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久しぶりの外は、すっかり夏の風が吹いていた。

じめじめと湿気が顔にまとわりつく。

大陽

はぁはぁ

大陽

たかちゃん、、

大陽

どこ行ったんだ、、

大陽

そうだ、

大陽

電話、、

そう思い立ち、電話もLINEもしたが、いずれも反応がなかった。

電話は、電源が入っていないらしく、留守電に繋がれた。

大陽

また、、どこか行っちゃうの、、、?

大陽

やだ、、、

タクシーを呼び、駅に向かう。

どこか行くのだとしたら、駅だと思った。

しかし、どこにも彼の姿はなかった。

家にも行ったが、もちろんもぬけの殻だった。

そうして彼は、2度目の消息不明になった。

なぜ彼があんな言葉を置いていったのか、あんな甘い口付けを残していったのか、答えは見つからぬまま、時は過ぎた。

そんな時、ある都内の一角。

パソコンのモニターに囲まれた薄暗い部屋で男は笑みを浮かべていた。

謎の男

そうか、、

謎の男

やっと見つけた、、

謎の男

三ツ谷隆、、

謎の男

店なんて立ち上げたんだな、、

謎の男

、、、

謎の男

間宮大陽、、、

謎の男

まだ、、

謎の男

あの男と一緒にいたのか、、?

謎の男

2人の関係はなんだ、、?!

謎の男

とっくに終わったはずじゃ、、

虚ろな目つきで男はエナジードリンクの蓋を開けた。

あれから1ヶ月。

僕はウィーンで演奏会を開いていた。

2週間の演奏会も今日が最終日だった。

大陽

明日の朝の便か、、

大陽

スケジュールも鬼だなぁ、、

大陽

(今日も返信なしか、、)

退院した日からずっと、彼にLINEをしていた。

しかし、返信はない。

今日で最後にしよう、と決めていた。

荷物を詰めながら、携帯に手を伸ばす。

大陽

今日くらい、、

大陽

いいよね

大陽

最後だもん、、

思い切って、通話の発信ボタンをおした。

もう期待しない、この1か月自分にどれだけそう言い聞かせたことだろう。

毎日毎日言い聞かせたことで、もう割り切れただろうと思った。

しかし、電話を掛けているのは期待をしているから。

彼が出てくれるとどこかで信じてしまっているから。

出るはずのない発信音が、抑揚のない機械の声に代わる。

ーおかけになった電話番号は、電波の届かないところにいるか、電源が入っておりません。ー

ーもう一度おかけになるか、次の発信音に続いて留守番電話サービスに切り替え致します。ー

大陽

(出るわけないよな、、)

大陽

ハハッ

自嘲的な笑いがホテルの室内に響いた。

その笑いとともに涙が床に落ちた。

電話が、留守電に切り替わった。

大陽

たかちゃん、、

大陽

毎日LINEなんかして、ごめんね

大陽

気持ち悪いよね

大陽

でもね

大陽

僕、期待してたんだ

大陽

たかちゃんならきっと無視できないんだろうな、、って。

大陽

でもだめだったね、、フフッ

大陽

見事に無視されちゃった、、

大陽

これ、聞いてくれるか分からないけど

大陽

もし聞いていてくれてたら

大陽

ただの僕の自己満足だから、気にしないでね

大陽

僕ね、

大陽

頑張ったんだよ

大陽

褒めてよ、、、。

大陽

今や巷じゃちょっと有名なピアニストなんだ、、

大陽

今ね、ウィーンで演奏会に招かれて

大陽

2週間、ウィーンにいたんだ

大陽

今日は演奏会の最終日で、明日の朝の便で日本に帰るの、、

大陽

こんな報告して、、勝手にしろ、、と思うかもしれないけど

大陽

わざわざ伝えたいのは

大陽

僕のことをもっと知って欲しかったから

大陽

付き合ってた時はさ、僕はまだ大人になりきれてなくて

大陽

自分のことをあんまり話さなかったよね、、

大陽

それがいけなかったのかな、、、?

大陽

今になって、何を言ったところで今更だけどさ。

大陽

僕は今でも

大陽

たかちゃんが好きだよ

大陽

大好きだよ

大陽

1か月前の退院の日

大陽

たかちゃんが僕の婚約者だと言ってたこと知って、

大陽

慌てて追いかけたんだけど、、´`*

大陽

どこにも居なかった

大陽

たかちゃんはいつもそうやって、

大陽

すぐどっか行っちゃうよね

大陽

昔、喧嘩した時にさ

大陽

たかちゃん家出てっちゃって

大陽

3日くらい帰ってこなかったよね

大陽

もちろんどこ探してもいなかったし、、

大陽

かくれんぼが上手だね、、、

大陽

ねぇ、

大陽

たかちゃん

大陽

僕、これで最後にするから

大陽

最後に聞いてよ

大陽

僕はね、

大陽

たかちゃんのことが大好きでした

大陽

今でも、、ずっっと

大陽

大好きです、、

大陽

何よりも愛しくて、何をしてても愛しくて

大陽

僕にとって、、たかちゃんは世界だった

大陽

でも、

大陽

もう、、終わりにする、、よ

大陽

きっと

大陽

新しい世界をつくるよ、、

大陽

ごめんね、、

大陽

ばいばい、、、、

最後は涙と嗚咽で、何を喋っているのか、自分でも聞き取れなかった。

その夜はずっと暗い部屋で泣き続けた。

しかし、そんな夜には頭中にメロディーが溢れて止まらなかった。

一晩で1曲を書き上げた。

異国の地で傘をさして歩いていた。

ここはオーストリアのウィーン。

服のデザインがこっちの会社の目にとまり、コラボの話が舞い降りた。

その取引のために一昨日から来た。

ついてないな、、

ここまで来て雨なんて。

1か月前の彼の退院の日。

すぐに姿を消した。

なるべく遠くに遠くに逃げた。

そう、''逃げる''という表現がお似合いだ。

 自分の気持ちから逃げたのだ。

溜めてきた気持ちが溢れて抑えが効かなくなる前に、気持ちから遠ざかりたかった。

毎日来るLINEも、無視を続けた。

ふぅ、、、

ホテル戻るか、、

雨の匂いはこっちでも変わらないな、と思った。

その時、ホテルの一室で電話がなり続けていることも知らずに。

ん、、留守電来てる、、

誰だろ、、

こういう時に限って鈍感なのは何故だろう。

 疑いもしなかった。

ベッドに座り、ネクタイを解きながらスマホを耳に当てた。

、、???!!

うそ、、だろ、、、

スピーカー越しに聞こえるのは、沈んだような自分を宥めるような彼の声だった。

いつしかそれは泣き声に変わり、想いを叫んでいた。

あぁ、俺は、と思った。

涙が止まらない。

(俺は、、何をしていたんだ、、)

(気持ちに従うしかない、、)

(何を、、何してたんだろ、、)

馬鹿だな、、フッ

それは目の前の霧が突然晴れ、その先に真っ青な空が見えたような気分だった。

答えはすぐ目の前にあったのに気が付かなかった。

自分はなんて愚かで馬鹿なんだろう、と自嘲した。

そして、涙を拭い、傘も持たずに部屋を飛び出した。

、、、

読んでくださってありがとうございます🥲🥲🥹

もう、ここでくっつきましたとさ!でいい気もしちゃうわね、、

だがしかし

クライマックスはこれからなんだなこれが、、

今回は色々ありましたね、、、

新キャラもイケメンの設定です、、

やだもう、、

次回はもっと色々あるかも、、、?!

お楽しみにー!

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あの男の人が気になるな…

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