テラーノベル
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ガチャリ、
重い鉄の扉が閉まり、机と椅子と時計しかない冷たい部屋に静寂が訪れる
うり
うり
ここは、警察の地下にある地味で薄暗くて
冷え切った取調室
俺はパイプ椅子に座らされ、両手首にはガッチリととても頑丈な手錠がかけられている
マフィアの用心棒として裏社会を生きてきた俺が
警察のがさ入れを喰らって不覚にも捕まってしまった
手錠を引きちぎらんとばかりの勢いでガチガチと鳴らす
だけど、手錠はビクともしない
俺は机を睨みつけた
うり
自分たちの組織のやつらしか知らないはずのアジトが、一瞬で警察に包囲された
理由はわかる
うり
うり
俺の身長は平均ながらも、生まれながらの資質と実績で上まで昇りつめた
そこらの警察には複数人を相手にしても負ける気はしない
なのに、
今いるこの地味な取調室の中で身動きが取れなくなって、
そしてあんな鉄格子で囲まれた部屋に入れられるなんて考えたら
苛立ちで頭が狂いそうになる
そのとき、静寂を破って目の前の鉄の扉が再び開き、一人の男が入ってきた
??
??
??
その男には、見覚えがあって
うり
うり
うり
そいつがにっこりと笑みを浮かべると、俺の心臓が冷たい音を立てる
仕立てのいいスーツを着こなし、警察のIDバッチを胸に光らせている男
それは、俺の組織に最近は言ってきたばっかりの『地味で使えない下っ端』と噂され
いっつも俺の後ろを「うり先輩、うり先輩!」って犬みたいに懐いて回っていた
あのゆあんだった
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
いつも組織のやつらに見せていた人懐っこい笑顔のまま
ゆあんは俺の真ん前の席に腰を下ろす
ずっとにこにこと笑顔を振りまいているけれど、
その綺麗な瞳の奥には、裏社会で生きてきた俺ですらみたことないくらい冷徹で
底知れない鋭いなにかを感じた
うり
うり
裏切られた怒りと悔しさで頭がいっぱいになる
俺は手錠のことなんてお構いなしに勢いよく立ち上がろうとした
ガタァッ!とパイプ椅子が激しい音を立てて部屋に響く
だけど、そんな俺を見てもゆあんは眉一つ動かさず、静かに机に肘をついた
そのまま座っている俺を見下ろすように顔をすぐ近くまで持ってくる
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
あいつは俺が黙ったことを確認すると、「いい子、」と嬉しそうに言った
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ルビー色の瞳が、至近距離で怪しく光る
あいつは捕らえられて動けない身動きが取れない俺を観察するように
だけどどこか愛おしそうに俺の頬を手袋が付いた指先でスーッとなぞってきた
うり
身の危険を感じた俺はあいつから顔を背ける
でも、ゆあんはこれを許してくれない
ゆあんくん
あいつは両手で無理やり自分の方へと向かせた
逃げられない、
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
うり
怒号をあげようとした俺の唇が、ゆあんの親指で強引にふさがれた
強い力で口元を押さえつけられ、俺の視界はあいつの綺麗な顔でいっぱいになる
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんは俺の唇から指を離す
そして、今度は俺の耳元に近づけて、低くて少ししびれるような声で優しく囁く
ゆあんくん
耳元にかかる吐息に、全身がゾクゾクと跳ねるのがわかる
ゆあんはつづけた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
耳元から直接脳に流れ込んでくるような低音のボイスに
背筋がドクドクと熱い衝動が駆け巡っていく
ハメられた
俺の分析が甘かった
こいつは組織の裏帳簿だけじゃなく、最初から俺自身のことも
その手の中に閉じ込めるつもりで近づいてきたんだ
ちょっと前のいつも無邪気に子供みたいに笑って
俺の後ろをついてきていたあいつの姿が、脳裏でガラスみたいにガラガラと崩れていく
すべては、俺をここに縛り付けるための、罠だった
俺が顔を歪めると、これまた嬉しそうな顔をする
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんは俺の耳元からゆっくりと顔を離すと、
胸元にあるポケットから一本の銀色に光る鍵を取り出した
そして、その鍵の先端を、答を急かすように
俺の首筋にわざとコツン、と冷たく当てて見せる
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
首筋に触れる金属の冷たさが、やけに危険な興奮を煽ってくる
体も、力も、格闘のセンスも俺の方が上のはずなのに
目の前で獰猛な笑みを深めているこの男に
俺は生まれて初めて、心理的に組み敷かれている感覚に陥った
時計の針の音だけが、薄暗い取調室にチクタクと無情に響いていく
ゆあんはその瞳をじっと細めたまま俺が折れるのを自信ありげに待っていた
そして、数分がたった頃
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
首筋に当てられた冷たい鍵の感触が
これからの俺の運命を決定づけるかのように重く沈み込んでいく錯覚に陥る
拒めば、一生牢屋の中か、誰かすら知らないやつの犬
受け入れれば、この目の前にいる頭がキレて残酷できれいな男の『犬』になる
俺はまっすぐとゆあんの瞳を見つめる
…………そして、
うり
うり
俺は敗北を受け入れて、大きくため息をつきながらガックリと頭を下げた
裏社会ではだれよりも強かったはずの俺が
こいつの張り巡らされた罠に、まんまと引っかかって
降伏させられた瞬間だった
うり
うり
うり
今まで下に見ていたやつに敗北したという敗北感と
それ以上に不思議と胸が高鳴っているのを隠すように、わざとぶっきらぼうに吐き捨てる
すると、俺が負けを口にした瞬間
ゆあんは「あはは、お利口さん(笑)」と、今日一番の無邪気で嬉しそうな笑顔を割かせた
チャキ、チャキ、
手際よく俺の両手首から首輪が外される
じわじわと、血のめぐる感覚が戻ってきた
しかし、自由になったと安心した次の瞬間
ゆあんはポケットから警察の IDカードがついた細い黒革のネックストラップを取り出すと
それを俺の首の後ろからパチン、と引っ掛けた
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんは俺の首にかかったストラップを細い指でぐっと自分の方に引っ張る
至近距離で妖しくまた目を細めた
こいつに支配された今、見上げるあいつの顔はあまりにも美しくて
もう抗う気すら起きない
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
耳元で、冷徹で愛おしく感じてしまう主の声が、優しく響く
マフィアにいたときよりも深く、頑固に
俺たちの絶対的な主従契約はここから始まっていく______
おまけ
うり
うり
うり
重苦しい空気の車内
マフィアの用心棒から一転、俺は潜入捜査官だったゆあんの隣に座らされていた
首元には、あいつに嵌められた『協力者』という名の黒革のネックストラップが
やけに冷たく重くまとわりついている
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
仕立てのいいスーツを着こなし、いつもの人懐っこい笑顔でハンドルを握るゆあん
だけど、その綺麗な瞳の奥に隠された冷徹さを、俺はもう知っている
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
車が目的地に近づくにつれ、外の景色がどんどん薄暗くなっていく
かつての仲間を売るような真似に、胸の奥が少しだけチクリと痛む
だけど、それ以上に助手席から見えるゆあんの横顔から
ただならぬ緊張感が伝わってきた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
車を降りた瞬間、冷たい夜風が俺たちの頬を打つ
ここからは裏社会で生きてきた俺の領域だ
たとえ『犬』として縛られていようと、
目の前のこいつを傷つけさせるわけにはいかない
うり
うり
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
俺の言葉に、ゆあんは驚く風でもなく、フッと口元を歪めた
その目は、いつもの無邪気な下っ端のそれではなく
完全に獲物を狙う冷徹な警察官の目だった
うり
うり
ゆあんくん
うり
俺が手を伸ばしてゆあんを背後に隠そうとした、その時
ザザッ……!とコンテナの影から
鉄パイプや拳銃を持った男たちが4人、一斉に飛び出してきた
やっぱり、元組織の残党たちだ
マフィアの残党
マフィアの残党
マフィアの残党
マフィアの残党
マフィアの残党
マフィアの残党
男の一人が色をなして拳銃の引き金に指をかける
だが、それよりも早く、うりの体が鋭く地を蹴った
うり
ドカッ……!!
うりの回し蹴りが、男の腕を正確に捉える
凄まじい衝撃音とともに拳銃が夜空に弾け飛び
男はそのまま壁に叩きつけられて崩れ落ちた
マフィアの残党
うり
うり
うり
残りの3人が怯んだ隙を見逃さず、うりは流れるような動きで敵の懐に潜り込む
容赦のない鋭い拳と足払いで
鉄パイプを持った男たちをあっという間に地面に組み伏せていった
裏社会を驚かせた元用心棒の圧倒的な強さ
だが、最後の1人がうりの背後からナイフを構えて飛びかかろうとした
その時
バンッ……!!
乾いた銃声が響き、ナイフが男の手から弾け飛ぶ
背後で拳銃を構えていたのは、冷徹な笑みを浮かべたゆあんだった
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
パトカーのサイレンが遠くから近づいてくる
ゆあんが事前に手配していた本隊が到着したのだ
残党の身柄を引き渡したあと、俺たちは再び黒塗りの車へと戻った
二人きりになった静かな車内で
ゆあんは運転席から身を乗り出し、助手席の俺の顔を覗き込んでくる
うり
うり
うり
顔が熱くなるのを隠すように、わざとぶっきらぼうに言って窓の外を睨みつける
ゆあんくん
ゆあんくん
すると、ゆあんは楽しそうに目を細めて
俺の首にかかった黒革のストラップを細い指先でぐっと自分の方に引っ張った
うり
うり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
至近距離で見つめてくるルビー色の瞳が、怪しく、そして美しく光る
あいつは俺の耳元に唇を近づけて、低くて痺れるような声で優しく囁いた
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
うり
耳元に残る吐息の熱さに、背筋がドクドクと熱くなっていく
またハメられたはずなのに、悔しいくらいに胸が高鳴っていた
こいつの敷いた罠からは、一生、抜け出せそうにない____
#krpt
りん
1,003
#ご本人様とは一切関係ありません
コメント
1件
ああ、面白かった……これ、めっちゃ良いですね。「無能の演技してた下っ端」が実は敵組織に潜入してた警察官で、しかも対象を「自分の犬」にしたがってるっていう構図がもう、滾ります。ゆあんの「俺だけの犬(笑)」って台詞、ゾクッとしましたよ。うりが強ければ強いほど、その支配関係が際立つから、格闘シーンで有能さを見せた後にまた首輪(ストラップ)を引かれて従う流れが良いスパイスになってる。BLものの“倒錯した主従”がちゃんと現れてて、しかも警察という制度を使った縛り方なのが抜け目ない。次、ゆあんの過去とか、このコンビがどう任務をこなしていくのか、ぜひ読みたいです!