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夜が明ける頃、灰色の空がゆっくりと街を染め始めていた。
空腹で眠ることさえできなかった。 それでも瞼を閉じることなく、小さな手を握りしめていた。
冷たい風に何度も肩をすくめながら、子供の胸が上下するたび、ほっと胸を撫で下ろす。
生きてる
それだけで、救われた気がした。
そして
微かに、まつ毛が揺れた
柊 朔弥
小さなまぶたが、重そうに、ゆっくりと開いていく。
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
優しくできるだけ柔らかい声で言った。
子供は、声を返さない。
ただ、目を大きく見開いたまま、何かを訴えるように朔弥を見上げていた。
その瞳から、ぽろりと涙がこぼれた。
子供
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
問いかけに、小さな口は何も言わない。
言葉がわからないのか、出せないのか、それとも……何も覚えていないのか。
その涙が、何に対するものか――わからなかった。
柊 朔弥
柊 朔弥
かじかんだ指先で、 そっとその頬をぬぐう。
小さな肩を、そっと抱きしめた。
柊 朔弥
柊 朔弥
寒さも、飢えも、涙も。
何ひとつ癒してやれない。それでも。
柊 朔弥
“そばにいる”ことだけは、約束した。
しばらくして、子供は朔弥の腕の中で目を閉じた。 安心したのか、疲れたのか、胸に顔を埋めて静かに眠りに落ちていく。
そのあまりに軽い身体を抱きながら、朔弥はそっと呟いた。
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
夜の寒さに震えていたこの子に、せめてぬくもりの名前を。
柊 朔弥
胸の中で眠る子の、小さな頭を優しく撫でながら、そっと微笑む。
柊 朔弥
柊 朔弥
その言葉は、朝の空に溶けるように静かで、優しく、そしてあたたかかった。
再び目を覚ましたのは、夜が明けてからしばらく経った頃だった。
奏多
柊 朔弥
小さな体が動く
柊 朔弥
まだ怯えが残っているのか
すぐ腕の中から抜け出そうとする素振りを見せた
柊 朔弥
柊 朔弥
優しく微笑んで手を差し出す
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
朝のうちに見つけた固くなったパンを差し出す
恐る恐る手に取り、少しずつゆっくり食べていった
柊 朔弥
そして、
初めて声を出した
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
自分の名前を伝えながら頭を撫でる
柊 朔弥
奏多
奏多
柊 朔弥
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
奏多
奏多
ここから
2人の生活が始まった