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たいら
たいら
季節は少しだけ進んでいた
夕方の空気が、少し冷たい
mf
ur
mf
廊下の向こうから、女子達が楽しそうにこっちを見ている
もぶ
もぶ2
それを横目で見ながらギターを鳴らした
ジャーン
mf
ur
mf
mf
ur
mf
ur
mf
ur
ur
mf
ur
明るく振る舞ってみせた
だけど、いつも通りには出来なかった
ur
ur
原因はもう分かりきっている
――自分の気持ちだ
自分の気持ちに、気づいてしまったから
紫苑を、ただの相棒として見れなくなっていた
ur
mf
ur
ur
好きだから
言いかけて、やめた
mf
ur
ur
俺が適当に並べてった言葉に小首を傾げながら紫苑は言った
mf
ur
mf
ジャーン
弾きづらかった
紫苑に意識がいってしまって曲に集中できなかった
ur
そう思いながら目を静かに閉じて弾き続けた
ジャーン
少しだけ強い曲
感情をぶつけるような音
聞いているうちに気づいた
mf
もっと、荒い
もっと、近い
mf
曲が終わる
ur
mf
その一言で、黒离の胸がチクッとした
ur
mf
mf
mf
ur
ur
mf
ur
軽く言ったつもりだった
でも、内心はぐちゃぐちゃだった
ur
ur
憎しみと嫉妬と悲しみが混ざり合った負の感情が
喉まで出かける
それでも、言えなかった
言えるわけがなかった
ur
mf
ur
mf
俺はギターを見たまま言う
ur
ur
mf
ur
ur
mf
mf
mf
ur
ur
mf
mf
黒离は一瞬、息を呑む
ur
でも、次の言葉が、黒离の胸に深く刺さった
mf
mf
その瞬間、黒离の中の何かが音を立てて崩れた
ur
ur
軽く笑ったつもりだったが、その声は少し震えていた
帰り道
今日は別々だった
紫苑は呼び止めなかった
黒离も、振り返らなかった
一人で歩く
空は暗い
ur
ur
ur
ur
ur
でも、好きの感情は止まらない
頭の中に浮かぶのは、紫苑のことばっかり
演奏しているときの顔
無表情なのに、どこか楽しそうなとき
自分の曲を聞いて、弾いてくれるとき
ur
ur
立ち止まって、ポケットの中のピックを握りしめる
ur
ur
ur
ur
目を閉じて、小さく笑った
ur
ぽつりと落ちた言葉
それはまだ、冗談みたいに軽いものだった
でも、確実に、未来へと繋がっていった
――「だから僕は音楽を辞めた」
その、理由へ