TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

「火、貸してくれますか?」

一覧ページ

「「火、貸してくれますか?」」のメインビジュアル

「火、貸してくれますか?」

1 - 「火、貸してくれますか?」

♥

1,100

2020年07月26日

シェアするシェアする
報告する

「すみません。火を貸してもらえませんか?」

喫煙者であれば誰もが口にしたことがある言葉。

現代社会で嫌煙家が増加する傾向が目立っているためか、

唯一の楽しみであるタバコを存分に吹かすのが楽しみの喫煙者たちは、

常に肩身の狭い思いをしています。

…それじゃあ、あなたはタバコを吸うのか? と思われるでしょう。

答えはNOです。

私自身、根っからの嫌煙家です。

死ぬまでタバコなんか吸ってたまるかと、常々自分に言い聞かせています。

ただし、喫煙者たちには嫌煙家にない一つの特徴があります。

それが今作のタイトルにもなっている言葉です。

この言葉をかけることで、見ず知らずの喫煙者たちの間に奇妙な絆が生まれ、

やがて親密な関係へと発展していきます。

これと似たような例として、学校で隣の生徒から消しゴムを借りる、

教科書を忘れたから見せてもらう、というのもありますよね。

そういう些細な気遣いから始まる人と人との繋がりが、

とても興味深いと思っていました。

今作では、2人のヘビースモーカーが登場します。

この2人の絆は固く結ばれるのか、それとも…。

それでは、どうぞ。

志賀将治

すみませんが、火、貸してくれますか?

中庭のベンチで寛いでいた広瀬はぎょっとし、声のした方に顔を向けた。

背広姿が似合う上に、顔立ちもそれほど悪くない中肉中背の男がいた。

男は右手の人差し指と中指の間にタバコを挟んだ状態のまま、

前屈みになって顔を広瀬のそばに寄せていた。

驚いた広瀬は一瞬、相手の言葉を理解できず戸惑ったが、

広瀬努

構いませんよ、どうぞ

といい、持っていたライターを使い、相手のタバコに火を灯した。

男は会釈をしてから、うまそうに煙を吐き出した。

広瀬は、半ば自分がベンチを占領しているのでは? と思い込み、

何気ない動作でベンチの縁へ尻を動かし、スペースを空けた。

が、男は会釈と同時に「ありがとうございました」と礼をいうなり、

黒光りする革靴をコツコツ鳴らしながら去ってしまった。

その日の終業時間、広瀬が帰り支度をしていると、後輩の倉田深雪が現れた。

倉田深雪

今日、武下さんとなにを話してたんですか?

広瀬は怪訝そうな顔を浮かべた。

広瀬努

武下?

広瀬努

武下って誰?

倉田深雪

中庭のベンチで広瀬さんと一緒にいた人ですよ

広瀬努

へぇ…あの人、武下っていうのか

倉田深雪

知り合いじゃないんですか?

広瀬努

初対面だよ

広瀬努

今日はたまたま、向こうが火を切らしていたから

広瀬努

俺がライターを貸してやっただけだよ

倉田深雪

なーんだ、そうなんですか…

広瀬努

なんでそんなにがっかりされなきゃいけないのかな?(笑)

すると、深雪は内緒話をするように広瀬の耳に顔を近付けた。

倉田深雪

これは販売部にいる仲間から聞いたんですけど

倉田深雪

武下さんって常に無口で、黙々と仕事をしている姿勢だけが印象的の

倉田深雪

プライベートが全く謎の人物らしいんですよ

倉田深雪

一部には変わり者だと思われてますし

広瀬努

プライベートを隠したがる人はたくさんいるだろう

広瀬努

それだけで変わり者扱いしちゃ武下さんが気の毒だよ(笑)

倉田深雪

倉田深雪

実はもう一つ…

倉田深雪

北原係長のことについてもあるんです

広瀬努

北原って無断欠勤中の?

倉田深雪

今日で無断欠勤4日目になるんですよ

倉田深雪

北原係長と武下さんは同じ販売部の所属なんですが

倉田深雪

この2人が以前、口論していたという噂が流れてるんです

広瀬努

そいつは知らなかったなぁ

配属部署は違っていたが、広瀬も北原のことは知っていた。

まさに「誠実さ」を全身にまとったような男で、その真面目な仕事ぶりから、

他の部署にも模範として北原の名が何度か挙げられていた。

その北原順一がある日突然、会社を無断欠勤したのである。

彼の性格柄、考えられない出来事として配属部署どころか、

社内全体に衝撃が広がっていた。

倉田深雪

部長たちがアパートに出向いたみたいですけど

倉田深雪

そこに北原係長はいなかったんですって

広瀬努

前触れ無しに、突然仕事に嫌気が差したんじゃないのか?

広瀬努

北原係長の真面目さは常々、模範にするよういわれていたけど

広瀬努

そういう人こそ、実は内心、仕事に対して苦痛を抱いてるモンだよ

広瀬努

大方、旅行でもして気分転換してるんだろう

深雪は信じられなさそうに「う~ん」と唸った。

倉田深雪

それなら有給を申請すれば済む話じゃないですか?

倉田深雪

少なくとも、私は北原係長が失踪したと思っているんです

倉田深雪

ですから、言い争いをしたと思われる武下さんが

倉田深雪

昨日、広瀬さんと一緒にいるのを見ててっきり知り合い同士だと思ったので

倉田深雪

なにか知っていれば聞き出してほしいとお願いするつもりだったんですけど…

広瀬努

広瀬努

深雪ちゃん、もしかしてだけど

広瀬努

北原係長に気でもあるのかい?

倉田深雪

ち、違いますよ!

倉田深雪

ただ、仲間が係長の安否を心配してるからですよ!

深雪は広瀬がからかうとむくれて、帰ってしまった。

翌日の昼休み、広瀬がいつも通り中庭のベンチで一服していると、

武下秀則

火、貸してくれますか?

前日同様、武下が再び恐縮そうな態度で現れた。

広瀬努

(この人が武下さんか)

広瀬は、今度は笑顔を作ってタバコに火を点けてやった。

武下も笑顔で礼をいうと、タバコを深く吸い込んで、うまそうに煙を吐いた。

相変わらずベンチの空いたスペースに座ろうともせず、

武下は突っ立ったまま周囲を見回しながら、タバコを吸っていた。

広瀬努

広瀬努

(確かにおしゃべり好きのイメージは感じられないな)

と、広瀬は相手をチラチラと見ながら思っていた。

どちらかというとプライベートを公にしない、仕事一筋の男のようだ。

その点では、倉田深雪の言葉を裏付けていると思ったが、

広瀬努

(口論するほど気が強そうには見えないな)

とも、思っていた。

北原は係長なので、当然ながら武下は部下に当たる。

係長の北原に抗弁する自己主張タイプだとは、

少なくとも広瀬には感じられなかった。

武下秀則

武下秀則

どうも、ありがとうございました

広瀬はハッと我に返った。

ぎこちない動きで会釈をすると、武下も応じて背を向けた。

広瀬は深雪の言葉を思い出し、北原のことで武下に聞こうかどうか迷ったが、

既に武下は建物の陰に姿を消してしまった。

武下秀則

火、貸してくれますか?

広瀬は、渋面を作って火を灯してやりながら思った。

広瀬努

(なんでいつも俺の所ばかり来るんだ?)

初めて武下に火を貸してやってから半月が経過した。

昼休みに広瀬は中庭のベンチで寛ぐのが日課になっているのだが、

この半月、武下は決まって広瀬に火を借りに中庭に現れるのだ。

別にライターの火を貸したところで減るモンじゃない、と割り切っていたのだが、

さすがに毎日来られるとうんざりしてくる。

会話らしい会話を交わそうとする様子も全く見受けられない。

次第に、広瀬は武下の行動を訝しんでいた。

そんな広瀬の気持ちを察する様子もなく、武下はタバコを吹かし続ける。

やがて、いつも通り礼をいうと、ゆっくりとその場から離れた。

広瀬は考え込むように足と腕を組み、小さく唸った。

すると、広瀬の横のスペースに誰かが座り込んだ。

倉田深雪だった。

倉田深雪

また、ライターを貸してあげたんですか?

広瀬努

そうなんだけど

広瀬努

ここ毎日決まって俺の所に来るもんだから

広瀬努

ちょっとうんざりしてるんだ

倉田深雪

お話はされないんですか?

倉田深雪

私はタバコ吸いませんけど、お互い初対面の人に火を貸すとき

倉田深雪

不思議な絆みたいなものが生まれるって聞いたことがあるんですけど?

広瀬努

あ~、確かによくいわれているね(笑)

広瀬努

最近じゃ嫌煙家が滅法多くて肩身が狭いから

広瀬努

喫煙者同士の連帯感が強くなる傾向があるんだろうね

倉田深雪

武下さんはどうなんでしょうね?

広瀬努

向こうの考えてることは分からないけど

広瀬努

さすがに半月も立て続けに来られると少し気味が悪いよ

倉田深雪

倉田深雪

そういえば、北原係長のことで新事実が判明しましたよ

深雪は、またしても内緒話をするように広瀬の耳に口を寄せて囁いた。

広瀬努

そういえば、北原係長も姿を消して半月経つんだな

倉田深雪

そうなんですけど

倉田深雪

どうも社の調査隊が調べたところによると

倉田深雪

北原係長のタイムカードが「退社」に打刻された形跡がないんですって

広瀬努

広瀬努

つまり、北原係長は最後に姿を現した日に

広瀬努

タイムカードを打刻しないまま失踪したっていうことか?

倉田深雪

どうやら、その可能性が高いらしいんですよ

倉田深雪

倉田深雪

因みに、広瀬さんは北原係長が消えた件については

倉田深雪

なにもご存知ないんですか?

広瀬努

どうして俺がそんなこと知ってると思うんだよ?

広瀬努

俺と北原係長は違う部署だし、面識すらないのに

倉田深雪

でも、7月1日に広瀬さんって会社で残業されてませんでしたか?

広瀬努

今月の1日?

広瀬努

…そういえば残業で会社に残ってた気がするなぁ

倉田深雪

忘れるなんてどれだけ鈍感なんですか…

広瀬努

疲れてんだよ

広瀬努

で、それがどうかしたの?

倉田深雪

なにがいいたいかといいますと

倉田深雪

広瀬さんが残業してたその7月1日が

倉田深雪

北原係長の最後の出勤日だったんですよ

倉田深雪

しかも、北原係長も残業で夜遅くまで会社に残ってた節があるんですよ

倉田深雪

広瀬さんも遅くまで仕事されてたみたいですから

倉田深雪

なにか知っているんじゃないかと思ったんですけどね

広瀬努

そういわれてもねぇ…

広瀬努

色々慌ただしい1日だったからなにかあったとしても

広瀬努

疲労で覚えてないよ

実際、7月1日の広瀬は激務に追われ、会社を出た午後11時には疲労困憊していた。

無断欠勤による北原順一の解雇が決定付けられた日、

優秀な人材を惜しくも失った販売部が受けた痛手は大きく、

広瀬の部署にもわずかな影響を与えていた。

広瀬は残業の指示を受け、嫌々ながらも会社に残った。

無意識に残業する羽目になった原因でもある北原に悪態を吐くほど、

広瀬は残業が大嫌いだった。

本来、残業は自己申請するのが通常なのだが、

広瀬の会社では繁忙期とアクシデントが起きた際の対応として、

会社側から残業を強いられるのが当たり前だった。

まさに、北原係長の失踪というアクシデントが残業を強いられた理由だった。

どうにか、その日の分の仕事を終えた広瀬は大きく体を伸ばした。

時計を見ると、午後11時を少し過ぎていた。

広瀬努

(販売部の連中は帰ったかな?)

広瀬は窓のそばまで寄り、下の駐車場を見下ろした。

車が1台停まっているだけの寂しい駐車場だった。

広瀬はうんざりしたように溜め息を吐いてから、帰り支度を始めた。

噂好きの倉田深雪もいなければ、他の部署仲間も誰1人いない。

広瀬は薄暗い蛍光灯で照らされた避難用階段を下りた。

閉所恐怖症の広瀬は、エレベーターも大嫌いだった。

コツコツ、という足音だけが響く階段を下りていると、

不意に携帯電話が激しく震え出した。

倉田深雪からの着信だった。

倉田深雪

お疲れさまです

倉田深雪

残業、終わりましたか?

広瀬努

お疲れ

広瀬努

たった今終わって、これから帰るところだよ

広瀬努

それより、どうかしたの?

倉田深雪

倉田深雪

実は、ちょっと面白い話を耳にしたんです

広瀬努

面白い話って?

倉田深雪

武下さんのことなんですけど、どうやらあの人

倉田深雪

根っからの嫌煙家らしいですよっ

深雪はわざと広瀬にショックを与えようとしているのか、

最後の言葉はオクターブが上がっていた。

ただでさえ疲れていた広瀬は、深雪の声と意外な事実に卒倒しそうになった。

広瀬努

それじゃあ、俺はなんだってあいつに火を貸して…

倉田深雪

だからいったじゃないですか

倉田深雪

武下さんはなにを考えているか分からない変わり者だって

広瀬努

なんだか弄ばれてたような気がして腹が立ってきたよ

広瀬努

約半月も毎日乞食みたいに火をねだって来たと思ったら

広瀬努

まさか俺と真反対の嫌煙家だったとはね

広瀬努

どっからタバコを仕入れたんだろ?

倉田深雪

自腹か、それとも譲り受けたとか?

広瀬努

畜生、今度ねだってきたら文句いってやる

倉田深雪

なに呑気なこといってるんですか

広瀬努

倉田深雪

変だと思いませんか?

倉田深雪

タバコを極度に嫌う武下さんが

倉田深雪

どうして約半月も喫煙者の広瀬さんに火を借りに行っていたのか

広瀬努

確かに、いわれてみれば妙だな

倉田深雪

倉田深雪

私、ちょっと嫌な方向に考えてみたんですけど

倉田深雪

北原係長が突然消えてしまったのは

倉田深雪

武下さんが関係しているんじゃないでしょうか?

広瀬努

武下が北原係長を誘拐したとでもいうのか?

倉田深雪

あるいは、殺害して何処かへ遺体を捨てたとも…

広瀬は思わずプッと吹き出してしまった。

広瀬努

それは飛躍し過ぎてるだろう

倉田深雪

でも、仮にそれが事実だとしたら

倉田深雪

タバコを吸いもしないのに広瀬さんに近付いた理由も分かりますよ

広瀬努

どういうこと?

倉田深雪

7月1日、武下さんと北原係長は口論していたと思われています

倉田深雪

内容までは知りません

倉田深雪

が、激しい言い争いの結果、弾みか故意かは分かりませんが

倉田深雪

武下さんは北原係長を殺めてしまった

倉田深雪

そして、遺体を処理するために動き出した

倉田深雪

ところが、その最中に……

広瀬努

広瀬努

残業を終えて帰る俺を見てしまった?

「そうですっ」と、深雪は声を張り上げた。

倉田深雪

恐らく、武下さんは悶々と悩んだでしょう

倉田深雪

殺害した北原係長の遺体が足元に転がっている状況を

倉田深雪

帰り際の広瀬さんにもしかしたら見られたかもしれない、と

倉田深雪

それを確かめるために嫌煙家でありながら

倉田深雪

あえて喫煙者を装って広瀬さんに接近したとは考えられませんか?

倉田深雪

タバコも広瀬さんに近付くためにわざわざ仕入れたとしたら

倉田深雪

余程の執念を持ってーー

広瀬努

ちょっと待てよ

広瀬努

俺は残業を終えて急いで帰ったんだぞ

広瀬努

帰るとき、武下を見た覚えなんかない

倉田深雪

武下さんはそう思ってないかもしれないじゃありませんか

広瀬努

う、う~ん…

広瀬は返答に窮した。

あまり想像したくない仮説ではあるが、納得できる部分はある。

武下が、遊び感覚で火を借りに来ていたようにも見えなかった。

それに、翌々考えてみれば彼が火を貸してほしいと頼みに来たのは、

7月1日の残業以降が、初めてのことだった。

それ以前まで、広瀬は武下という社員自体、知らなかったのである。

広瀬努

突然、広瀬はハッとした。

携帯電話を持つ手をかすかに震わせながら、

広瀬努

あの日、そういえば1階のトイレ前を通るとき

広瀬努

中から誰かの話し声が聞こえたような気がする

倉田深雪

本当ですか?

倉田深雪

あの日、残業で残っていた販売部は北原係長だけだといわれていますから

倉田深雪

もし電話でなければ、もう1人誰かいたことになりますよ

倉田深雪

きっと武下さんですよっ

広瀬努

頼むから大きな声を出さないでくれ

広瀬努

と、とにかくまずは会社を出ることにするよ

深雪が受話器越しに興奮した声を上げていたが、

広瀬はそれを無視し震える指先で通話終了のボタンを押した。

広瀬は急いで階段を駆け下りると、会社の出入り口に向かった。

…が、緊張か恐怖心によるものか、突然尿意を催した。

広瀬努

(こんなときに、ったく…)

広瀬は自分自身を罵りながら、1階ホールを過ぎた廊下にあるトイレに向かった。

用を足しながら、ふと考え込んだ。

それは、駐車場に停められた1台の車のことだった。

広瀬努

(せめてあれが武下の車でなければいいんだが…)

もし、深雪の立てた仮説が事実だとしたら…。

広瀬は頭を振った。

今はとにかく会社から1秒でも早く出ることが先決だ。

手を洗い、ついでに石鹸でしっかりと菌を落とす。

無意識に清潔感を優先する自分の行動に広瀬は再び苛立った。

広瀬努

俄然、トイレの電灯が消えた。

広瀬はぎょっとして上を見上げたが、少ししてまた電気が点いた。

ほっとして再び目の前の鏡に向き直る。

その顔が凍り付いた。

鏡に映る自分の斜め背後に、あどけない顔を浮かべた武下が立っていた。

目を見開き、口をわなわな震わせる広瀬の背後で武下がいった。

武下秀則

火、貸してくれますか?

2020.07.26 作

この作品はいかがでしたか?

1,100

コメント

3

ユーザー

その後の展開を自分で想像できる終わり方なので、面白かったです(*^^*)

ユーザー

サスペンス感すごいですね ドキドキする展開に、広瀬の安否がわからないままあやふやで終わる締め括りもミステリアスでした。 キャラが立ってて良いですね。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚