごめんなさい。

夜空のその言葉に七瀬の表情がピクりと動いた。

七瀬

…は?

天音 夜空

私、誰かに恨まれて、誰かを傷つけてたんだって、今、ちゃんと気づいた。

涙が頬をつたう。

天音 夜空

だけど、私は逃げない。

天音 夜空

今度こそ、向き合うから。

天音 夜空

貴方とも、自分の過去とも。

その姿を及川は静かに見ていた。

後日、七瀬は全てを認め停学処分を受けることになった。

脅迫の真実は明らかになり、学校にもようやく静けさが戻り始めていた。

さよならを知らない君へ

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コメント

2

ユーザー

あと1%…また明日…いや限界までいくか? 今回も最高すぎる

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