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君の涙の理由

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君の涙の理由

2 - 涙

♥

55

2020年11月14日

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森山浩太

悩みは聞けたか?

安田直樹

聞けなかったけど、何に悩んでいるかは分かった

森山浩太

どんな悩みだ?

安田直樹

……セクハラを受けてた

森山浩太

セクハラ!?

森山浩太

誰に?

安田直樹

部長に

森山浩太

部長って、どこの?

安田直樹

企画部

森山浩太

それって、うちの部署じゃないか……!

安田直樹

ああ

森山浩太

マジかよ

安田直樹

ああ

森山浩太

それで、どうするつもりだ?

安田直樹

セクハラを止めさせる

森山浩太

どうやって?

安田直樹

直接、部長に言おうと思う

森山浩太

ちょっと待て

森山浩太

そんなことしたら、お前の立場がヤバいだろう?

森山浩太

俺たち新入社員だぞ?

安田直樹

……そうだけど

安田直樹

紗織さんのためだったら、できる

森山浩太

どうしてそこまで?

森山浩太

付き合ってるわけでもないのに

安田直樹

どうしても、彼女の心からの笑顔が見たいんだ

安田直樹

僕は決めたんだ

安田直樹

彼女の悲しみの全てを取り除くって

森山浩太

……そうか

森山浩太

そういうお前のまっすぐなところ、良いと思うよ

森山浩太

でも、部長に直接言うのは危険すぎる

安田直樹

じゃあ、どうすれば

森山浩太

まず社内のセクハラ相談室に報告するんだ

森山浩太

そうすれば、部長は調査され、何らかの形で注意を受けるはずだ

森山浩太

これで、お前の立場も守られる

安田直樹

教えてくれて、ありがとう

安田直樹

そうしてみるよ

翌日。

直樹は相談室に行って、紗織のセクハラについて相談した。

会社は、この問題を調査して対処すると約束した。

安田直樹

(これで解決だな)

直樹は安心してこの日の仕事をこなした。

安田直樹

(……セクハラの相談を会社にしたことを、紗織さんに言わないと)

仕事終わりに、直樹は受付に向かった。

水瀬紗織

お疲れ様です

ちょうど紗織も帰るところだった。

直樹は会社を出る紗織を追いかけた。

安田直樹

紗織さん

会社の出口で紗織に声をかけた。

紗織が振り返った、その時、

部長

おい!

待ち伏せていた部長が、紗織の肩を掴んだ。

水瀬紗織

キャッ

安田直樹

(部長!)

部長

俺にセクハラされてると会社に訴えたらしいな

部長

おかげで上司に呼び出されて、注意を受けたよ

そう言って、部長は紗織に詰め寄った。

安田直樹

(そうか、部長はセクハラを僕に知られたことに気づいていない……!)

安田直樹

(だから、会社にセクハラ相談をしたのは紗織さんだと思ってるんだ……!)

水瀬紗織

何のことですか!?

水瀬紗織

私、知りません

部長

知らないわけないだろう!

部長

左遷されたらどうするつもりだ!

部長はそう叫んで紗織の肩を揺さぶった。

水瀬紗織

や、やめて……!

安田直樹

やめろ!

直樹は部長を紗織から剥がして、突き飛ばした。

部長

うぉっ

部長はよろけた。

部長

何するんだ! お前!

安田直樹

セクハラを訴えたのは、紗織さんじゃない!

安田直樹

僕だ!

部長

何だと!?

部長

お前、上司の俺にそんなことして、どうなるかわかってるのか!

そう怒鳴ると、部長は直樹に掴みかかってきた。

直樹はもう一度部長を突き飛ばした。

部長

うわっ

部長はその場に倒れこんだ。

直樹はとっさに紗織の手を掴んだ。

安田直樹

逃げましょう!

水瀬紗織

はい……!

部長

待て! お前ら!

部長の声を無視して、二人は走って逃げた。

全力で走ってきた二人は、駅前で立ち止まった。

後ろを見ると、部長は追ってきていない。

安田直樹

もう大丈夫でしょう

水瀬紗織

はい、そうですね

安田直樹

それじゃ、僕は帰ります

そう言って、直樹は駅に入ろうとした。

水瀬紗織

あ、待って

呼ばれて振り返る。

安田直樹

はい?

水瀬紗織

あの、少し休憩しませんか?

紗織はカフェを指差して言った。

水瀬紗織

助けてもらったお礼もしたいので

安田直樹

(紗織さんとお茶できる……!)

安田直樹

はい!

直樹は大きな声で返事をした。

直樹と紗織は、向かい合って座った。

水瀬紗織

ありがとうございます

水瀬紗織

セクハラを会社に報告して頂いたうえに、今日も助けてもらって

安田直樹

いえ、むしろ申し訳ないです

安田直樹

僕が勝手なことをしたせいで、大ごとになっちゃって

水瀬紗織

とんでもないです

水瀬紗織

私がいけないんです

水瀬紗織

何か月も前からセクハラを受けていたのに、誰にも相談できなくて

水瀬紗織

本当に助かりました

安田直樹

いえいえ、お礼なんて大丈夫です

直樹はそう言って、紗織の顔に見惚れた。

安田直樹

(紗織さんと、目の前で喋っている……!)

水瀬紗織

あの

安田直樹

はい……!

見惚れていたのを悟られないように返事した。

水瀬紗織

大丈夫ですか?

安田直樹

え?

安田直樹

何がですか?

水瀬紗織

あの部長さん、安田さんの上司ですよね?

安田直樹

……ああ、まぁ何とかなると思います

そう答えたが、実際は不安だった。

安田直樹

(新入社員なのに、上司を突き飛ばしたりして、一体どうなるんだろう……?)

水瀬紗織

このことで、安田さんの立場に影響したらと思うと、心配で

安田直樹

気にしないで大丈夫です

安田直樹

紗織さんは自分のことだけ考えてください

直樹は無理して笑った。

水瀬紗織

あの、どうしてですか?

安田直樹

どうしてって?

水瀬紗織

どうして、私のこと助けてくれたんですか?

紗織は直樹を見つめて、そう尋ねた。

安田直樹

(紗織さんが、こっちを見つめてる……!)

安田直樹

当然ですよ!

安田直樹

困っている人がいたら、誰だって助けます!

直樹はとっさにカッコつけて、そう宣言した。

それを見て、紗織は少し笑った。

安田直樹

(紗織さん、笑ってる?)

水瀬紗織

ごめんなさい

水瀬紗織

ヒーローみたいって思ったら、面白くなっちゃって

安田直樹

……やっと見れた

水瀬紗織

え?

安田直樹

笑顔です

安田直樹

僕はずっと、それを見たかったんです

紗織は不思議そうにこちらを見ている。

安田直樹

(……心の声を口に出して、紗織さんを戸惑わせちゃった)

安田直樹

あ、いえ、紗織さん、受付嬢だから、笑顔でいないと

安田直樹

いつも元気なさそうだから

安田直樹

受付が笑顔じゃないと、会社も活気づかないですよ

直樹はその場を取り繕うために、そう言った。

水瀬紗織

……そうですよね

紗織は俯いた。

水瀬紗織

……私、受付嬢失格ですよね

安田直樹

(え、紗織さんを傷つけた……!?)

安田直樹

いや、そういう意味じゃないんです

水瀬紗織

いいんです。その通りですから

安田直樹

……そんなつもりじゃ

水瀬紗織

……

気まずい沈黙が流れた。

安田直樹

……あの、ちょっとトイレ

その場に耐え切れず、直樹はトイレへ走った。

安田直樹

(説教をしたみたいになっちゃった)

安田直樹

(最悪だ)

少しして、直樹はトイレから席へ戻った。

見ると、紗織は涙を流していた。

安田直樹

(紗織さんが泣いてる……!)

安田直樹

ど、どうしたんですか!?

水瀬紗織

……ごめんなさい

そう言って、紗織は涙を拭いた。

安田直樹

すみません

安田直樹

さっきは説教みたいなことを言って

水瀬紗織

……いえ、そうじゃないんです

安田直樹

セクハラの件ですか?

安田直樹

それなら、もう大丈夫です。部長のことは任せてもらって

水瀬紗織

……違うんです

安田直樹

じゃあ、他に悩み事でも?

水瀬紗織

……何でもないです

水瀬紗織

大丈夫です

安田直樹

……そうですか

水瀬紗織

そろそろ、帰りましょう

安田直樹

……はい

僕たちはカフェを出て、それぞれの電車で帰った。

安田直樹

(……紗織さん、泣いてた)

安田直樹

(あの涙には、どんな理由があるんだろう……?)

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