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主
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第106話『超えてはならない線』
朝は、あっけないほど普通に始まった。
カーテン越しの光は柔らかく、空気は澄んでいて、らんはいつも通りの時間に目を覚ました。
らん
寝返りを打ち、天井を見る。
頭は重くない。
痛みも、ない。
――静かすぎる朝だ。
そう思った瞬間、胸の奥で、何かが“引っかかった”。
らん
理由は分からない。
ただ、確かにそこに“触れかけた”感覚がある。
名前。
声。
誰かの笑い方。
――近い。
今までで一番、近い。
らんは、無意識に息を止めた。
影は、その兆しを“予測”していた。
主が目を覚ます前から、いや、眠りが浅くなった時点で、すでに分かっていた。
――今日は、来る。
今までとは違う。
痛みだけじゃない。
断片じゃない。
これは、“思い出す”。
らんの影
影は、低く呟いた。
それは祈りじゃない。
懇願でもない。
判断だった。
らんは、ベッドに腰を下ろしたまま、なぜか胸元を押さえていた。
らん
鼓動が、少し速い。
視界の端で、桜色の何かが揺れた気がした。
誰かが、名前を呼ぶ。
はっきりと――“声”として。
らん
その瞬間。
影は、動いた。
今までのように、痛みを引き寄せるのではない。
もっと奥へ。
主の中にある“繋がり”そのものへ、手を伸ばす。
――切り離す。
主が取り戻すべき記憶を、主の手が届かない場所へ。
らんの影
静かな声。
命令だった。
らんの意識が、ふっと軽くなる。
らん
さっきまで、そこにあった“何か”が、消えた。
名前も、声も、掴みかけていた感覚ごと。
らん
首を傾げる。
違和感はある。
けれど、痛みはない。
頭は、驚くほど冴えていた。
らん
そう結論づけて、立ち上がる。
それ以上、考えようとはしなかった。
影の身体に、激痛が走った。
予兆はなかった。
いきなりだった。
らんの影
右腕が、音もなく崩れる。
続いて肩、胸元。
輪郭が、削れるのではない。
“欠ける”。
ごそり、と存在の一部が持っていかれる感覚。
影は、床に膝をついた。
らんの影
息が、うまくできない。
だが――消えない。
今までなら、この損耗は“消失”に直結していた。
なのに。
影は、まだここにいる。
むしろ――
身体の残った部分が、以前より“はっきり”している。
濃い。
安定している。
らんの影
理解してしまった。
記憶を切り離した代償として、自分は“存在を得た”。
主の回復を妨げることで、自分の輪郭を固定した。
――完全な越境。
影は、ゆっくりと立ち上がった。
胸元に残る空白が、ずきずきと痛む。
それでも。
らんの影
その言葉は、主に向けたものじゃない。
自分自身への、言い聞かせだった。
主は、平気だ。
苦しんでいない。
今日も、普通に過ごせてる。
それなら――
らんの影
正しいかどうかは、もう考えない。
考えれば、壊れる。
影は、主の足元に落ちる影へと戻る。
欠けたまま。
歪んだまま。
それでも、消えずに。
らんは、部屋を出る前に、ふと立ち止まった。
らん
理由は分からない。
ただ、“何かを忘れた”気がした。
胸の奥が、静かすぎる。
らん
そう言って、ドアを開ける。
朝の光が、廊下に溢れた。
その足元で――
影は、以前より濃く、確かに“そこに”存在していた。
守るために。
奪ったまま。
もう、戻れない場所に立っていることを、主だけが知らないまま。
第106話・了
主
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡340
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コメント
3件
嫌な予感がするのは気のせいですか…?
ああああ、投稿時間ミスりました ……まあいっか( ᐛ )(おい)