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翌朝教室に入った瞬間釉(ゆう)は息を呑んだ 彼の机の上にそれはや単なる嫌がらせではなかった
真ん中に置かれた花瓶中に活けられていたのは 純白の可憐な花スノードロップ 静かな池に花咲いてそうな睡蓮そして 青い小花が美しいロベリア 月学祭照らす下を向き綺麗なオダマキ 美しいはずの花々が釉の心臓を冷たい氷で突き刺した
スノードロップの花言葉:「あなたの死を望みます」 > 睡蓮の花言葉:「滅亡」 > ロベリア:「謙遜」「悪意」 > オダマキ:「愚か者」
花言葉を知っていた釉は その悪意に満ちたメッセージを理解し その場で凍りついた
モブ(その他)
モブ(その他)
モブ(その他)
モブ(その他)
呆然としていると 背後からクスクスという 隠しきれない笑い声が響いた 胸の奥が張り裂けそうになり 熱いものが込み上げる。
その時、扉が開き 雨嶺(あまね)と転校生が先生に 頼まれたらしい大きな資料を抱えて入ってきた 今日は二人が日直だった
雨嶺は釉と机の上の花瓶を見るなり ハッと息を詰めた
抱えていた資料を友人に押し付け 早足で釉のもとへ駆け寄る
雨嶺
悠珠
モブ(その他)
雨嶺はためらいなく花瓶を掴み 中身の水をこぼさないように 静かに後ろの棚に移動させた。
そして釉の顔を覗き込み 優しいくそれでいて心配そうな瞳で 濃く滲ませた声で尋ねた
雨嶺
雨嶺
転校生もそっと釉の傍に来て 何も言わずただ優しく背中を撫でた
二人の純粋で分け隔てのない優しさ その温もりが張り詰めていた 釉の心の糸を緩ませる
また涙が溢れそうになるのを 釉は必死でこらえた
心配させたくない
この優しさを壊したくない
釉はいつものどこか ぎこちないが完璧に見える 笑顔を張り付けた
釉
釉
釉
雨嶺
悠珠
雨嶺と転校生は 釉の顔から目を離さなかったが それ以上は何も言わなかった。
先生が入ってきて 国語の授業が始まった
授業が終わり放課後釉は いつものように教室で 時間を潰していた家に帰りたくないから。
見回りに来たらしい生徒会役員が 廊下を通りかかった小さな声が聞こえる
海夏
呟いたのは 生徒会会長奈島夏海(なしまかな)さんだった
その直後 今度は生徒会副会長が入ってきた
モブ(その他)
釉
釉に話しかけてきた
海夏会長と副会長が釉の隣で 少し話をしていると廊下から 「居たー!」と探していたかのような
明るい声がした香苗会長が振り向くと 柚木樟葉(ゆずきくずは)先輩が入ってきた どうやら、彼らは仲の良いグループらしい
樟葉先輩は香苗先輩の隣に座り 楽しげに雑談を始めた
樟葉
モブ(その他)
樟葉
樟葉
海夏
海夏
樟葉
釉はその光景を横目にただ静かに座っていた
キーンコーンカーンコーン 五時のチャイムが鳴り響く
モブ(その他)
海夏
モブ(その他)
先輩たちは立ち上がり 釉も立ち上がる三人は特に会話もなく 校門まで一緒に歩いて出た。
校門で先輩たちと別れたが 釉はやはり家に帰りたくなかった。
彼は誰もいない 学校から少し離れた 海辺の公園へと向かった
ベンチに座り持っていた本を開く ページをめくりながら水平線にゆっくりと 沈んでいく夕日を眺めた
空が濃い茜色から深い紺色へと変わっていく あっという間に辺りは暗くなり 潮風が肌寒くなってきた
意を決して家に着くと 玄関から既に両親の機嫌が悪い 重い空気が漂っているのがわかった
父親
父の怒鳴り声と共に 頬に鋭い痛みが走った 殴られた
母はその横で冷たい視線を浴びせる
母親
母親
いつもの言葉釉は 親の機嫌を損なわないよう 反射的に完璧な台詞を返した
釉
その言葉で両親の暴力は一旦収まった
母親
父親
釉
釉
釉が自分の部屋に戻ると すぐに弟の留がそっと入ってきた
留
留の声は心配しているようにも 聞こえたが釉にはその真意が掴めなかった
たただ、この優しさが自分は兄として 留を守らなければならないという 釉の強固な責任感を再確認させた
釉
留
釉