主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
中也視点
太宰、好きだ と伝えた
太宰はそれに肯定で答えた
その後、少しずつ、水に変わって行く
中原 中也
躰が跳ねて目が覚めた。
夢…
だったらしい
躰にシャツが張り付いて気持ち悪い。 枕が濡れて居る。
中原 中也
ソファを見るとすやすやと眠る太宰が見えた。
酒を飲もうなんて云って勝手に泊まられたのだ。
太宰 治
中原 中也
そうやってはぐらかし、風呂場に向かう
太宰 治
太宰が少し心配したような目を向ける
ザアザアとシャワーから水の出る音がする。
それを浴びながら俺は昔の事を思い出して居た。
厭な記憶だ。
〝羊〟構成員
ある日、まだ俺が〝羊〟にいた頃
〝羊〟構成員
なんて途切れ途切れに伝えてきた。
その時、俺もその女子を気に入っていたから良いよ、と応えたのだ。
中原 中也
その後、俺は瞠目する。
そいつの躰が、溶け始めたから。
〝羊〟構成員
〝羊〟構成員
そいつは微笑ってそう云ったが、俺の混乱は収まらない。
〝羊〟構成員
パンッ
と音がしてそいつが消えた。
中原 中也
本当に、最低な記憶だ。
その時俺は、自分がジュースだと気付いた。
太宰がもしも___
パンッ
ああなったら…
だから、この想いは伝えられない。 伝えてはいけない。
だけど伝えたい。 伝えなきゃ結ばれない。
相反する感情が俺の心を染め上げる。
どうしたらいいのか
どうすべきなのか
分からない。
否、まず第一太宰がアイスだなんて証拠ないじゃ無いか…
そうだ、一ヶ月程前に聞いた時だって、違うと云った。
そもそも、俺のことが好きかどうかすらも…。
太宰 治
太宰の声がすぐ近くに聞こえて思わず飛び上がりそうになる。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
なんて何時もの他愛無い会話。
もやっとした感情を抱えたまま服を着替えた。
太宰視点
太宰 治
なるべく無関心を装って云ったつもりだったけど、少し心配な感情が出てしまっていた。
太宰 治
腐っても元ポートマフィア最年少幹部だ。異常な気配に気付くなんて呼吸よりも極めて居る。
目が覚めたとき、中也は魘されて居た。
中也、と何度か呼びかけても目が覚めるような気配が無かったから、耳を澄ましながら寝たふりをしていたのだ。
ふと、〝アイス〟という言葉が聞こえた気がして肩が跳ねる。
しかし別に私に向かって云ったわけでは無いと気付き、ほっと溜息を吐く。
太宰 治
私は中也に自分がアイスだということを打ち明けて居ない。
打ち明けたら絶対に中也は私と結ばれようとしないだろうから。
だから極力躰には触らないようにして居た。
体温が低いとバレてしまう為だ。
…中也の事が、好きだ。
悔しいけれど。
だから、結ばれたい。
恋人に、なりたい。
だけど。
結ばれれば『一緒』が終わって仕舞う。
初めて
『死にたく無い』
と思った。
どうしようも無い気持ちを持て余す。
太宰 治
逆上せて倒れて居ないだろうかと心配になり見に行った。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
内心良かったと思い乍ら何時もの軽口を叩く。
中原 中也
何時も調子の中也の声が聞こえて安心した。
少しはっきりしない気持ちを吐き出せない儘、中也の家の物を借り_怒られたけど_何時も通り出社した。
神の声視点
太宰 治
デスクに向かい乍ら太宰は今日何度目かわからない溜息を吐いた。
中島 敦
太宰の後輩社員である敦が聞く。
太宰 治
中島 敦
太宰 治
太宰は目線を少しだけ敦に向けた。
敦は心なしか頬を染め、微笑った。
中島 敦
太宰 治
歯切れ悪い太宰の言葉に違和感を感じたのか、敦が頸を傾げる。
中島 敦
太宰 治
中島 敦
敦は続ける。
中島 敦
太宰 治
敦の言葉に太宰は微かに瞠目する。
それから口元に弧を描き、
太宰 治
と云った。
退社時刻
太宰 治
太宰 治
太宰 治
太宰 治
太宰 治
君と本当に『一緒』になれたなら、と太宰は思う。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中也視点
中原 中也
太宰 治
太宰は少し歯切れ悪く答えた。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
バシッ
体温を確かめようと額に手を出すと、太宰に思いっ切り叩き落とされた。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中原 中也
少し赤くなった手の甲から目を上げると、太宰の目がこれ迄見た事がないくらい揺れて居た。
中原 中也
太宰 治
意を決したように声を出す太宰。
太宰 治
太宰 治
太宰 治
『好き』
その意味が一瞬理解できなかった。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
パンッ
あの時の記憶が蘇る。
太宰がアイスだったら
前に聞いた時は違うと云ったけれど
嘘を吐いて居たなら。
中原 中也
太宰 治
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰視点
太宰 治
太宰 治
中原 中也
吃る姿に、中也が怖がって居る事を直感する。
さっきから、すごく怖い。
死ぬのはそれ程ではないけれど、
中也が如何云うのか
罪の意識を持たないか
恐怖が渦巻いてくらくらしてくる。
思わず、だった。
太宰 治
太宰 治
そんな嘘を吐いた。
嗚呼、こんな事したら余計に中也にショックを与えて仕舞うだろうに。
中原 中也
意を決したような、空色の眼。
中原 中也
中原 中也
やっと
云ってくれた…
中原 中也
太宰 治
自分の手を見ると、既に溶け出して居た。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
焦ったような中也。
太宰 治
そう云って中也の事を抱き締める。
中也視点
太宰 治
そう云って中也を抱き締めた太宰の体温は、俺が想像して居た以上に冷たかった。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
やっと絞り出した声は、涙と共に出てきた。
太宰 治
俺の方を見る太宰。
その顔は濡れて居た。
それが、涙なのか太宰が解けて居たのかは分からないけれど。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
じっと此方を見る眼は、あまりに綺麗で
赤みがかった茶が何もかも飲み込んでしまいそうで。
太宰 治
中原 中也
それに応える声は出なかった。
だから代わりに、その唇へ優しく、優しくキスを落とす。
顔を離すと太宰が心底幸せそうな笑みを浮かべて居た。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
パシャリ
微かな音を立てて、太宰が消えた。
目の前に舞う、白い包帯を慌てて掴む。
跡形もなく、消え去った。
中原 中也
その包帯を掴んだ儘、俺は何時迄も泣き続けた。
主
主
主
主
主
主
コメント
17件
天才が居るウウウ!こんなに上手なBL見たこと無い!
うああああぁ最高ですもう泣くホントに😭😭😭 主様言葉の選び方のセンス良すぎですほんと天才ですか?🥺
やべぇ、、、身体中の細胞という細胞が泣いてる(´;ω;`) 心臓がいてぇよぉ(/ _ ; )