ミツキ
ねぇねぇ、秘密を買ってくれるサイト知ってる?
朔
なにそれ?
ハルト
あ、それ知ってる
ハルト
たしか、なんかのサイトに殺したい相手の秘密と一緒にフルネームと年齢と住所を書けば、こっちが何もしなくても勝手に相手が死ぬんだよな
ミツキ
そーそー
ミツキ
でもそのサイト普通はいけないのよね
朔
なにその話?なんか怪しい
ミツキ
2パターンあって、1つは、ある日突然サイトのURLが送られてきて、それをクリックして入るって方法
朔
送られてくるって誰から?
ミツキ
サイトの主からだろうね
ハルト
2つ目は?
ミツキ
もう1つは、街で男に声をかけられて、直接その人に相手の秘密と一緒にフルネームと年齢と住所を言うって方法
ミツキ
そもそもサイト自体が都市伝説的なものだから実在するのかも不明なんだけど、後者のパターンは特にレアらしい
朔
そんなのただの都市伝説だろ
ハルト
でも俺の友達の弟がその男に会って実際に殺してもらったらしいよ
秘密とフルネームやらの情報教えてさ
ミツキ
マジ!?すごいじゃん!
朔
いやいやどうせ嘘だって
ハルト
でもこれ、サイトに書いて殺してるってバレたり勘づかれたら死ぬらしいよ
朔
お前らほんとに信じてんの?(笑)
朔
あ、ごめん
俺バイトあるから落ちるわ
ミツキ
えーつまんなーい
ハルト
まぁ仕方ない(笑)
バイトだからな
朔
疲れた……
朔
(帰ったら寝よ…)
朔
あ…すみません
(わっ…怖そうな人と肩ぶつかっちゃった……)
謎の男
…………
謎の男
あなた、殺したい人がいますね
朔
……え?
謎の男
その人は“親友”ですね
謎の男
あってるでしょう?
朔
え……なんでそれを?
謎の男
その“親友”の秘密、売りませんか?
朔
はい?売るってどういう━━
朔
(秘密売らないかとか言ってるし、この人もしかしてミツキが言ってた男?)
朔
(……試してみる価値はあるな)
謎の男
ふふ…どうします?
朔
売ります
謎の男
(ニタァ)
謎の男
では、親友の大きな秘密とフルネーム、年齢、住所を言ってください
ハルト
なぁなぁなぁ!おい聞いたか!?ハヤトが死んだって!!!
ミツキ
えぇ!?ハヤトってあのハヤト!?俺らと親友の!?
朔
……え?ほんとに?
ハルト
ホントだよ!突然心臓麻痺起こして突然死だって!俺らと同い年でまだ若いのに…
朔
へぇー…
ハルト
お前…1番ハヤトと仲良かったのになんでそんなに冷静なんだ?
朔
いや…別に
謎の男
ふふ…どうします?
朔
売ります
あのとき、その男からサイトの
URLを教えてもらった
そのURLでサイトにアクセスし、
頻繁に書き込むようになった
いつの間にか俺はサイトを
使うことが日課になっており
気がつけば殺意のない人間も
サイトを使って殺すようになった
ミツキ
おーい朔~
大丈夫?
ミツキ
連絡つかないから心配だよ
ハルト
バイトもほどほどにしろよ?無理は良くないからな
ミツキ
忙しいならまた時間ある時連絡くれよ
ハルト
朔、そろそろ連絡くれよ
ハルト
本気で心配になってきたよ
ハルト
何故かミツキとも連絡つかないし……
ハルト
2人ともやばい事に巻き込まれでもしてないだろうな?
ハルト
読んだら連絡くれ
ハルト
朔…お前何やってんの?
ハルト
なんでずっと連絡よこさねぇの?
ハルト
ミツキのことなんだけど、心臓麻痺で死んだらしい…昨日遺体が見つかった
ハルト
死後5日経過してるって
ハルト
なぁ朔、お前まさか…
違うよな?
ハルト
おい……嘘だろ……!
マジでお前何やってん
だよ…!なんでサイト
使ったんだ!
ハルト
……なーんてな(笑)
全部計画通りに進んで
嬉しいよ
ハルト
あれは人体実験のサイトで、書き込まれた人の家に行って麻酔打って研究所に運んで、その人間を使って変な新薬の実験を繰り返してる奴らやってるんだよ
しかも心臓麻痺ってのは嘘で、実際はやばいクスリ注射されて死んでるだけ
ハルト
それが勝手に都市伝説になって「サイトに書き込めば殺してくれる」って広がったんだよ
ハルト
秘密を書かせるのも年齢書かせるのも実験の適性を見るためだ。頭が良い奴は異変に気付くからな
それに若い方がいい
ハルト
最後に教えてやるよ
サイトに入った人間は、書き込んでも書き込まなくても、入っただけで10日以内に殺される
ハルト
実験の“秘密”を知ったら殺されるのはある意味当然なことさ
ま、今頃お前は泡吹いて死んでるだろうから、これを知ることはないだろうがな
ハルト
でも朔…ありがとう
お前が勝手に書きまくってくれて実験体増えたおかげで、実験体ノルマを達成できたよ
ハルト
もつべきは友達だな(笑)