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とある物書きの挑戦譚【第二期】

第10話 - 問題解決とシゼに迫る影

325

2021年09月08日

#ファンタジー

#転生

#転生モノ

#創作

#異世界転生

#一次創作

ガチャッ

シゼ

失礼します。

マリア

あら。

マリア

シゼじゃない。

マリア

ちょうどよかった。話したいことがあったの。こっちにいらっしゃい。

シゼ

？

シゼ

はい…。

マリア

はい紅茶よ。

マリア

熱いから気をつけてね。

シゼ

ありがとうございます。

シゼ

で、

シゼ

話したいことって何ですか？

マリア

カイトぼっちゃまがレッスンを休むことになったわ。

シゼ

！

マリア

なんでもね、

マリア

両親の仕事が忙しいみたいで、しばらくの間ぼっちゃまを“画家のお爺さま”に預けることになったらしいの。

マリア

お母様は嫌そうだったけど、カイトぼっちゃまは嬉しいのか鼻歌を歌っていたわ。

マリア

…よほど私のレッスンが嫌みたい。

シゼ

そうですか…。

シゼ

…。

マリア

あなたの方は何の用できたの？

シゼ

マリア様に見せて欲しいものがあって…。

シゼ

…やっぱり。

（シゼがマリアの道具箱を見る）

（中には大量のエメラルドホルンが入っていた。）

シゼ

マリア様、このエメラルドホルンは…。

マリア

あぁ…カイトぼっちゃまのお母様からいただいたわ。

シゼ

これ…なんて言ってマリア様に渡しました？

マリア

？…。

マリア

特に何も…“よろしくね”としか言われてないわ。

シゼ

…。

シゼ

そうですか。

マリア

どうしたの？そんなこと聞いて。

シゼ

…実は

シゼ

この絵の具、マリア様の前にお絵描き教室をされていた“マレイーヤ”様も使ってたんです。

マリア

あぁ、マレイーヤ様ね。

マリア

ルシタス城の秋の祭典で使ってたわ。

シゼ

はい。

シゼ

そしてマレイーヤ様の前のサナサン様も秋の祭典でこの絵の具を。

マリア

！…

シゼ

その前のマイケル様も、ショーン様も、その前の方も、そのさらに前の方も

シゼ

みんな、カイト様の担当をし始めてから急に高級絵の具を使い始めてるんです。

シゼ

私は彼に絵を教えてきた方を全て調べましたが…。

シゼ

マレイーヤ様を除けば、みな裕福な家柄ではなく秋の祭典でいきなり富を蓄えるようになってます。

マリア

！…

マリア

つまり、シゼは。

マリア

ぼっちゃまを担当した人はみんなエメラルドホルンをお母様から受け取ってるってこと？

シゼ

はい。

マリア

なるほど、確かにそうかもしれないわね。

マリア

でも、それがどうしたの？

シゼ

マリア様。

シゼ

お母様は画家のおじいさまにぼっちゃまを預けることを嫌そうにしてて

シゼ

このエメラルドホルンは“よろしくね”と言って渡されたんですね？

マリア

？…

マリア

ええ、そうよ。

シゼ

そうですか…。

シゼ

カイトぼっちゃまが絵の才能を隠す理由が分かったかもしれません。

マリア

！？

マリア

えっ！？

マリア

ほ、本当に！？

シゼ

はい。

シゼ

あくまで推測ですが、

シゼ

もし私がカイトぼっちゃまの理由を小説で書くとしたら…

シゼ

こう書きますね。

バチンッ！

カイト

ッ！！

カイトの母親

この恥さらし！

カイトの母親

どうしてお兄ちゃん達みたいに普通に勉強できないの！！

カイトの母親

私のお父さんみたいに…絵ばっかり描いて！

カイトの母親

っ…

カイトの母親

そのノートを渡しなさい！

カイト

！…い、いやだ！

カイト

僕は絵が好きなんだ！自分の趣味くらい勝手にさせろ！

ダッ！（カイトが逃げ出す）

カイトの母親

！

カイトの母親

カイト！

カイトの母親

まずいわ…

カイトの母親

このままだと、私たち一家があの子のせいで笑い物にされてしまう…！

カイトの母親

兄弟はみんな、強くて元気に育って行ったのに…！

カイトの母親

なんとしてでも絵をやめさせないと…。

カイトの母親

そうだわ！

カイトの母親

と、いうことで。

カイトの母親

あの子に厳しく絵を教えて、絵を嫌いにさせてほしいの。

画家

は、はぁ…

画家

でも、よろしいのですか？

画家

息子さんの才能を壊してしまいますが…。

カイトの母親

構わないわ。

カイトの母親

手付けは、これでいいかしら？

ガチャッ！

画家

なっ…こんな大金。

カイトの母親

それだけじゃないわ。

画家

！

画家

これは…、

画家

エメラルドホルンじゃないですか！

カイトの母親

もし、絵を嫌いにさせることができたら報酬は倍にするわ。

カイトの母親

くれぐれもカイトにこのことがバレないように頼んだわよ。

カイトの母親

頼むわよ。

画家

は、

画家

はい…。

カイト

…。

やーいこの恥晒し！

他のぼっちゃまはしっかりしてるのに…

うちの子はカイトだけがだめね。

絵が好きで外に出ないなんて、病気にでもなったりしたら…

絵を描くのはやめろ、お前は兄達と同じことをしてればいいんだ。

カイト

…。

カイト

…どうして

カイト

みんな俺を馬鹿にするんだ。

カイト

ただ、絵を描くことが好きで

カイト

他の兄弟と趣味が違うだけなのに…

シゼ

…と、いうふうにして。

シゼ

カイトぼっちゃまがマリア様に絵の才能を見せないのは

シゼ

これまで教えてこられた方が絵をやめさせようと指導されたからだというのが私の予想です。

シゼ

お母様は何らかの理由で絵が嫌いなのでしょう。

シゼ

そして

シゼ

カイトぼっちゃまはお母様の会話を聞いてしまったんです。

マリア

なるほど…

マリア

でも、私

マリア

お母様から絵を描くのをやめさせて、なんて一言も言われてないわよ。

シゼ

恐れ入りますが、

シゼ

それはきっとマリア様がクリジア人だからでしょう。

シゼ

ギリカールの人達は私達クリジア人を嫌っている人が多いです。

シゼ

クリジア人に教えられるという屈辱を与えて辞めさせようとしているのでしょう。

マリア

…。

マリア

あの人…息子に対してそんなことをしていたのね。

マリア

子供の夢中になってるものを崩そうとするなんて、許せないわ…。

シゼ

！

シゼ

これは私の推測の話です。マリア様。

シゼ

本当のことかはまだ分かりません。

シゼ

明日、カイトぼっちゃま本人に聞いてみてましょう。

マリア

！

マリア

そうね…

マリア

ごめんなさい。

マリア

私も似たことを経験したから……冷静さを失ってたわ。

シゼ

！…そうでしたか。

シゼ

嫌なことを思い出させてしまいましたね。すみません。

マリア

大丈夫よ。

マリア

私、少し1人で考えるわ。

マリア

貴方はもう寝なさい。

シゼ

…はい。

シゼ

失礼します。

マリア

…。

シゼ

…マリア様、大丈夫かな。

シゼ

（あの感じ、マリア様も親に好きなものを奪われたりしたんだろうな…。）

シゼ

…。

シゼ

あ、

シゼ

そういえば、破壊神は？

シゼ

（電話しに行ってから1時間経ってるけど何かあったのかな。）

シゼ

…！

「ちょっと静かにしてもらえませんか？」

シゼ

（もしや、）

シゼ

（ああ言ったことに落ち込んで帰っちゃったとか？）

シゼ

…。

破壊神

わっ…！

シゼ

！

シゼ

破壊神さん…！

バッ！（破壊神の両手を掴む）

破壊神

わっ、

破壊神

きゅ、

破壊神

急にどうしたんですかっ？

シゼ

よかった…っ。

シゼ

本当に、よかった…。

シゼ

私が冷たい態度とっちゃったから、ショックで帰っちゃったのかと…

破壊神

！

破壊神

なんで迷惑をかけた私が帰るんですか？

破壊神

私はシゼさんの担当なのでずっと側にいますよ。

シゼ

！…

シゼ

…そう、ですか。

シゼ

それなら…よかったです。

破壊神

はい。

破壊神

だから、安心してはやく寝てください。

破壊神

もう日付回ってますよ。

シゼ

はい…。

シゼ

今日は…つかれた。

シゼ

おやすみなさい、破壊神さん。

破壊神

はい、おやすみなさい。

シゼ

…。

破壊神

…。

破壊神

もう出てきていいですよ、そちらの方。

悪魔

…。

ヒタ…

ヒタ、ヒタ…

悪魔

ヴ…

悪魔

ア、アァ…

トカゲのような大きな生き物が現れる

黒い皮膚に目は顔に三つ、お腹に二つついていてふたつに裂けた舌がだらりと垂れている。

破壊神

貴方が悪魔の残党ですか。

破壊神

貴方のことはさっきの電話で知りましたが…一体何が目的なんですか？

悪魔

アァ…ア…ヴヴ、

悪魔

ア…アァア゛。

破壊神

……。

悪魔

コノ臭イ…

悪魔

ウマソウナ臭イダ…

悪魔

人間ノ汗ノ臭イ…

悪魔

ドロドロト流レル血潮ノ臭イ、

悪魔

若イ女ノ甘い臭イ…

悪魔

ソシテ、

悪魔

渦ヲ巻ク黒イ魂ノ臭イ…

悪魔

コノ臭イハ、ソコノ黒髪ノ女カラカ…？

ヒタヒタ…

ヒルのように這いながら悪魔が志瀬のベッドに近づこうとする。

悪魔

キヘヘヘヘヘヘッ…

悪魔

ウマソウナ魂ダ…。

悪魔

コノ俺ガ…

悪魔

グチャグチャ食イ荒ラシテヤルッ！

悪魔

破壊神

…。

グチャッ！！

破壊神の投げた名刺が悪魔の首に刺さる

悪魔

ギャアッ！！

悪魔

…ア…ァア

ガシッ！

破壊神が悪魔の頭を掴む

破壊神

無視はいけませんよ。ﾆｺｯ

破壊神

こっちは貴方の目的を聞いているんです。

悪魔

ア…ァア、

破壊神

ん？

悪魔

タ、タス…ケテ

悪魔

イ、命ダケハ…ッ

破壊神

…。

破壊神

…答える気がないんですね。

グッ…

悪魔

ア……

悪魔

マ、待テ…嫌ダ！

グサッ！

悪魔

ヤメロォッッ！

悪魔

ヤメテクレェエェエエッ！！！

悪魔

ァァアァァァアアアア！！

ズブッ！

ザシュッ

グサッ！

グッ…

ブチッ！！

悪魔

…。

シュウウ… （悪魔が塵となって消える）

破壊神

…。

破壊神

…えへっ。

破壊神

無視された仕返しに聞こえないフリしちゃいました。ﾆｺｯ

破壊神

いや〜、久しぶりに悪魔と会って気持ちが昂っちゃいましたね。

破壊神

よわよわの悪魔のくせに志瀬さんの部屋に忍び込んでくるとは…もう少し警備を強めないとダメですね。

シゼ

ん…

シゼ

はかいしんさ…。

破壊神

！

破壊神

起こしてしまいましたか。

シゼ

なんか、大きな音がした気が…

破壊神

ん？…そうですか？何も聞こえませんでしたが…。

シゼ

そっか…

破壊神

はい。

シゼ

じゃあ…ねます……

破壊神

はい。

破壊神

おやすみなさい、志瀬さん。ﾆｺｯ

破壊神

…。

第10話　おわり

とある物書きの挑戦譚【第二期】

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書き直しの件全然大丈夫です(👍＾ ͜ʖ ＾ ) 破壊神様が寝る時そばにいたら永眠する自信しかありません。

【お知らせ】第8話の「カイトの絵」と第9話の「エメラルドホルン」の話を少しだけ変更しました。（マリアが登場するだけでストーリーの流れは変わっていません。）何度も書き直しをしてしまい申し訳ありませんでした。

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