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癒魔
私は
魔法使いの家に生まれた
魔法使いの家に生まれた
癒魔
私の能力は
名前の如く
名前の如く
癒魔
癒やす力
ゆま
ゆま
癒魔
でも
良いことばかりじゃない
良いことばかりじゃない
癒魔
自分の力のことを知らなかった
癒魔
4歳の時
癒魔
ママは魔法の薬作るので
忙しいし
忙しいし
癒魔
パパは宮廷魔術師だから
殆ど家に居ないし
殆ど家に居ないし
癒魔
ぜんぜんつまんなーーーい！
癒魔
あれ？
何だろう？
何だろう？
流威
ぅぅ
癒魔
なんだろう？
流威
うぅん…
癒魔
いきてる？
癒魔
ねぇあなたはだれ？
流威
うぅぅ…
癒魔
どうしたの？
おなかいたいの？
おなかいたいの？
流威
……ぅ
癒魔
ゆまとおなじくらいの
おおきさ…
おおきさ…
癒魔
おはなし
できる？？
できる？？
流威
う…うぅ
るい
るい
流威
ぼくは
るい
るい
癒魔
るいくん！
癒魔
くるしいの？
どうしたの？
どうしたの？
流威
……
癒魔
あっ
おねつあるのかな…
おねつあるのかな…
癒魔
だいじょうぶ？
流威
…
癒魔
まってて！
おみずと
さとうがし
もってきてあげる！
おみずと
さとうがし
もってきてあげる！
癒魔
ほら
のんで
のんで
流威
ごくごく
癒魔
さとうがし
たべれる？
たべれる？
流威
うぅ…
癒魔
じゃあ
ちっちゃくしてあげるね
ちっちゃくしてあげるね
流威
カリッ
癒魔
そうそう
ちょっとずつ
たべて
ちょっとずつ
たべて
流威
おぃ…し…ぃ…
癒魔
しゃべった！
よかった
よかった
流威
ちからが
でな…い…
でな…い…
癒魔
そうだなぁ
毛布ももってきてあげる
毛布ももってきてあげる
癒魔
すこしくらいなら
やすめるよ
やすめるよ
流威
うぅ
う…
う…
癒魔
はい
もうふ
もうふ
癒魔
あったかいでしょ
流威
あり
がと…ぅ
がと…ぅ
癒魔
よかった
なんとか
げんきに
なんとか
げんきに
癒魔
なってくれるかな？
流威
すー
すぅー
すぅー
私の力は
癒やす力
無意識に何かに 治癒力を与えている
この小さな 自分と同じくらいの
少年のような 生き物を
無意識に治癒していた
自分では 人を助けた そう思っていた
癒魔
あさになった
あのこ
あのこ
癒魔
だいじょうぶかな？
癒魔
あっいた
流威
きのうの
流威
ちょっと
げんきになれた
げんきになれた
流威
ありがとう
流威
っつ…！
癒魔
どうしたの？
どこかいたいの？
どこかいたいの？
流威
むねのまんなかくらいが
いたい
いたい
癒魔
みせて
癒魔
あっ
癒魔
これ、なんだろう
癒魔
わたしのちからで
なんとかしてみる
なんとかしてみる
流威
…
癒魔
「聖なる神よ
私に力を与えたまえ」
「この者の悪しき呪いを
解き給え」
私に力を与えたまえ」
「この者の悪しき呪いを
解き給え」
癒魔
「聖なる御霊において
この者を助けんことを」
この者を助けんことを」
流威
このまほうは…！
癒魔
えぃっ！
流威
！！
癒魔
はぁっ！
流威
うわぁっ
癒魔
どう？よくなった？
流威
フフフ…
流威
ありがとうよ
お嬢ちゃん
お嬢ちゃん
癒魔
よかった
げんきになったんだね
げんきになったんだね
流威
愚かな
流威
フオオオォォォォォォォ
癒魔
えっ！？
なに！？
なに！？
流威
お前の父親に致命傷を食らった上に
呪いまでかけられたが
呪いまでかけられたが
流威
まさかその娘が
治してくれるとはな
治してくれるとはな
癒魔
え？なに？
流威
しかも
更に強力な力までくれるとは
愚かな
更に強力な力までくれるとは
愚かな
流威
フハハハハハハ
流威
さらばだ！
今度こそ
奴を葬り去れる！
今度こそ
奴を葬り去れる！
癒魔
きゃあ！
まって！
パパが何したの！？
まって！
パパが何したの！？
流威
待ってやがれ
宮廷魔術師め！！！
宮廷魔術師め！！！
癒魔
まって！！
癒魔
まってぇーーーーーー！
流威という生き物は
パパが居た宮廷を襲って 痛手を受けて
私が住む家の近くに 流れ着いて 倒れていたのだ
何も知らない 純粋な私は
可哀想だと それを治癒し
いや、治すどころか 封印されていた 力を解き放ってしまった
流威は復讐とばかりに 宮廷に舞い戻り
その地を 阿鼻叫喚へと変え
全てを消し去った
癒魔
パパ…
ぐすっ
ぐすっ…
ぐすっ
ぐすっ…
癒魔
ママっ
ぐずっ…
ぐずっ…
流威
お前はまだ幼い
我が驚異となることもなかろう
我が驚異となることもなかろう
流威
治癒しか使えないお前では
私を倒すことはできない
私を倒すことはできない
流威
ハハハハハハ
癒魔
なんでっ！
癒魔
かえしてぇっ！
みんなをかえして！
みんなをかえして！
癒魔
うぇーーーーーん！
癒魔
えーーーーーん！
目の前は瓦礫
宮廷があったかすら わからないほど
そしてパパを助けようと 一緒に戦ったママも
全て
無くなった
癒魔
ゆまのっ
癒魔
ちからで
癒魔
みんなげんきにっ
癒魔
ぐすっ
癒魔
ぐすっ
癒魔
うわああぁぁぁぁあん！！
私の力は 流威に与えたせいで 半減して
パパやママに辿り着く前の 倒れた人々を救って
力尽きた
自分のせいで全てを失ったことを 理解するまで暫く掛かった
しかし周囲の者が 私を助けてくれ
今の歳になるまで 育ててくれた
ただ
流威という悪魔を 助けた本人が
私だと言うことを
知る者は誰も居ない
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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