テラーノベル
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『ターゲット、至近距離につき』
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倉庫の裏。 任務先での不意打ちで、えとさんは脇腹をかすめるようにナイフで切られた。
大した傷じゃない。 でも、それでも、彼女の白い肌ににじむ赤を見るのは ーー胸がざわつく。
僕の太ももに背中を預けるようにして座っている彼女。 シャツを軽くめくりあげたその下の、傷口周囲。 ……そこに指を添えるたびに、えとさんの体がわずかにびくりと震える。
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傷口の横にガーゼをそっと貼る。 手のひらと肌が、静かに触れ合う。 小さく吸い込まれる息。ふたりきりの静寂。
ーー距離は、ほとんどゼロ。 僕の吐息が、えとさんの耳元をかすめて落ちる
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えとさんの背中越しに、僕の胸の鼓動が触れる。 どくん、どくん、と。
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えとさんの声は、少しだけ震えていた。 でもその顔は、頬まで赤くなっていてーー 僕は少しだけ、目を細めた。
任務は命がけ。 でも、この時間は、少しだけ……命が膨らんでいく気がする。
任務帰りの深夜。 背中に冷たい汗が伝う感覚に気づいた時には、 体は鉛のように重く、視界はじんわり霞んでいた。
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気合いで帰宅して、上着を脱ぎ捨てたところで、床が急に近づいてくる。 気がつけば、いつもの無機質な天井が見えていた。 僕は、自分でも驚くほど静かに気を失っていたらしい。
ーーーそして。
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次に視界に入ってたのは、見慣れたオレンジ髪と、猫みたいに心配そうな えとさんの顔だった。
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ふわっとタオルが僕の額に乗せられた。 火照った肌に冷たい感触が心地よくて、僕は思わず目を細める。
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そう言って笑ったえとさんの指が、冷えたおでこに触れたまま動かない。 そっと僕の前髪をかきあげる仕草が、妙に丁寧で。
……あれ、ちょっと、ドキッとしてる?
僕の熱のせいか、えとさんの顔もほんのり赤く見えてーー
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ごくり。
脱がせられるの、これ、普通に看病だけど…… 背中がゾワッとするほど、えとさんの指先は優しかった。
ああ、これが、油断ってやつか……
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拗ねたように口をとがらせてるえとさんの横顔。 それが、たまらなくかわいく見えてしまうのはーー
ーーー熱のせい、ってことにしておこう。
『敵の罠に囚われてーー』
暗闇の中、僕たちは静かに廊下を歩いていた。 もうすぐ、ターゲットの部屋に到着するはずだった。 しかし、何かが変だ。いつもと違って、気配が微妙におかしい。
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僕が言いかけた瞬間、床が軋んだ音を立て、 突如、床に設置された金属の板が「カチリ」と音を立てた。
その瞬間、えとさんが僕の腕を引っ張って、「だめ!止まって!」と言ったが、 もう遅かった。
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僕がその言葉を発したと同時に、床から電流が一気に流れ込んできた。 痛みが走り、体が一瞬で硬直して、目の前が白く霞んだ。
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体がビリビリと震え、立ち上がるのもやっとだ。 強烈な痛みに耐えながら、冷や汗が額を伝って流れる。
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えとさんが心配そうに僕を見上げる。彼女もまた、床に仕掛けられたセンサーに気づいている様子だ。
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僕は無理にでも笑顔を作って言ったが、内心は焦りを感じていた。 このままだと、僕たちは確実に捕まる。
えとさんは僕の隣で立ち尽くして、額に汗を浮かべながらも、 強い眼差しで言った。
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彼女の言葉に、少しだけ心が落ち着いた。 でも、それだけではこの状況は打破できない。
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僕は痛みを堪えながら、えとさんの手をしっかり握る。 今、彼女の強さが僕に伝わった気がした。
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もう一度、僕たちの絆を信じて、脱出の方法を探し始める。 敵の罠にハマりながらも、僕たちは諦めずに前に進んでいくのだった。
『解毒のキスは、任務の一環です』
人気のない通路、隠し扉の先。 えとさんは、そこのワイングラスにほんの少しだけ残った液体を、 「……ま、いっか」と、飲み干してしまった。
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すぐになおきりの低く落ち着いた声が響いた。 それは、からかいのトーンを含みつつも、どこか焦りをはらんでいた。
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えとさんが膝をつく。 体が熱い。喉が焼けるように乾く。 さっきまで張っていた強がりが、スルスルと剥がれ落ちていく。
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えとさんが反応するより早く、 なおきりはポケットからアンプルを取り出し ーー口に咥えた。
そのまま、えとさんの顔にそっと手を添える。
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唇が触れる。 柔らかく、熱を帯びた接触。 薬の苦さよりも、なおきりの体温ばかりが意識に残って、 えとさんの頬がみるみる赤く染まっていく。
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ふらつきながらも顔をそむけるえとさん。 でも、耳は真っ赤だ。
なおきりはそんな彼女を見下ろしながら、ふっと笑う
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えとさんの手が、僕のシャツの裾をぎゅっと掴む。
いつも強気で、口も態度も荒めのえとさん。 でも今だけはーー
助けられたことで、素直にならざるを得ない。 なおきりはその手に軽く触れながら、優しく囁いた。
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『最強で最悪の共闘、そしてーー』
暗い廃工場の通路。 えとを抱えて走っていたなおきりが、物陰に身を隠れる。
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えとの声はかすれている。片足が血に染まっていた。
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なおきりの声音は優しい。けれどーー
ザッ!
背後に気配。
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四方から現れる黒ずくめの戦闘員たち。 ーー戦うしかない。
なおきりはえとをそっと下ろすと、 「動かないでくださいね」と微笑んで前に出る。
しかし。
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えとが壁を支えに立ち上がる。
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ふたりは一瞬、目を合わせた。 そしてーー
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戦闘開始。 えとの蹴りが空を切り、 なおきりのナイフが静かに、敵の喉元をかすめる。
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口では言い合いながらも、なおきりが敵の背を取れば、 その影からえとさんが追い打ち。 まるで息の合ったコンビのように、ふたりは敵をなぎ倒していく。
ーーだけど。
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崩れた床の破片を避けたはずのえとの足が、ズキリと痛み、膝をついた。
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なおきりが即座に隣に膝をついた。 敵の援軍の気配。
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ふわり、と。
なおきりの腕がえとさんを抱き上げる。
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顔を真っ赤にして暴れる。
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ーー爆炎の中、なおきりはえとを腕に走る。 その顔は、少しだけ照れを隠すように前髪に影を落としながら。
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その小さな声に、なおきりが静かに笑った。
コメント
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et彡ちょっとツンデレ系が い ー のよね、🫶🏻💖 お姫様抱っこは聞いてないてぇ、 まじ尊すぎるっ ! ! 🫵🏻🩷ポピ彡 神か何かですかっ ! ? 続き楽しみすぎてやばい ですからね ! ! (?)