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恋愛のすゝめ

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恋愛のすゝめ

16 - 恋愛のすゝめ 外伝 まふまふ編 後編

♥

160

2020年03月21日

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まふまふside

今日は師匠と買い出しだ。

城下町の店をまわる。

師匠

おお!あそこに酒屋があるぞ!

師匠

まふまふ、ちょっとあそこで…

まふまふ

駄目ですよ!!

まふまふ

師匠は一度飲むと長いですから!

師匠

ちぇー、しょうがねぇなー

今日は、師匠も心做しか はしゃいでいるように見える。

僕も、久しぶりの買い物で楽しみだ。

まふまふ

師匠、あそこの八百屋で…

強盗

おらああ!金を出せ!

まふまふ

?!

遠くから、男の声が聞こえた。

師匠

…今の。

僕たちは顔を見合わせる。

まふまふ

……師匠

師匠

ああ、助けに行こうぜ。

まふまふ

勿論ですよ。

僕たちは声のする方に走っていった。

まふまふside

強盗

おらあ!!言うことが聞けないのか!!

男が刀を振りかざして叫ぶ。

師匠

そこのお兄さん、刀を下げてはどうですか?

強盗

はぁ?お前何様だよ。俺にそんな口を聞きやがって!!

師匠

その言葉、そっくりそのままお返しします。

師匠が煽るごとに 強盗はみるみる険しい顔になり、 青筋が浮かぶ。

強盗

貴様……その言葉地獄で後悔しろ!!!!

強盗が刀を 師匠に向かって振り下ろす。

大丈夫。師匠は刀なんか当たらない。

僕はそっと後ろに下がって 師匠を見守る。

師匠は刀を避け、素早く身を翻す。

そして、大きく跳んで…… 回し蹴りで刀を弾き飛ばした。

強盗

何っ?!!

忍びならではの身の軽さ、 師匠だけの身体能力。 師匠''だから''出来たこと。

まふまふ

……さすが師匠。

僕の声が聞こえたのか、 師匠はこちらを向いて 親指を立てる仕草。

強盗

…………知り合いか。

強盗の小さな声が聞こえた。

まふまふ

え?

強盗が刀を拾い、 真っ直ぐこちらに向かって 歩いてくる。

え?

強盗は、にやりと笑みを浮かべる。

え?

全てが、 ゆっくり動くように見える。

強盗が、僕の頭上で 刀を振りかざした。

……え?

刀が、振り下ろされる。

師匠

まふまふっ!!!

師匠が僕に覆い被さる。

師匠

うぐっ……

師匠でいっぱいの視界の隅に、 赤いものが飛び散る。

師匠が、斬られた。

まふまふ

師匠っ?!

まふまふ

やだ……やだっ!

まふまふ

駄目!死んだら駄目!

僕は師匠の腕の中から抜け出して、 自分の服を裂く。

それを師匠の背中の切り傷に 強く押し当てて、止血を試みる。

師匠

は……はは、大丈夫だって

師匠

それより…問題だ。

まふまふ

今そんなこと言ってる場合じゃ…!!

師匠

敵に見せてはいけないものは…?

まふまふ

まふまふ

………背中。

師匠

だろ…?

師匠

今のお前…背中がら空きじゃねぇか……

師匠

忍び、失格だぞ………

まふまふ

っ……

僕は振り返って、 師匠を斬った強盗を睨みつける。

強盗

ははっ、なんだ?

強盗

お前みたいな小僧に何が出来る?

まふまふ

うるさいっ………

怒りで頭がぐらぐらする。

強盗

どうせそいつが居ないと何も出来ないような奴なんだろ?

まふまふ

黙れ……

僕は、いつも腰に提げている短刀に 手を掛ける。

師匠が、護身用にと僕にくれた、 大切な短刀。

強盗

まぁ、そんな奴しか育てられないから、俺に斬られるんだよ!

まふまふ

うるさい!!黙れ!!

師匠はっ……僕を育ててくれた!

生きる術を与えてくれた!!!

お前なんかに分かったようなこと言われてたまるか!!

まふまふ

お前に師匠の何が分かる!!!!

まふまふ

お前みたいな外道に!!

まふまふ

何が!!!!

まふまふ

分かるって言うんだよ!!!

僕は一気に強盗に飛びかかる。

バシュッ!!!

真一文字に振った短刀の先から、 赤い液体が弾ける。

強盗

っぐ……

強盗

小僧のどこにっ……

強盗

こんな力っ…………

まふまふ

……ははっ、

まふまふ

………なんてったって、僕は師匠の弟子だもんね?

師匠が、少し笑ったように見えた。

この日、僕は初めて、

人を殺めた。

まふまふside

何だか、さっきから 師匠の様子がおかしい。

まふまふ

……師匠?

まふまふ

大丈夫ですか?

師匠

ははっ、ちょっと……

師匠

血が出て行き過ぎたかな……

師匠は、ぐったりとしている。

''失血死''と言う文字が 頭の中で点滅する。

まふまふ

そんなっ……!

まふまふ

医者のとこ、行きましょう!!

師匠

……いや、いいよ

まふまふ

なんでっ?!

まふまふ

このままじゃ、本当に死んじゃうっ……!!

師匠

……そうだな

師匠

周りが白っぽく見えるんだ

師匠

多分もう、助からないな……

まふまふ

やだっ!!そんな事言わないでっ……

目頭が熱くなる。

師匠の顔が滲んで、歪む。

師匠

………代わりにさ、

師匠

連れて行って欲しいとこ、あるんだけど………?

まふまふ

……え?

師匠

俺の弟子なら……すぐに行けるだろ…?

まふまふ

まふまふ

それは……勿論だよ……

師匠

ははっ……じゃあ、お願いな?

師匠はゆっくりと手を伸ばし、 僕の涙を拭う。

僕は師匠を抱えて、 師匠の道案内に合わせて歩き出した。

まふまふside

まふまふ

………ここ?

師匠

ああ、そうだよ………

青々とした葉が生い茂る原っぱ。

空が近く見える。すごく綺麗な場所。

師匠

もう下ろしていいぞ……

まふまふ

うん

僕は、抱えていた師匠を そっと原っぱに下ろす。

師匠

ここはなぁ………

師匠

春になるとな……菜の花が一面に咲くんだよ………

まふまふ

まふまふ

………菜の花。

『何色の花か、 咲くまでに当ててごらん!』

母さんの言葉を思い出す。

師匠

死ぬならここだって………決めてたんだ……

師匠

ありがとう……まふまふ。

まふまふ

っ………

師匠

師匠

そうだ……俺の手甲、お前にやるよ……

まふまふ

なんっ……で……

師匠

はは、形見……だよ。

まふまふ

まふまふ

……馬鹿っ………

まふまふ

僕をっ……一人前にするんじゃなかったの……?

師匠

……出来るよ。

師匠

なんてったって………

師匠

俺は…お前の……

師匠

世界一の……師匠なんだからな……?

まふまふ

うぅ………っ

まふまふ

やだっ……

まふまふ

死んだら………一生許さない……!

師匠

……あーあ、じゃあ許すなよ……

師匠

俺を超えるまでは……な?

師匠が、ゆるゆると口角を上げる。

いつもの、からからした笑い声は 聞こえない。

原っぱに、赤い染みが じわじわと広がってゆく。

やだ……やだやだやだ!!!

駄目!!だめ!!

師匠がっ……いなくなっちゃうっ…!

師匠の顔に、 ぱたぱたと僕の水滴が落ちる。

師匠

何……泣いてんだ……

師匠

笑って、お別れしてくれよ…

まふまふ

お別れなんて言わないで!!!

まふまふ

本当に……お願いだからっ……

師匠

……残念だったな…

師匠

俺は……お前を困らせるの大好きなんだよなぁ……

師匠

だから……な?

師匠は、僕に手を伸ばす。

僕の頬を優しく撫でる手は、冷たい。

僕の白い手よりも、 白くなった師匠の手。

師匠

一人前になったら……

師匠

また……会いに来てくれよ……

師匠

それまで………

師匠

それまでの……

師匠

お別れだ…

まふまふ

っうぅ………

まふまふ

し、しょ……うっ…

日が傾いて、原っぱが赤く染まる。

師匠は、いつも僕に言うみたいに、

さも、当たり前のように。

師匠

……おやすみ。

師匠

まふまふ………

師匠の手が僕の頬を滑り、 髪の毛に指を通す。

まふまふ

…………

まふまふ

…………おやすみなさい

師匠の手から、力が抜ける。

……僕は知っている。

瀕死の人間が ここまで動くことは出来ないこと。

''師匠''だから出来たってこと。

まふまふ

……凄いなぁ

まふまふ

………師匠は、最後まで''師匠''だな

まふまふ

僕も、そうなりたいなぁ………

師匠の傍に寝転がる。

今日は、今日だけは……

ずっと一緒にいたい。

涙がいつ止まったのか、 僕は知らない。

両手を合わせて、目を閉じる。

師匠を原っぱの真ん中に埋めて、 僕はその場を離れた。

………また、

また、すぐに会いに来る。

腰に提げていた物に手を伸ばす。

血に塗れた短刀。

僕は

どんな手でも使ってやる。

人を殺める事だって。

やってのけてみせる。

だって………

一人前の忍びになるんだから。

──三年後──

まふまふside

あれから僕は、 東の大名の元についた。

今では城で一番重宝されている。

城の皆からはこう呼ばれているんだ。

日本一の忍び

まふまふ

……だから

まふまふ

帰ってきたよ、師匠……

斜面を登って、三年間の間に すっかり伸びた木々をかき分ける。

木の葉の緑が無くなった先に 待っていたのは……

満面の、黄色。

菜の花の、色。

まふまふ

……綺麗

まふまふ

綺麗な黄色ですね、師匠…

師匠の、あの暖かい手だとか、 からからした笑い声だとか。

そんな師匠の暖かいところを 集めたみたいな、黄色。

まふまふ

やっと、見られた……

菜の花畑の真ん中、 師匠が眠っているところまで歩く。

僕は屈んで、 黒い手甲から出ている指先で 土を撫でる。

人間が埋められているところに 咲く花は、 その養分で鮮やかな色になるらしい。

一際鮮やかに彩った菜の花。

その花を見つめて、 師匠に届くようにって祈りながら、 口を開く。

最後に師匠に言われた言葉。

眠りっぱなしじゃあ、駄目でしょ?

まふまふ

師匠……

まふまふ

…………おはようございます

早く起きて。

それから、 僕が日本一の忍びになったとこ ちゃんと見ててよ。

だって、

あなたはいつまでも、 僕の師匠なんだから。

ノンカフェイン

どうもノンカフェインです!

ノンカフェイン

やっっと終わりましたね番外編!

ノンカフェイン

自分が思ってたよりも長くなってしまいました……!

ノンカフェイン

楽しんで頂けましたでしょうか!

ノンカフェイン

次からは本編に戻ります!

ノンカフェイン

それでは、ここまで読んでくださって、ありがとうございました!

この作品はいかがでしたか?

160

コメント

18

ユーザー

(´;ω;`)…

ユーザー

めっちゃ、切ない…

ユーザー

ぁぁあ…泣いちゃうよ… 大変ですティッシュが足りません…っ( > <。) 番外編感動した…! 本編も楽しみっ

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