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第1話 - お

2023年03月29日

#恋愛

#スカッと

田中俊樹

アヤセ

おい！

アヤセ

今日、シフト入ってるだろ！？

アヤセ

なんで来ていないんだ！！

ハルカ

お疲れ様です。

ハルカ

今日は、学校の授業があるので入れないと以前お伝えしたはずなのですが・・・

アヤセ

固定のシフトは何があっても必ず守るようにと伝えたはずだろ！？

アヤセ

お前が来てないせいで、俺が休めないんだぞ！！

ハルカ

そんなこと言われましても・・・

ハルカ

学校があるのですが・・・

アヤセ

学校なんて、少し休んだって平気だろ？

アヤセ

俺も、学校の授業を休んでシフトに協力してたことだってたくさんあるんだぞ！

アヤセ

少しは俺を見習ってみたらどうだ？

ハルカ

そうなんですね。すごいですね。

ハルカ

でも、今日は実習があって本当に抜けられないんです・・・

ハルカ

なので、申し訳ございません。

アヤセ

実習なんて、休んだって平気平気！

アヤセ

しかも、深夜までやるわけじゃないだろ？

アヤセ

いつも深夜のシフトはお前なんだから、ちゃんと終わってからでも来いよ！

ハルカ

終わってからといっても、明日も早朝から実習があるのでさすがに入れません！

アヤセ

いいのか！？俺はこの店を任されているんだぞ！？

アヤセ

いままでに働いてた分の給料を払わないぞ！？

ハルカ

そ、そんなあ・・・

アヤセ

払ってほしかったらちゃんと深夜のシフトに入れよ！

アヤセ

じゃないと、このコンビニは深夜の営業もできないし、店員のいない店になっちまうからな！

ハルカ

でも、本当に毎日実習の期間なのでどうにかできませんか・・・？

アヤセ

ふむ。それなら俺様が変わってあげてもいいけど、条件がある。

ハルカ

条件？とにかく今も忙しいので後にしてもらえませんか？

ハルカ

もう休み時間も終わるので、ここから返信返せません。

アヤセ

わかった。じゃあ俺は働くから条件をのんだってことにしておくな！

～翌日～

ハルカ

ちょっと！

ハルカ

なんで私とアヤセさんが付き合ってることになっているんですか！？

ハルカ

私、アヤセさんと付き合った覚え、ないんですけど！？

アヤセ

あ、お疲れ～！なにいってるんだ？この前、シフト変わってあげただろ？

アヤセ

その時の条件、わすれちゃったのか。条件を飲んだのはハルカじゃないか。

ハルカ

条件って！シフトは変わっていただきましたけど、条件を飲んだつもりはないです！！

ハルカ

しかも、条件と勝手に付き合ってることにされてるのは何か関係があるんですか！？

アヤセ

関係大ありにきまってるじゃ～ん！

アヤセ

俺の条件は、ハルカが俺の女になるってこと！

アヤセ

で、シフトを変わってあげたから条件が有効になるからね！

アヤセ

だから、ハルカはもう俺の女！昨日が、記念日だからね♪わすれないでよ。

アヤセ

みんなにも正式に付き合うことができたって、話しちゃったし。

ハルカ

勝手なこと言わないでください！！

ハルカ

私は条件なんて飲んだ覚えないですし、あなたとは付き合いたくもありません！！

ハルカ

今日頑張って実習を終えて、バイトに来たら付き合ってるんでしょう？ってみんなに聞かれて！

ハルカ

すごく最悪な気分です・・・

アヤセ

でも、変わってあげたのは事実でしょう？だから、もう俺の女だからね！

アヤセ

今日、シフト終わったら迎えに行くからね♪その時にでもまたみんなの前で発表しちゃう？笑

アヤセ

でも、ハルカは恥ずかしがりやだから、照れちゃうかな？笑

ハルカ

やめてください！みんなには否定しておきましたから！

アヤセ

も～。照れちゃって。実際俺と付き合えてラッキーなんだよ？

アヤセ

俺はイケメンだし、性格もいいし、ここのお店を任されてるし！

アヤセ

だから、こんな俺と付き合えてうれしいからつんつんしてるんでしょう？

ハルカ

違います！！

ハルカ

本当に迷惑なので、やめてもらえませんか！？

アヤセ

またまたー。

アヤセ

照れなくてもいいって♪

ハルカ

本当にやめてください！

アヤセ

だって、ハルカって俺の事好きだろ？

ハルカ

なんでそうなるんですか？

アヤセ

だって、俺にいつも笑顔であいさつしてくるし

アヤセ

俺の事いつもみてるだろ？

ハルカ

え？そんなことないです！

アヤセ

照れ屋さんなのはいいけど、愛情表現もしてくれないと、

アヤセ

さすがに俺だって傷つくよ。

ハルカ

いやいやいやいや・・・

ハルカ

そもそも、なぜか条件をのんだって言われて付き合ってることにされたのに

ハルカ

なんで私が好きだってことにされるんですか？

アヤセ

もともと、俺の事が好きだったんだから、いいきっかけになったろ？

アヤセ

いいじゃないか、こんな好物件と付き合えるんだから！

アヤセ

自信もってよ！

アヤセ

もう俺、朝から夜まで働いて疲れたから寝るわ！

アヤセ

おやすみ、ハルカ！

ハルカ

ちょっと！私、アヤセさんと付き合う気ないですからね！！！！

～数日後～

ハルカ

アヤセさん！

ハルカ

どこまでも勝手に話を広げるの、やめてください！！

アヤセ

ハルカじゃん。

アヤセ

やっと連絡くれたね。

アヤセ

やっぱり恋しくなったでしょう？

ハルカ

そういうことじゃなくて！！

ハルカ

勝手に付き合ってるっていろんな人に言いふらすわ、

ハルカ

予定もしていないデートの約束を広められるわで

ハルカ

すごく困ってるんです！

アヤセ

なーんだ。きいちゃったのか。

アヤセ

まだ、ハルカには秘密にする予定だったのにな！

アヤセ

今度、ハルカと一緒に行こうと思って、ネズミーランドのチケット買っておいたんだ！

アヤセ

もちろん、一緒にいってくれるよね？

ハルカ

行くわけないじゃないですか！

アヤセ

もー。いい加減にしないと、本当にクビにするよー？

アヤセ

給料も払わなかったら、学校いけないんでしょう？

アヤセ

払わなくて、いいのかな？

ハルカ

・・・わかりました。

アヤセ

そうそう。わかればいいんだよ～。まったく。

アヤセ

俺にさからったっていいことないんだからさ。

ハルカ

そうではなくて、あなたが折れないのはわかったので

ハルカ

このお店から追放することにします。

アヤセ

・・・へ？

アヤセ

そんなことできるわけないだろ！？

アヤセ

たかがバイトのお前なんかに！！！

ハルカ

そうですよね。

ハルカ

バイトの人に、お店をクビにしたり、給料を払わないようにすることって、できないですよね？

アヤセ

当たり前だろ！！

ハルカ

ということは、あなたにもその権利はありませんよね？

アヤセ

何言ってるんだ？俺は、店を任されているんだぞ？

ハルカ

任されているってみんなに言って店長づらしてますけど、

ハルカ

あなたってバイトリーダーですよね？

アヤセ

え？俺、店長じゃないのか・・・？

ハルカ

正式に、社員として採用されてないですよね？

ハルカ

そんなんで、店長になれるわけないじゃないですか。

アヤセ

えっ、店長って正社員だけなのか・・・？

ハルカ

当たり前じゃないですか。

ハルカ

あなたは、ただのバイトリーダー。アルバイトの人です。

ハルカ

なので、私をクビにすることも、給料を払わないこともできません。

ハルカ

そもそも、もし店長だったとしても、

ハルカ

給料を払わないのは訴えられますよ笑

アヤセ

そうなのか・・・

ハルカ

ちなみに、この店のオーナーですが

ハルカ

私の旦那なので！

アヤセ

え！？旦那！？

アヤセ

ハルカって既婚者なのか！？

アヤセ

だって、指輪してないじゃないか！！

ハルカ

既婚者ですよ。

ハルカ

指輪をしていないのは、実習でつけてはいけない決まりになっているからです。

ハルカ

大学って、なにも大人が入れないわけじゃないんですよ？

ハルカ

知りませんでしたか？

アヤセ

そうなのか・・・

ハルカ

ちなみに、バイト代を学費に充てているのは私ではなくて、

ハルカ

他の子です。

ハルカ

私の事を好きとか言っておきながら、別の子との会話の記憶とすりかえられちゃいましたか？

アヤセ

えっ。そうだったっけ・・・

ハルカ

あと、ほかの子にもクビにするとか嘘ついてたみたいですね。

ハルカ

今までにやめてしまった若い女の子たちは、あなたのせいでやめていっていたんですね。

ハルカ

先日、たまたまお会いした時に教えてくれました。

アヤセ

えっ。そんな偶然ありかよ・・・

ハルカ

そのことも含め、全部オーナーに筒抜けですので！

ハルカ

そろそろ、あなたこそクビになってしまうかも・・・！？

アヤセ

クビ！？クビになったら俺の生活どうなるんだ？

アヤセ

貯金もないし、やっと雇ってもらえたのがこのコンビニなんだよ・・・

アヤセ

謝るから、それだけはやめてくれないか・・・？

ハルカ

そんなの、知りませんよ。

アヤセ

そんなあ・・・

アヤセ

一方的にクビにすることなんてできないよな・・・？

ハルカ

できないところもありますが、あなたの場合

ハルカ

クビにするだの、給料はらわないだの、もしかしたら恐喝罪になるかも・・・！？

ハルカ

あと、若い子に対してセクハラで訴えられるかも・・・！？

アヤセ

頼むから許してくれ・・・

ハルカ

私がやめてってお願いした時は聞いてくれませんでしたよね？

アヤセ

そ、それは・・・

アヤセ

でも、俺は本当にハルカのことが気になっていて！！

アヤセ

だから、変わってあげた代わりに付き合ってくれるなら、って思って。

アヤセ

俺の事見ていたような気がしてたし、付き合ったって広めたら

アヤセ

悪い虫もつかなくてすむかなって・・・

アヤセ

本当に照れてるだけだと思ってたんだ・・・

ハルカ

そんなこと今更言われても、遅いです！

ハルカ

私はオーナーの妻って知ってるかたも何名かいたので

ハルカ

私がよりにもよってあなたと不倫してるって噂されて。

ハルカ

訂正するのにだいぶ時間がかかりました。

ハルカ

これについても名誉棄損で訴えたいくらいです。

ハルカ

ちなみになんですけど・・・

ハルカ

私、あなたみたいな人、まったくタイプじゃありませんから！

ハルカ

タイプじゃないというか、どっちかというと嫌いな部類ですから！！

ハルカ

笑顔で接していたのはあくまでも仕事だから！！

ハルカ

みてた気がするって言われてたのは、セクハラや、釣銭のごまかしをしていないか

ハルカ

監視をしていただけですから！！

ハルカ

勘違いしないでくださいね。

アヤセ

そんなあ・・・。そしたら俺の勘違いで片思いだったってことか・・・。

ハルカ

とにかく、オーナーの判断であなたはここで働けなくなると思うので！

ハルカ

今までお疲れ様でした！連絡先も消しておきますね！

アヤセ

まってくれ！俺の生活はどうなるんだ！？本当にあやまるから許してくれ！！

アヤセ

おい！ハルカ！！返事をしてくれ～！！！！

～後日談～

ハルカ

その後、アヤセはオーナーにクビと言われ、職場を去っていきました。

ハルカ

貯金もなく、働き口も失ったアヤセは、また一から面接をしているそうです。

ハルカ

面接にいくまでの交通費が足りなくて、友達や消費者金融にお金を借りているんだとか。

ハルカ

アヤセがいなくなったおかげで、アヤセのせいでやめていった若いアルバイトの子たちも

ハルカ

また、戻ってきてくれました！

ハルカ

また新しい人たちを雇って、イチから教育しなければと思っていたので

ハルカ

もともと働いていた子たちはとても戦力になり、快適な環境になっています！

ハルカ

実は、このコンビニ、とても大手のコンビニで

ハルカ

アヤセの両親は、このコンビニの雇われ店長だったそうです。

ハルカ

なので、今回の騒動があって、ご両親は青ざめた顔で謝りに来たそうです。

ハルカ

ご両親は悪くないので許しましたが、アヤセのことを勘当したそうです。

ハルカ

だから、友人や消費者金融に頼るしかなかったんですね。

ハルカ

その後、私は無事大学を卒業しました！

ハルカ

希望の仕事ができて、とても幸せです。

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