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ミュール

アメリア様、よろしいですか?

アメリア

ああ、行け

ミュール

はい

ミュールが爆薬を投げる

と同時に、ヒュン、と誰かがそこを横切った

アメリア

 

きゃっ!?

 

ちょっと!何するのよ!

ミュール

!アメリア様!ターゲットが逃げます!

アメリア

撃つ!

女を退け、ターゲットに向け素早く黒い銃を取り出し、発砲する

アメリア

…悪いな、目撃情報なんて漏らされちゃたまったもんじゃないと…身に染みて知っているから

 

?、??

アメリア

さて、そういうわけだからすまないがお前も殺───

 

…失礼

アメリア

あ?誰だお前は

 

キミこそ誰だい?彼女が何者か知っているのかな?

アメリア

知るか

 

僕の婚約者だよ

アメリア

だから誰だお前は

 

 

僕は隣の街の、王だ

アメリア

街?この国の王はアッシャーだが

 

この人…教育を受けられてないのではないでしょうか?

 

失礼ですが、その…とても、荒っぽいですし

ターゲットの処理をしていたミュールがピクリと反応する

アメリア

…はあ、なんなんだ?お前らは

アメリア

するならちゃんと紹介しろよ

 

あなたね──!

 

こらこら、落ち着いて

 

キミはもう先に向かっててくれ

 

…はあ、分かったわ

女が去ったあと、男は微笑んで言う

 

ここの隣町はいわば"革命派"。王国自体に反する意識を持った者が集い…

 

"国"を創ろうとしている。

ミュール

アメリア

はあ?変なやつだな

 

そうかな?しかしもう僕たちの街は1つの国として認められ始めている

 

ほら…ヨーロッパにもあったろう?一部の地域が国になったり

アメリア

ほお?まあ好きにしてくれ、興味もないし時間もない

宗教勧誘のように話を聞かされ、アメリアは徐々にイライラしてくる

そもそも、女に目撃されたのが問題なのであって、この男に用はないのである。

 

…いや、違うのだよ

アメリア

…?

 

きみたち…僕たちの国でも有名だよ

 

"正義の殺し屋"アメリア一行、だね

 

こんなに教養のない人だとは思わなかったが…。

アメリア

…正義、なぁ

アメリア

別にそういうつもりはない、ただの仕事だ

 

そういう考えでよかった。

アメリア

…?

 

ともかく…

 

お前らが僕の国に侵入することになったらいけない

 

だがお前の経路ではそろそろだなぁ

アメリア

(…なんだ、様子が───)

ガシッと肩を掴まれ、男が取り出したのは銃だった。

アメリア

…殺る気か?

 

先手必勝

アメリア

王が直々に殺しとは。そんな国に殺し屋1人紛れたって問題ないだろ

小馬鹿にしたようにアメリアが言うと、男は更に力を込めて、アメリアに銃を向けた。

 

死んでくれ、お前なんかに存在価値があるわけないだろうし

アメリア

はは、それもそうだ

アメリア

まだ死なねーけど

アメリアは最高スピードで発砲まで至る。

しかしそれは簡単に避けられる

アメリア

…ほお?

 

王たる者、簡単に死ぬわけにはいかないんだ

 

偽りの正義なんかに…殺されてたまるかよ。

アメリア

…なんなんだ、お前は?

 

はは、まだ分からないのかい?

 

キミたちは…

 

王子から依頼を受けているんだろう?

そう耳元で囁かれた瞬間、全身にぶわりと血が回る

アメリア

…まさか

アメリア

(反シャーズドウム…そして、"偽りの正義")

アメリア

(王命で動くと周知で私を、殺すと言うコイツは)

アメリア

─────お前は

アメリア

この王国の全てを、壊そうとまで考えているのか

 

当然

 

僕が主体となって───

 

王子ライアンの即位後すぐに反乱を起こす

 

そして…

 

 

…王子ライアンと彼を取り巻く全ての人間を、殺す。

アメリア

…ふっ、おいミュール、去るぞ

ミュール

えっ?

アメリア

逃げるんだ。コイツに今勝てる見込みがない

ミュール

あ、え…?…はいっ

その男は、特に追いかけることもなく、ひらひらと手を振っている

 

あ、僕の名前はクロエだよ〜!

アメリアは挨拶程度に、まだ弾の残っている白い銃で3発撃つ

 

あははっ

 

───…またの機会にね、アメリアちゃん♪

 

必ずお前らを殺してみせる。

アメリア

アメリア

(反乱への想いで王国さえ成してしまうようなおかしなやつ───)

アメリア

(こういう自分の正義を持ったやつは、面倒だから戦いたくないんだ)

アメリア

(だって必ず…それに見合った、正義を実行できる強さを持ち合わせているから)

アメリア

(…違う、そんなのじゃない)

アメリア

(勝ったとしても────)

アメリア

(自分の中の何かを、奪われるような心地がするから。)

アメリア

(今じゃない。来るべきとき、私は必ずアイツを殺す。)
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