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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

んで俺らがこんなこと……

コロコロと 壁を塗りたくる俺ら 落書きされた後が消えねぇんだとよ

蘇枋

仕方ないよ。桜君

蘇枋

あとそこ塗り残しがあるよ

あ"ぁっうっせ!

きっと今はすんごいしかめっ面を していると思う。 確かに俺が塗った所だけ 塗り残しだらけ ムラだらけ

楡井

桜さんもまだまだッスね~!

こんなとこで新たな才能解放してんじゃねぇよ楡井っ!!

楡井は以外にも壁塗りが 上手かった。 蘇枋は俺らが塗れないちょっと高いところを 綺麗に塗っていた。

おいお前らうるせぇぞ!
黙って手ぇ動かせ!

蘇枋

わー!
桜くんの所為で怒られちゃったじゃん~

え"っ俺の所為?

楡井

も~桜さんは~

と、楡井まで悪ノリしてくる始末。 その後俺らは、黙って手を 動かし壁の色を塗り終えた。

街に異変はねぇからとりあえずここで解散だ

柊の声が鳴り響いた。 細道な場所だったので、 大きな声がさらに 大きく拡がっていた。

あ"ー

やっと終わった

蘇枋

桜君が最初から綺麗に塗ってくれてれば
手間は省けたんだけどね

アハっと蘇枋が笑った。 楡井も、

楡井

ま、まぁまぁ
結果的におわれましたし…

っと無意識ながらにディスっている。 俺がいるから永遠に終われないとでも思ったのか此奴

蘇枋

さてもう日が暮れそうだし、
そろそろ帰ろうか

蘇枋

そうっスね!

じゃ、俺こっちだから

楡井

はい!桜さん!

蘇枋

じゃーね
にれくん

蘇枋

気をつけて帰りなよ

楡井

あれ、
蘇枋さんって桜さんと
逆方向じゃなかったですっけ

楡井

いつも俺と同じ方向ですよね

蘇枋

あー...

俺は人差し指を口元に立て、 にれくんにこう放った

蘇枋

心配だからね。

好きな人が、 とは 死んでも言わないけど。

それから俺は桜君の後を追った。 この想いは、 噛み砕いて飲み込む事にした。

一人で帰る帰り道。 さっきまでとはまるで違って ものすごく静かだった。 この街に来る前の俺みたいだった。

1人になる時間が、 嫌でも昔をチラつかせてきた。

蘇枋

さーくーらー君

……

昔の光景が目に映る。 こんなに俺は、 1人が怖くなっちまってたんだと、 気付かされた。

蘇枋

……

蘇枋

" 遥 " くん

急に名前を呼ばれた驚きから、 現実へと引き戻された

俺は一体どんな顔をしていただろうか。 昔の思い出から、 引っ張り挙げられた。 感謝してもしきれないほどだ

す、おう

蘇枋

どうしたの桜君

蘇枋

何か考え事?

ケロっと普通に話しかけてきた 蘇枋を見て、 安心したのと同時に、 下の名前で呼ばれたのは きっと気の所為だと思い知らされた。

何でもねぇよ

蘇枋

そう?

蘇枋

その割には考え込んでたみたいだけど

何でもねぇって

つかなんでこっちいんだよ

蘇枋

桜君が心配でねー!

心配して来てくれるのは嬉しい。 正直俺の心臓が激しく動いている のを感じる。 でもそれ以上に、苦しく感じた。

顔が俯いてしまっている俺。 蘇枋が腰をかかげて俺の顔を覗き込もうとしていた。 見かねたのか、蘇枋が俺の顔を掴んで 上へとグイッとあげた

ちょっ、すおっ

いてぇっもげる

首っ……もげるっ……

首がもげそうな程上に突き上げられ、 さすがに死ぬかと思った それでなお笑ってやがる此奴… やっぱどう見てもSっけがある 行動だった。

ちょ、おま、いつまで笑ってんだよ

蘇枋

やぁ、ごめんごめん笑

蘇枋

桜君の反応がどうしても可愛くってね

可愛いなんて言葉を、 しっかりと俺に向けて言われたのは初めてだった。 どちらかと言えば、怖いだの 気持ち悪いだの、 悪意がある言葉ばかりだった

ど、ど、どっこが可愛いんだよ

蘇枋

アッハハ

蘇枋

桜くん、顔真っ赤だよ

あぁ"!?赤くねぇよ

それでもまだ笑いが止まらない 蘇枋。 こんなにこいつに目を取られるなんて、 今まであんまりなかったはずなのに。

蘇枋がちゃんと笑っている気がして、 俺の目はどんどんと、 奪われて行った。

あぁ、ずっと一緒に居たい。 一緒の気持ちに、 なんて、そんなわけが無い。 だって俺は知っているから

見返りを求める恋なんて、 本当の恋と言えるのだろうか。

飲み込んだ飴玉。

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