テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
時間は、流れていた
あの凍える夜
必死に呼びかけた小さな命は
今では朔弥の隣で笑いながら
手を引いて歩いている
奏多
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
奏多
柊 朔弥
奏多
奏多は心から嬉しそうに笑った
柊 朔弥
震えていた声は日に日に強くなり
曇っていた瞳も
生きる光を帯びていた
柊 朔弥
柊 朔弥
奏多
奏多
奏多はそう言いながら手をぎゅっと握る
その手はあの日よりずっと大きくなっていた
季節も巡り
冷たい風の中にも
ぬくもりをみつけられるようになった頃
ふと空を見上げる
柊 朔弥
景色も、体も、心も、全部
あの日手を伸ばしたことは
間違いじゃなかった
むしろ
あの日からようやく“生き始めた”のかもしれない
誰よりも大切な
小さな命がある
何よりも守りたい
柊 朔弥
奏多
手を繋いで歩くふたりの背中に 静かな陽が差し込んでいた
そして
数年が過ぎていく
こんな日常が永遠に続いていけばいいと願いながらも
運命は
静かに次の幕を開けようとしていた