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バクバクと心臓が鳴る。

緊張と不安が混ざる中、

赤葦くんは 震える手を握ってくれた。

久世仁奈

赤葦くん…

元彼

あ、仁奈〜……って、誰お前

改札を出たすぐの所に 元彼が立っている。

私を見つけて 笑顔になったと思えば、

隣を見て顔を顰めた。

赤葦京治

はじめまして、仁奈の彼氏です

突然の名前呼びに 動揺しつつも平静を装う。

元彼

は?

久世仁奈

そういう事だから…もう連絡しないでね

赤葦くんの手を引いて 唖然とする元彼を通り過ぎる。

私は何も考えずに ひたすら歩き続けた。

赤葦京治

久世先輩、どこ行くんですか?

久世仁奈

あ、ごめん!

赤葦くんに声をかけられて 我に返る。

パッと握っていた手を離した。

久世仁奈

あ、えっと、ありがとうね赤葦くん

久世仁奈

良ければクレープでも奢るよ

赤葦京治

いいですよ、俺から言ったんだし

赤葦京治

でもそうですね…

と、赤葦くんが私の乱れた横髪を 耳にかけてくれる。

距離の近さに また心臓が早まる中、

赤葦くんは 私の耳元に顔を寄せた。

久世仁奈

あ、赤葦く…

赤葦京治

アイツ、着いて来てますね

久世仁奈

私が後ろに目を向けると、

遠くの電柱に 何かが隠れた気がした。

赤葦京治

行きましょう

久世仁奈

ど、どこに?

赤葦京治

クレープ食べるんでしょ?

私の手を再びとる赤葦くん。

その意図に気付いた私は、 その大きな手を握り返した。

───30分前。

赤葦京治

俺にいい考えがあるんですけど、聞いてくれますか?

ホームに出るとドアが 閉まった電車は行ってしまった。

赤葦京治

俺が偽彼氏になるっていうのはどうですかね

久世仁奈

偽彼氏…?

赤葦京治

新しい彼氏ができたって知れば引くかもしれませんよ

赤葦京治

…まあそんなに容易く引き下がる感じじゃなさそうだけど

久世仁奈

なるほど…

久世仁奈

私はすごく有難いけど赤葦くんは大丈夫?

赤葦京治

何がですか?

久世仁奈

か、彼女さんとか…

赤葦京治

俺彼女いませんよ

久世仁奈

え、意外…

赤葦京治

そうですか?

こうして私と赤葦くんの 長いようで短い、

偽カップル作戦が 幕を開けたのだった。

偽 彼 氏 が 優 し 過 ぎ る

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