ピーポーピーポー
タケシ
あ、俺死ぬのか……
タケシ
まさか16歳にして事故死なんて…
タケシ
父さん、母さん、今までありがとう…………。
死神
どうも、死神です。
タケシ
タケシ
えっ?
タケシ
はっ?
タケシ
誰だおまえ、ってか、俺は死んだんじゃ……
死神
だから、死神ですって。
死神
おめでとうございます。
貴方はエンマ大王様のくじ引きによって特別に転生する事を許可されました。
貴方はエンマ大王様のくじ引きによって特別に転生する事を許可されました。
タケシ
えぇっ!!
タケシ
転生なんて出来るもんなんですか?
死神
普通は許可されていませんが、エンマ大王様の気まぐれで特別に……
タケシ
いや、あの、
タケシ
気まぐれって…そんな簡単に?
死神
まぁ、はい。
死神
エンマ大王様ですから。
タケシ
はぁ。
死神
あっ、そうそう。転生は何にでもなれますが、3回までが限度となってます。
死神
さぁ、ますば何に転生しますか?
タケシ
え、
タケシ
じゃあー、とりあえず
タケシ
タケシ
超イケメンで!!
死神
わかりました。
死神
ではまたお亡くなりになったらお会いしましょう……
タケシ
っは!
タケシ
ここは……
サヨ
どうしたの?シュン?
タケシ
シュン?
サヨ
ほら、デートの続き
タケシ
あ、転生したのか
タケシ
てことは、イケメンに……
サヨ
何言ってるの。
サヨ
シュンがイケメンなのは知ってるから早くデートするよ!
タケシ
お、おう
ショーウィンドウに写った自分を見る
タケシ
イケメンっ!!!!
サヨ
もうっ!
サヨ
なによ!
タケシ
え?
サヨ
せっかくのデートだって言うのにいっつも自分の顔の事ばっか!
タケシ
いつも??
サヨ
そうよ!
サヨ
もう我慢できない、サヨナラっ!
タケシ
あ、ま、待てよっ
タケシ
おい!
タケシ
あーあ、行っちゃった
タケシ
転生したら赤ん坊から始めるとは限らないんだな……
タケシ
まぁいいや、この顔ならまだやり直せるし……
タケシ
お!さっそく可愛い子見っけ〜
タケシ
ねぇ君、もしよかったら俺とお茶しない?
マナ
え?
タケシ
すぐそこのカフェとかどう?
マナ
マナ
あんた、タカギ シュンって人でしょ
タケシ
え?
マナ
知ってるんだから!何人もの女と同時に付き合っては飽きたら捨ててるって。
タケシ
いや、まってよ。
マナ
私の妹もその1人だった……
マナ
妹は…ナナは、本気であなたのことを愛してたのにっ
マナ
許せない!
タケシ
いや、あの、俺…
マナ
うわぁぁぁぁぁぁ
グサッ
タケシ
うぅ…
バタン
死神
もうお亡くなりになられたんですか…
死神
想像以上に早かったですね
タケシ
タケシ
……あ
死神
でも大丈夫です。
死神
気を取り直して次に転生しましょう!
タケシ
……もしかして……転生って他の誰かの人生の続きを歩むってことなんですか?
死神
あー、
死神
そうなりますね。簡単に言えば。
タケシ
……そうなんですか
死神
ところで、次は何に転生しますか?
タケシ
タケシ
うーん
タケシ
誰かに恨まれるような人だとヤバイから…
タケシ
次は裕福な家庭の子供で!
死神
わかりました。
死神
では、次の人生をお楽しみ下さい。
タケシ
っは!
タケシ
……えっと、裕福な家庭の子供だよな…
ばあや
坊ちゃん、起きてください。
ばあや
もうすぐ家庭教師の方がこられます。
タケシ
家庭教師?
ばあや
今日は水曜日ですから英語とフランス語とポルトガル語のお勉強ですよ。
タケシ
いやいや、英語はともかくフランス語とポルトガル語ってマジかよ……
ばあや
坊ちゃん!
ばあや
『 マジかよ』なんて言葉はいけません!
タケシ
えぇ…
タケシ
厳しいな…
ばあや
当然です。
ばあや
坊ちゃんにはこのお屋敷の跡取りとなって頂くため、少々きつく育てるようにと奥様からお申し使っていますから。
タケシ
そんな……
タケシ
裕福な家庭って結構大変なんだな。
ばあや
今日のご予定を確認しますね。
ばあや
このあと9時から家庭教師の方とお勉強、11時からお作法のお勉強、12時から西園寺家の方々との会食、2時から……
タケシ
うげぇ
タケシ
そんなのやってらんねーよ。
ばあや
坊ちゃん!
ばあや
聞いているのですか??
タケシ
はいはい、聞いてますよ。
ばあや
な、なんですかそのお口の利き方は!
ばあや
奥様が知ったらなんと言われるか……
タケシ
はぁ
タケシ
ちょっとおトイレ。
タケシ
こんなはずじゃなかったのにーーー!
タケシ
裕福な家庭の子供ってスゲー大変じゃんか
タケシ
もう俺無理だわ
タケシ
この人生は諦めよう……
死神
もう終わってしまったんですね。
タケシ
タケシ
人間には疲れちゃったよ。
死神
そうですか……
死神
私は人間の気持ちはわからないので何とも言えませんが…
死神
で、次は何に転生しますか?
タケシ
次……ラストですよね?
死神
はい、ラストです。
死神
なので悔いのないように。
タケシ
じゃあ……
タケシ
人間は疲れたことだし、生命力の強い……
タケシ
ゴキで!
死神
あ…は、はい
死神
ゴキブリですね。
死神
わかりました。
死神
それでは最後の人生をごゆっくり……
タケシ
っは!
タケシ
あれ?
タケシ
なんか周りのものが大きく…
タケシ
そうか、ゴキになったから大きく見えるんだな
タケシ
誰の家だか知らないけど、俺は自由だーーーー!!!
母さん
あらやだ
母さん
ゴキブリじゃない!
タケシ
あ、母さんだ……
タケシ
俺だよ!タケシだよ!
母さん
いやねぇ、我が家にもゴキが出たわ
タケシ
なんか久しぶりで涙が……
タケシ
俺は死んだことになってるんだよな……ううっ
タケシ
タケシ
あれ?
タケシ
なんか煙が……
タケシ
ゴホッゴホッ……目に染みる
タケシ
頭がクラクラしてきた…
タケシ
気持ち悪い…
タケシ
めまいが…………
バタン
死神
あーあ
死神
気の毒に。
死神
最後は母親の手によって人生の幕を閉じるなんて……
死神
いくらゴキでも人類の産物には勝てなかったみたいですね。