消える前に

ほんの少し、肩を叩いて挨拶をする

もう慣れた。日常生活の一部となった

いつも通りの挨拶だ。でも

どこか違う挨拶だった。

家への帰り道。

バタバタと走る音が聞こえてきた。

聞いたら、その答えが

もし、「うん」だったら……

佐藤は本当に思ってるのか。

表情だけでは分かりづらい

でも声質的に

頑張れって言っているような。

声だった。

でも、その声は少し濁っていて

自分はその意味を知るのには

時間と心の整理を欲した。