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朱と紫が心を濡らす。

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朱と紫が心を濡らす。

7 - ep.7 伝える気持ち と 伝わらない気持ち

♥

540

2022年08月30日

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後悔はしてない 。

君を好きなことは

譲れないんだ。

ep.7 伝える気持ち と 伝わらない気持ち

拓哉

ッ!!…

2人の沈黙を割くように

ドアを開ける音

ガチャッ

斗亜

お!

斗亜

びっくりしたっ!💦

拓哉

斗亜…

2人のただならぬ空気を感じ

まるで小動物のように 2人の顔を往復する様は

不安気な表情をしていた

斗亜

なにかあったんですか?!

咄嗟に聞いたのが小島だったことに

西村は少し胸がザワついた

んん…別に!

もう用済んだから帰るわ

斗亜

え!

ガチャッ

気まずさの残った空気

嶋﨑はこの空気を察したが

原因までは分からなかった

拓哉

ふぅー…

斗亜

どしたん?

拓哉

んーん?ただちょっと話してただけやで…

斗亜

そっか💦

その表情に違和感を感じたが

嶋﨑はこれ以上追求しなかった

その空気を断ち切るように 西村が話しかける

拓哉

それよりさ斗亜

斗亜

んー?

拓哉

斗亜の誕生日空いてるやろ?

斗亜

んえ?

斗亜

まぁ…

拓哉

小島くんから聞いたよ

拓哉

東京行くんだって?

斗亜

うん…

拓哉

じゃあさ

拓哉

俺の遊び付き合ってや?

斗亜

あそび??

拓哉

あーもうだから!

拓哉

デートやデート!

斗亜

デートってw

苦笑いの嶋﨑に詰め寄る西村

拓哉

ええやん別にー

拓哉

斗亜も寂しくないし

拓哉

俺も楽しいし

拓哉

win-winやん!

斗亜

いや!別に寂しくなんかっ…!

拓哉

はいはいはいはい…
で、どうする?

嶋﨑は口をむっと萎めて考える

斗亜

でも…風さんたち呼ばんの?

拓哉

あー風さんたちなら

拓哉

3人で遊ぶからええねんて

ほんまは風さんに 口封じしてもろてるんやけど…

斗亜

んー…

斗亜

考えとく

拓哉

なっ…いや即決やろ?!

斗亜

考えとく!

ガチャッ

扉を開けて出て行く嶋﨑に 目を丸くして唖然とする西村

拓哉

えー!?…

タッタッタッ

斗亜

ハァハァ…

斗亜

どこいったん小島くん…

部屋から出た嶋﨑は 小島が先に帰ったことを聞き 急いで追いかけた

しかし、見つからないまま 橋の上で息を整える

斗亜

そや…でんわ…

ピッ

プルルル

斗亜

あーもう出てや!

もしもーし

斗亜

うわっ!

斗亜

どっから来たんすか!!

後ろからすっと現れた小島に驚く嶋﨑

そんな驚くなやw

考え事しながらそこのベンチに座っとったら

斗亜が凄い勢いで走っていくの見えて
電話かかってきたから来たんよ

斗亜

あぁ…そうやったんすね

どしたん?

斗亜

あ、いや…

一瞬部屋で西村と話していたのは 何かを聞こうとしてやめた

斗亜

今日珍しく一緒に帰ろうって言わんかったから

斗亜

なんかあったんかなーって…

あぁ…

別になんもないで?

その時、小島の哀しそうな表情を 嶋﨑は見逃さなかった

斗亜

なんもないって…
そんなことないやん絶対

斗亜

言うてくださいよ!

斗亜

だって僕ら…

その先の言葉を言おうとして 嶋﨑は止まってしまった

僕ら…"ただの先輩後輩"やろ…?

斗亜

た…ただのって

じゃあなんやねん…

小島の悲しげな表情に 戸惑いが隠せない

斗亜

そんな…でもただの仲じゃ…

ただの仲じゃなくても…

斗亜にとって俺は"先輩"でしかないやん…

これから変わることはあるん…?

投げかけられた質問に黙り込んでしまう

斗亜

そっか…

ごめんな斗亜

もう誕生日は祝えそうにないし
誰か他の奴と楽しんでな

斗亜

えっ…

じゃっ

最後に笑いかけた瞳が嘘だと言っている でも、それを引き止めることは 今の嶋﨑には出来なかった

後ろ姿を見送りながら 何も出来ずに 息を呑んだ。

それから小島くんと

電話もLINEもする回数が減った。

完全に止んだ訳じゃない

でも確かに

距離を感じるような。

ただの先輩と後輩の仲に

確実に"なっている"気がした

何もあの時の事を話せないまま

東京へ行く小島くんを見送った

〜 誕生日当日 〜

拓哉

お、いた!

拓哉

こっちこっち!

斗亜

ほんまにいた…1人で

斗亜

てかはやない?

拓哉

そう?今きたとこよ
ここ結構混むから先に
チケット取っといたから!

斗亜

え、西村くんのくせに手際いい

拓哉

人聞き悪いなぁ

拓哉

俺だから当然やん!

斗亜

まぁそういうことにしとこ

拓哉

よしっレッツゴー!

斗亜

オー!…
はずっww

斗亜

遊園地久々やぁ〜!

拓哉

はしゃいでるん?笑

斗亜

っさいなぁー

斗亜

西村くんも嬉しそうやん笑

拓哉

まぁそりゃそうやろ

斗亜

ほんまに気づいてないんやなぁ…

拓哉

俺も楽しみやったからねー

斗亜

そんなに遊園地好きやったんやぁ!

拓哉

そそ笑

拓哉

あー!斗亜あれ見ぃ!

西村が指差す方向には ジェットコースターが見える

斗亜

うわっ乗りたい!

拓哉

あんなんもあるで!
回るやつ!

目線の先にはキラキラの白馬が 子供たちを乗せて回っている

斗亜

メリーゴーランドな。

拓哉

そう
めりーごーらんど!

斗亜

西村くんはなんか乗りたいのないん?

拓哉

。。。

拓哉

あれいこ!

拓哉

いぇ〜〜い!!

斗亜

いやなんでこっちの回るやつなんんんん!?

数回回ったのち ゆっくりと停止した後 西村は満足そうな表情を浮かべる

斗亜

西村くんが楽しそうならよかった笑

拓哉

んえ?

拓哉

めっちゃ楽しいやろこれ!
名前わからんけど回るやつ!

斗亜

いや楽しいけど!

斗亜

もっとこう年齢的に刺激が欲しいねん

拓哉

大人やなぁ

斗亜

ちゃうてwやめいww

斗亜

次斗亜が決めるわ

拓哉

おう望むとこよ!

斗亜

あそこにしよ!

拓哉

え?
よし!…

拓哉

却下で!

斗亜

いや行こうて!
一回だけ!なっ?

拓哉

いやだ!

斗亜

んっ!
うるさいはよこい

拓哉

やだ!

拓哉

やだぁあああああ!!!

斗亜

ぎゃああああああ!!

拓哉

だからお化け屋敷は行かん言うたのに!

斗亜

怖いけど行きたいやん!
ちょっ離れんといて!!

拓哉

えっ!!?
俺もずっととあの腕掴んでるよ…!?
離れてへんてッッ!!?

斗亜

え…じゃあこの腕は…

二人がゆっくりと目線を合わせると そこには髪の長い女が立っていた

斗亜

うわあああああああ!!

拓哉

いやあああああああ!!

とんでもない速度で走り出す二人に 幽霊達は脅かす暇もなく

二人は出口を抜け出た

拓哉

はぁはぁ…

斗亜

はぁはぁ…

斗亜

しぬかと思った…

拓哉

し…しんだ…

2人は顔を合わせると突然笑い出した

斗亜

ぷっ…あはは!

拓哉

あはは!
ビビりすぎだよ笑

斗亜

いや西村くんも
うわあああ!言うてたから笑笑

拓哉

いや、そう笑
2人ともビビりすぎ笑笑

2人はひとしきり笑い終えると 西村が話し出す

拓哉

なんか斗亜がこんなに笑ってんの
久しぶり見た感じ。

斗亜

斗亜

そうかな…

拓哉

うん

拓哉

いっつも小島くんのことばっか
考えてたやろ〜

斗亜

なっ…!
ちゃぅ…って!

拓哉

その反応がもろやん笑

斗亜

…!
いやほんまちゃうから!

斗亜

ただ…

嶋﨑は下を向いてもう一度 西村の顔を見上げる

斗亜

なんか…斗亜の言い方が悪くて

斗亜

小島くんを悲しませたんかなって…

斗亜

そこはずっと引っかかってるねん…。

嶋﨑が打ち明けた言葉に間髪入れずに 西村は続ける

拓哉

いやそれはちゃうよ

斗亜

えっ?

拓哉

それは斗亜のせいやないよ

斗亜

なんで西村くんがそんなん…

拓哉

わかるよ

拓哉

だって
小島くんが斗亜のこと好きなんと
おんなじくらい

拓哉

俺も斗亜のこと好きやから

斗亜

えっ…

一瞬静まりかえる空気

その一瞬のうちに嶋﨑の思考は ストップしてしまった

斗亜

え、どゆこ…

拓哉

だからそのままやて

拓哉

俺も斗亜のことが好き。

斗亜

え…ほんま?

拓哉

ほんとや!言うてるやん!

斗亜

嶋﨑は目を丸くしたまま その場で壊れた玩具のように動かない

拓哉

だから

拓哉

小島くんが自分に対して
悲しむ気持ちはわかるよ

拓哉

たぶん

拓哉

斗亜を好きすぎるから

拓哉

一緒に誕生日を祝えないことや

拓哉

変えれない現状がきつくて

拓哉

悲しくなったんちゃうかな…

あと…あの時俺が…

拓哉

だから、斗亜のせいやないよ

斗亜

斗亜

うん…

拓哉

ほら!顔あげてみ?

斗亜

んっ…

西村は嶋﨑の頬を両手で支えるように あげるとにっこりと優しく微笑んだ

斗亜

や、やめぇ!…って

拓哉

ふふっ

拓哉

やっぱ斗亜はかわええなぁ

斗亜

いきなりどしたん!?

拓哉

これだけ言うても全然信じてへんやろ

斗亜

んーなんかずっと一緒におったし…

斗亜

西村くんやし

斗亜

あのアホの。

斗亜

そんな急にはちょっとなぁ…

拓哉

カッチーン
怒った

西村が近くのベンチに腰をかけて 顔を手で隠しながらうなだれる

拓哉

もうダルいわほんま…

拓哉

はぁー…

嶋﨑がその様子に 少し言い過ぎてしまったと感じて 西村の前にしゃがみ込む

斗亜

あっ…西村くんごめ…

顔を隠した手を握った瞬間…

突然その手を握り返してきた西村が 引っ張ると同時に…

唇にそっと口づけをした

斗亜

…ッッ!

斗亜

!!?

一瞬の出来事に思考が追いつかずに 頭がパニックを起こしていると

西村は唇を離して 愛しそうに見つめながら

拓哉

仕返し…

と囁いた

続く…

作者から。

いつも読んでいただき ありがとうございます。

更新が遅くなってしまい申し訳ありません

仕事や体調が悪くなったりで 中々手をつけられずにいました。

しかし、いつも読んでくれている 皆様がいるおかげで

遅くともなんとか続きを書いて 行けそうです。

私の中で物語はもう 終着へと迫っている状態です。

どうかこれからも 応援していただけましたら 幸いです。

最後までお楽しみください。

エト

朱と紫が心を濡らす。

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540

コメント

4

ユーザー

わー!!拓哉キスしちゃうん?!これからどうなるんや…!

ユーザー

続きが楽しみです!

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