大和
RPGごっこを終えた一行は現実世界へと戻ることになった。
「では皆さん、これから元の世界に戻ろうと思います。準備はいいですか?」
リックの言葉に一同は声を上げて返事をした。
「じゃあ、いきます!」
すると目の前には大きな扉が現れていた。
「これが向こう側の世界の門になります。この先へ行けば元いた場所に帰れます。ただし、この扉の向こう側には僕たちがいる間は入れませんし、 またこちら側から開けることもできないようになっています。ですから、この先で何が起こっても絶対に助けに来ることはできません」
リックは全員の顔を見回しながら言った。
「それなら大丈夫だよ。だって俺達みんな一緒なんだぜ?一人じゃないんだ。だから何も怖くない!」
「そうだよね……うん、一緒に行こうね。でもちょっとだけ待ってて?」
「ああ、いいけど何するんだ?」
「これ。もう必要ないし、あげる」
彼女は手に持っていたものを差し出す。それは小さな小瓶に入った青い液体であった。
「これは?」
「『青酸カリ』っていうんだよ。もし私が戻らなかったときはこれを飲んで。毒薬だけど死ねるし、楽になれるはず」
「そんな物騒なもの受け取れないよ!」
「受け取ってくれないと困るんだけど」
「なんで!?」
「死ぬ前にキスしてあげたいじゃん」
「俺は別に死んでもいいと思ってるから」
「嘘つき」
「いやマジで」
「じゃあなんで私のお願いきいてくれないの」
「だって……お前のこと好きだもん」
「私も好き」
「……」
「じゃあこれで良いでしょ?それとも私にはキスできないって言うの?」
「い、いえっ!いただきます!」
そう言いながら口移しで飲まされた毒は、確かに苦かった。だがそれ以上に彼女の唇は甘美な味がした。
そして意識を失った彼女が目を覚ますと、そこは元の世界の病院であった。
しかし