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もしも女子高生に戻れたら

第1話 - もしも女子高生に戻れたら第1話

15,062

2020年07月28日

#ファンタジー

#恋愛

#学園

#青春

#アプリ

春野せり

3月下旬のある日

午前0時過ぎ

香川　真夏

お疲れさまでした…

上司

…………

上司

はぁ？まさか帰るつもりじゃないよな？

香川　真夏

えっ…

上司

まだお前の分の仕事残ってんだけど？

ドサッ！

香川　真夏

（私の机に大量の書類が…！）

香川　真夏

これを今からやるんですか？

上司

当たり前だろ。お前がやらなきゃ誰がやるんだよ

上司

もしかして、俺にやれってか？

香川　真夏

い、いえ…っ

香川　真夏

（私だけ夜ご飯も食べずに仕事してたのに…）

上司

俺たちが若いころはもっと必死に仕事に取り組んでたぞ？

香川　真夏

あっ、はい…

香川　真夏

（またその話…。もう耳にタコができてるわ）

香川　真夏

（それに他の社員はちゃっかり定時に帰らせてんじゃん）

香川　真夏

（何で私だけこんな目に…っ）

1時間後、なんとか仕事を終わらせた私は──

ボーっとしながら、ふらふらと歩いていた

香川　真夏

（何だか、日に日に疲れも取れにくくなってるし…）

香川　真夏

（精神も参ってきてる）

香川　真夏

（いつまでこんなことしないといけないんだろう）

香川　真夏

（これが本当に私のやりたいことだったのかな…）

香川　真夏

（私…なんのために生きてるんだろ）

香川　真夏

（人生のやり直しとか…そんな夢みたいなこと出来るわけないけど）

香川　真夏

（もしそんなことが出来たら、今とは違った生活が出来るのかな？）

香川　真夏

ははっ…夢でもそんな都合のいいことないか

香川　真夏

（25歳にもなって、なに考えてんだか…。現実見ろって話だよね）

4月初旬

ある日の午後10時

香川　真夏

（今日も残業で疲れちゃった…）

香川　真夏

（もうご飯もいいや…食欲もないし）

ピロリン♪

香川　真夏

…？メール？

香川　真夏

（最近、メールなんて誰にも送った覚えないんだけど…）

香川　真夏

（ん？見覚えないアドレス…）

【疲れ切っているあなたに、ドリームチャンス！】

【誰だって、一度くらい、人生やり直してみたいと思ったことがあるはず】

【そこで！開発版の新アプリの被験者になってみませんか…？】

【先着10名ですが、続々とチャレンジャーが集まっております！！】

【募集はあと1人！】

【そこのあなたのチャレンジ、お待ちしてます！】

香川　真夏

なにこれ？

香川　真夏

（あっ、最後にURLも記載されてる）

香川　真夏

（変なメール…。どうせよくある詐欺みたいなやつでしょ）

香川　真夏

（このURLタップして登録とかしたら、個人情報を抜かれる…みたいな）

香川　真夏

でも…

正直、なにかにすがりたい気持ちもあった

香川　真夏

（見てみるくらいなら大丈夫だよね？）

URLをタップすると、自動的によく分からないアプリがダウンロードされてしまった

香川　真夏

わっ！なにこれ…。『セカンドタイム』？

香川　真夏

（アプリのアイコンのところに書いてあるから、アプリ名だよね？）

香川　真夏

（あれ？勝手にアプリが起動し始めた！）

香川　真夏

会員登録画面？…なんかよく分かんないけど、なるようになれ！

香川　真夏

（もう詐欺でもいい！この人生から解放されるなら──）

現実逃避したくて、よく分からないアプリの会員登録をしてしまった

香川　真夏

（なんかもう眠い…）

香川　真夏

（今日はもうこのまま寝ちゃおう…）

あまりの疲労で、私はそのままソファで眠りについた…

翌日の昼過ぎ

香川　真夏

ん…

香川　真夏

あれ？私リビングで寝ちゃったのか…。仕事！！

香川　真夏

（あっ、今日は日曜だから休みだ…よかった）

香川　真夏

…ん？

ソファから立ち上がると、視線が低く感じた

香川　真夏

えぇぇぇぇっ！？！？

香川　真夏

どういうこと！？

鏡を見て、私は驚愕する

心なしか顔が幼くなっているように見える

背も少しだけ縮んだような…そんな気がする

香川　真夏

（…なにこれ！？）

香川　真夏

（あれ…私昨日…帰ってメイクも落とさず寝ちゃったはず…）

香川　真夏

（なのに…いつの間にかすっぴんになってるし、この顔って…）

香川　真夏

（なんか高校生くらいのときみたいな…高校生？）

香川　真夏

（まさか、身体だけ若返ったってこと…？そんなことあるの！？）

香川　真夏

（あれ？でも…記憶は…そのままだよね？昨日のことも覚えてるし）

香川　真夏

もしかして…まだ夢！？

香川　真夏

それとも、ただの気のせい…？

ピーンポーン

香川　真夏

…！

香川　真夏

（誰だろう？）

香川　真夏

はーい…

宅配の人

お届け物でーす

ガチャ

宅配の人

香川真夏様のお宅でよろしかったでしょうか？

宅配の人

小包がひとつ届いております。ハンコお願いします

香川　真夏

はい…

宅配の人

では、失礼します

香川　真夏

（差出人が書いてない？）

香川　真夏

（何も頼んだ覚えないんだけど…）

香川　真夏

（開けないほうがいいよね？）

香川　真夏

（私の身体といい、この荷物といい…どうなってんの！？）

香川　真夏

でも…なにか関係があるのかも…開けてみようかな

小包を開けると──

香川　真夏

…？学生証？と…制服？？

香川　真夏

あっ、メモも入ってる！

【あなたは高校3年の転校生として、黒羽高校へ通うことになりました！】

【名前はそのままでOK！】

【同梱した学生証と制服で、明日から通ってください】

【ただし、大人だということは誰にもバレないように！】

香川　真夏

…っ！？

ドサッ

私は思わず、制服と学生証を落としてしまう

香川　真夏

待って待って…。誰がこんなもの送ってきたの！？

香川　真夏

（もしかして、昨日の──）

慌てて、スマホのホーム画面にある『セカンドタイム』というアプリをタップすると

備考欄に、翌日に制服と学生証が届くと記されていた

香川　真夏

（今日は何日だっけ…。えっと…4月6日か）

香川　真夏

明日から高校3年生ってこと！？

香川　真夏

（確かに…この間、人生やり直したいとか思ってたけどさ…）

香川　真夏

（とりあえず、明日を待つしかない…）

翌日の朝

始業式の日

香川　真夏

（黒羽高校…来ちゃった…）

香川　真夏

（私は転校生なんだよね？確か）

香川　真夏

（でも今日が新学期初日なら、クラス替えとかもあるだろうし…中途半端な日よりはマシか）

香川　真夏

（うう…周りに学生がいっぱい…）

香川　真夏

（でも…もう行くしかない！！）

香川　真夏

（私の席はここか…）

香川　真夏

（当たり前だけど、周りが若いっ！）

須崎　玲美

あっ、前の席女の子だ～！ねぇ、名前教えて♪

突然、肩を叩かれた

香川　真夏

…！

香川　真夏

香川真夏（かがわまなつ）です…

須崎　玲美

真夏ちゃんね！私は、須崎玲美（すざきれみ）。よろしく！

須崎　玲美

あれ？でも真夏ちゃん…見ない顔だね？

香川　真夏

あっ！今日から転校してきたんだ…

須崎　玲美

そっか～♪ちょうど今日からなんだね！

西条　慎也

須崎さん…おはよう。えっと…

須崎　玲美

あっ、来た来た！西条くん、おはよう！今年も同じクラスだね

須崎　玲美

この子は今日からの転校生なんだって。香川真夏ちゃん！

香川　真夏

よろしくね

西条　慎也

うん、よろしく

香川　真夏

（隣の席は西条くん…か）

須崎　玲美

あっ、もうすぐ始業式始まるから、体育館行こう！

香川　真夏

う、うん…

香川　真夏

（場所わかんなかったからちょうどいいや！）

始業式後…

松山　吉弘

今日から君たちの担任になる、松山吉弘（まつやまよしひろ）だ。1年間よろしく

須崎　玲美

真夏ちゃん…あの人、今日赴任してきた先生だよ！

香川　真夏

そうなんだ？

須崎　玲美

先月までいなかったもん

香川　真夏

へぇ…

松山　吉弘

この春からこの学校にやってきたんだ。よろしく頼むぞ、みんな

生徒たち

は～い！

香川　真夏

（学年が変わる新学期だと、新しく赴任してきたりする先生いるもんね…）

香川　真夏

（それにしても教室ってこんなに狭かったっけ？）

香川　真夏

（私が通ってた高校はもう少し人数が少なかったから、そう思うのかな…）

香川　真夏

懐かしいな…

須崎　玲美

ん？

香川　真夏

あっ、ううん！何でもない！

香川　真夏

（今の私は高校生なんだった！！気をつけないと）

帰りのHR終了後

松山　吉弘

香川さん、少し話があるから残るように

香川　真夏

えっ、あ…はい

須崎　玲美

じゃあ、また明日ね！真夏ちゃん

香川　真夏

うん、バイバイ！

香川　真夏

（今日は始業式とかHRとかだけだったから、早く終わった…）

教室に誰もいなくなったころ、松山先生が再び教室へやって来た…

松山　吉弘

香川さん、今のところ誰にも話していないようだな

香川　真夏

えっ…

松山　吉弘

『セカンドタイム』…といえば分かるか？

香川　真夏

あっ…！えっ、でも何で…松山先生がそれを

松山　吉弘

俺はそのアプリの関係者だから。ちなみに、香川さんと同じ25歳だ

香川　真夏

えぇ！？同い年…

松山　吉弘

声がでかい…

香川　真夏

すみません…

香川　真夏

（驚くに決まってるじゃん！！）

松山　吉弘

分かってるとは思うが…アプリのこと、人生をやり直してることを

松山　吉弘

周りに言わないように。もちろん、俺のことも

香川　真夏

はい…それはもちろん言いません

香川　真夏

でも私…まだよくわかっていなくて…

松山　吉弘

10人目の『ドリームチャレンジャー』は香川さんになった

松山　吉弘

俺は、香川さんの見張り役としてここに来ている

松山　吉弘

『ドリームチャレンジャー』には、それぞれに見張り役が1人つくんだ

松山　吉弘

俺は一応、今日から赴任してきたっていうことになってるけど

松山　吉弘

この学校の人の記憶をすり替えているだけだから

香川　真夏

…っ

松山　吉弘

とりあえず、バレないようにやり直しを楽しんで…。じゃあな

香川　真夏

ちょっと待っ──

香川　真夏

（話すことだけ話して、もう行っちゃった…色々聞きたかったのに）

香川　真夏

（仕方ない、私も帰ろうっと）

翌日の朝

香川　真夏

（よし、せっかくのやり直し人生…明るく過ごそう！）

そう自分に言い聞かせ、玄関の外へ出ると…

西条　慎也

あれ？確か…香川さん、だよね？

香川　真夏

えっ、ここが西条くん…の家なの？

隣の玄関前に同じクラスの西条くんが立っていた

西条　慎也

うん、そうだよ

香川　真夏

（うそ！？隣に住んでるの！？！？）

香川　真夏

（隠し通せる気がしないんだけど…！）

もしも女子高生に戻れたら

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春野せり

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