さとみside
だんだん暑さが抜けてきて、涼しい北風が四角く切り取られた窓からすぅっと入ってくる気持ちのいい昼休み…………
蒼瀬 ころん
狗井 莉犬
蒼瀬 ころん
………のはずだった。
俺の耳に入って来たのは、怒鳴り散らすころんの声とそれに対抗する莉犬の声だった。
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
そういって、俺の袖を掴んでくるころん。そんな気持ち悪いころんの手をすぐに引き離し、莉犬の方に体を向けた。
蒼瀬 ころん
という、ころんの声を無視して。
百瀬 さとみ
莉犬と仲良くなり始めて、今では敬語も外れ、お互い、名前で呼び合う仲にまで達していた。
狗井 莉犬
そんな莉犬から、急な呼び出しに、驚きはしたものの、平然を装い、俺は頷いた。
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
狗井 莉犬
蒼瀬 ころん
百瀬 さとみ
蒼瀬 ころん
スタスタスタ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
なぜか、その時の莉犬の目は、明らかに殺気立っていて、その目は激怒の最高潮に溢れていたのは、気のせいだったのだろうか……。 それに、口調も少し荒っぽかったというか………。 ま、莉犬はそんなことないな、なんて軽い気持ちで莉犬のあとに続いて、その場をあとにした。
ガチャ(ドアを開ける音)
俺の目の前にいる莉犬は、ドアノブを開けた瞬間、数歩、歩き、すぐそばまである柵に手をかけた。 そのとき、莉犬は信じられない力で柵を握っていた。 怒っているのだと、それは目にした瞬間わかった。 なぜなら、莉犬の手からギギギと嫌な音が俺の耳に届いたからだった。
百瀬 さとみ
莉犬は、俺の方を一切見ず、ただただ柵の向こう岸をずっと眺めているだけだった。 なので顔全体は見えず、口元だけかすかに見える程度だった。
狗井 莉犬
いきなり何を話し出すのかと思ったら、なんだ、ころんの話か……。と、俺は深くため息をついた。
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
俺は、すぐにころんの話ともなると嫌な記憶しか脳裏をよぎらないため、あいつの話は聞かないようにしている。 でも、莉犬がここまで声を荒げて話すってことは何かがあったんだろうと思い、俺は、屋上出口の階段に繫がるドアノブを開けようと思っていた手を反射的に止める。
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
狗井 莉犬
そう言って莉犬は勢い良く後ろを振り返り、俺と目があう。 その顔を見て、俺は驚きを隠せなかった。
なぜなら、目元は真っ赤になり、眉を中心に寄せている。 そして、泣いていた跡がしっかりと残されていたからだった。 きっと、ここに移動してる最中に泣いたのだろう。それも、声をあげずに。
百瀬 さとみ
そんな莉犬に驚きはしたが、冷静さを取り戻し、莉犬に聞く。
狗井 莉犬
百瀬 さとみ
コメント
6件
え、、、、、神作。楽しみです((o(。>ω<。)o))