死んだはずの男

第19話

君の隣

1,690

2020年02月18日

#ホラー

#短編集

テラーノベル

ナオキ

ほんとだって、彼女いないし

まりりん

えー、なんか嘘くさーい

ナオキ

合コンで会った時から、可愛いって思ってたんだよね

ナオキ

俺、めっちゃタイプなんだけど

まりりん

誰にでも言ってるんでしょー

ナオキ

そんなことないって

ナオキ

好きになったら一途なタイプだし

まりりん

ほんとに？なんか意外だよね

まりりん

ナオキ君って遊んでそうだもん

ナオキ

よく誤解されるんだよね

ナオキ

まりりん、この後どうする？

まりりん

うーん、どうしよっか？

ナオキ

まりりんって一人暮らしだよね

ナオキ

遊びに行っていい？

まりりん

ダメだって、部屋散らかってるし

ナオキ

いいじゃん、俺気にしないから

ナオキ

まりりんともっと一緒にいたいんだよね

まりりん

えーどうしよっかなぁ。何にもしない？

ナオキ

しないって、俺って意外と真面目だし

まりりん

もう、仕方ないなぁ。いいよ来ても

ナオキ

やったぁ！！

まりりん

じゃ、ちょっとトイレ行ってくる

ナオキ

いってらっしゃーい！

ナオキ

（上手くいったぞ、ちょろいな）

ナオキ

ん？アキヒロからメッセージだ

ナオキ

今、カフェでデート中だけど

ナオキ

アキヒロ、何か用か？

アキヒロ

悪いな、お楽しみのところ邪魔して

ナオキ

気にすんなって

ナオキ

この間、合コンで知り合った子といい感じなんだよね

ナオキ

顔はイマイチだけど、胸が大きくってさー

アキヒロ

お前って相変わらずだな

アキヒロ

そろそろ落ち着いたほうがいいぞ

ナオキ

だって俺、女の子が大好きなんだもーん笑

アキヒロ

まあ、いいや。ちょっと話があるんだ

アキヒロ

突然だけど…俺、実は霊感があってさ

ナオキ

霊感って、マジかよ！

アキヒロ

興味本位でいろいろ聞かれるのが面倒で、黙ってたんだ

ナオキ

ふーん。で、話ってのはそれだけか？

アキヒロ

いや…昼間大学で会った時には言えなかったんだけど…

アキヒロ

やっぱり、どうしても気になって…

ナオキ

何だよ、はっきり言えよ！

アキヒロ

…お前の左隣に女の霊がいるんだ

ナオキ

は？何言ってんだよ

ナオキ

マジうけるわ。俺のことビビらそうとしてんのか？

アキヒロ

真面目に聞けよ

アキヒロ

長い黒髪のセーラー服の女の子だ

ナオキ

セーラー服って…

ナオキ

（もしかして…いや、まさかな）

アキヒロ

お前、散々女の子泣かしてきてるから、恨まれてるとかじゃないの？

アキヒロ

死んでなくても怨念みたいなのが憑いたりもするからな

ナオキ

やめろって。そんな訳ないだろ

まりりん

お待たせー

まりりん

じゃ、行こっか

ナオキ

えっ…

まりりん

ナオキ君、うち来るんでしょ？

ナオキ

あっ、ごめん。やっぱ今日はやめとくわ

ナオキ

もう帰るよ。またね

まりりん

えっ、そんなちょっと待ってよ！

ナオキ

はあ…せっかくのチャンスだったのに

ナオキ

やっぱ、まりりんの部屋行けば良かった

ナオキ

（大体、アキヒロの奴が変なこと言うからだ）

ナオキ

（別に、何も気にしてないからな）

ガッシャーーーーン

ナオキ

うわっ、何だ！！

ナオキ

えっ…植木鉢

通行人

ちょっと、あなた大丈夫？

ナオキ

あっ、はい。大丈夫です

通行人

それにしても危なかったわね

通行人

こんなの直撃したら死んでたかもしれないわ

ナオキ

死んでた…

ナオキ

（何だか嫌な予感がする…）

ナオキ

（今日は早く帰って、家でおとなしくしてよう）

ナオキが交差点を曲がろうとすると

ブオーーーーーン

ナオキ

うわっっっ、あぶねえなー

ナオキ

あのバイク、猛スピードで走っていった

ナオキ

もし、衝突してたら…

ナオキ

はあ…やっと駅に着いた

ナオキ

それにしても今日は厄日だ

ナオキ

植木鉢といい、さっきのバイクといい

間もなく2番線に電車がまいります

ナオキ

もうすぐ電車も来るみたいだな

ドンッ！！

ナオキ

うわーーーーーーーー！！

野次馬

なんだ、なんだ！どうしたんだ？

サラリーマン

君、突然飛び出したら危ないぞ！

ナオキ

あっ…あ…

ナオキ

（違う…今確かに背中を押されたんだ）

ナオキ

（俺、狙われているのか…）

ナオキ

アキヒロ、ヤバい。俺、殺される！どうすればいいんだ

アキヒロ

ナオキ、どうした？大丈夫か？

ナオキ

お前の言ってたとおりだ

ナオキ

俺、女の霊に憑りつかれてる！

アキヒロ

やっぱり心当たりがあったんだな

アキヒロ

詳しく話してみろ

ナオキ

高校の時に付き合ってたマユって子がいるんだけど…

ナオキ

俺と別れた後、自殺したんだ

アキヒロ

自殺…

ナオキ

ビルの屋上から飛び降りたんだ

ナオキ

なあ、俺どうしたらいいんだ？

ナオキ

このままじゃ…

アキヒロ

今から彼女が飛び降りたビルに行け！

アキヒロ

俺んち、親戚に霊媒師がいるから

アキヒロ

俺にもナオキのお祓いができると思う

ナオキ

アキヒロ、こっちだ

アキヒロ

悪い、待たせたな

ナオキ

なあ、ほんとに俺の隣にいるのはマユなのか？

ナオキ

あれから3年も経ったのに、なんで今さらなんだよ！

ナオキ

とにかく、早く俺の隣の女を追い払ってくれよ！

アキヒロ

わかった、俺にまかせろ

グサッ

ナオキ

うぐっ…ぐあ…

ナオキ

ど、どうして…

ナオキ

（俺、アキヒロに刺されたのか…）

ナオキ

（アキヒロの奴、笑ってやがる…）

アキヒロ

お前が全然反省してないからだよ

アキヒロ

お前が付き合っていた彼女のマユは

アキヒロ

俺の妹だ！！

ナオキ

そ、そんな…アキヒロがマユの…

アキヒロ

親が離婚したから、ずっと別々に暮らしてたけどな

アキヒロ

マユはお前に都合よく弄ばれて

アキヒロ

飽きたら、まるでゴミのように捨てられた

ナオキ

ち、ちがうんだ。俺はそんなつもりは…

アキヒロ

大学でお前に出会った時

アキヒロ

すぐにマユが付き合っていた男だと気づいたよ

アキヒロ

でも、お前が反省しているなら許そうと思ってた

アキヒロ

でも、お前は懲りずに女遊びをしていた

アキヒロ

マユのことなんて、すっかり忘れていたんだろう？

ナオキ

わ、悪かった。頼むから助けてくれ！

ナオキ

なあ、俺たち友達だろ？

アキヒロ

お前なんか友達じゃない

アキヒロ

お前もマユと同じ苦しみを味わうんだ

アキヒロ

お前の内臓を全部えぐりだしてやる！！

ナオキ

や、や、やめてくれーーーーーーー！！

アキヒロ

フフフッ

アキヒロ

お前が単純バカでよかったよ

アキヒロ

こんな簡単に信じるとはな

アキヒロ

俺には霊感なんて全くないよ

アキヒロ

お前の隣には誰もいない

アキヒロ

マユ…

アキヒロ

俺は忘れない…

アキヒロ

俺の隣にはいつも君がいるよ

死んだはずの男

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じゃあ誰が突き落とそうとしたんだ？独り歩きした都市伝説みたいになってんぞ…

あーあ

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