怜央
棗
上手く言葉が出ない。どうしよう……。
あ、紙に書かないと。
棗
怜央
何か言って、小さな紙をくれた。
棗
僕の耳はほとんど聞こえません。
怜央
怜央
悪い、気づかなかった
文字を見てびっくりした。
この人無愛想で、ピアスもいっぱついてるから怖いのかと思ってた。
顔は整ってるのに笑わないなんて少し残念な気がする。
僕は顔の横で両手の親指と4本指を近付けたり離したりと手をパクパクして見せた。
笑って?
怜央
瀬戸くんも僕の真似をして手を動かした。
笑ってくれたけれど、笑顔が不器用でなんだか笑ってしまった。
棗
怜央
ムッとした顔でこっちを見るけれど睨んだりしないから怖い人じゃないと思う。
優しいね
怜央
棗
当たり前だろ
何を言ったかは分からないけれど、微かだけど笑ってたしきっといい事があったんだと思う。
俺もう行くから
棗
上手く発音出来たかな。
見上げると何故か髪をぐしゃぐしゃに撫でられた。
手、大きかったな……。撫でられた所を抑えながら教室を出るのを見届けた。
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