テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

それから、俺の毎日は変わった

きっと夏休みに入るまで、俺はこんな不思議な生活を送っているなんて夢にも思わないだろうな。

ピピピピ、とスマホが震え出すアラーム

いつもならうざったらしくて仕方ないはずのアラームが、最近は誤ってスマホを殴り潰してしまうことは無い

むしろ、ピピピピの『ピ』の音で跳ね起きる位だ

レッド

ん〜…朝か

朝日が射す窓辺

レッド

よしと…さっさと着替えて朝飯食うか

レッド

この時間はもう母さん仕事行ってるだろうな……

レッド

洗濯物とか洗い物とか多分残ってるよな…

レッド

……

チッ、と音量は低くして舌打ちをすると、「しゃーねー、やるか」と身体をほぐしながら呟いた

起きてからたったの三分。夏の暑さが原動力となったのか、最近は着替えが異様に早い。

後は…そうだな。

この意思があるのか知らんがベットの上からこれでもかとはみ出ているブランケットを整頓しとくか。

レッド

ってか俺はこんなに寝相が悪いのかよ…

さっさと直してから階段を駆け下りた

サクッ。 何だか気合いが入っている毎日でも、立ちっぱなしで食パンを齧るのは変わりない。

何なら手を使わずに食パンを食べる凄技を身につけたんだからな

レッド

ってかこんな能力朝しか使わねぇよな

レッド

いや、俺しか使わねぇ使い勝手がくそ悪い能力か

レッド

ま、ぐじぐじ言ってても洗濯物と洗い物は減ってくれないしな…

レッド

おい体、栄養分入れてるんだからもっとテキパキ動けよ

レッド

今日はあいつとの‪”‬約束‪”‬があるんだからな〜?

───こういう独り言は嫌いじゃない

何だか言葉にして呟いてみるだけで頭の中が整頓されてくる…気がする。

これは俺の担任の先生からの受け売りなんだけどな

この間は木に対して「元気ですかー!?!?」って叫んでて俺は飲んでたアクエリアス吹き出したぜ。

頭は思い出し笑いを浮かべながらも、食器を片付ける手は決して止めない

終わると流れるように洗濯物をカゴを引っ付かみ、テキパキと洗濯物をしまう

途中で俺は電波時計に目をチラリと向けた

レッド

ええっと…今は何時だ?

午前 7:30

レッド

確か約束が昼頃だったから……時間はあるか

俺は爆速で終わらせ、ゴロンとソファーの上に寝転んだ

レッド

ここまま寝ちまいてぇな〜…けど……

レッド

今日はランニングじゃなくて夏休みの敵をやらないといけないんだ…!!

夏休みの敵…これは俺だけの話じゃない。

全世界の小中高大…全ての学生が嫌っているであろう、キラキラと輝く夏休みを邪魔する物!!

そう____夏休みの宿題だ

いつもならギリギリまで溜め込んで追い込まれるように宿題にペンを走らせる俺が、普通にやろうとしてるんだ

自分の事なのに信じられない。

俺が宿題に対してのやる気を持つようになったのは、ある会話からだ。

ブルー

なぁレッド

レッド

ん?どうしたんだブルー

3、4回、例の町へ来た時の会話だったな

ブルー

前から聞きたかったんだけどさ…レッドって宿題やってるのか?

レッド

うっ……俺は毎年親からの怒声を真横で聞きながら夜中までやってる奴だぜ

ブルー

マジであるんだな…日曜の夜にやってる国民的アニメでしか見たことねぇって…

レッド

よく友達に似てるって言われるぜ

ブルー

いや自慢する事じゃねぇよ…

ブルーは呆れるようにはぁとため息をついた

すると、彼はまるで教師のようにピンと人差し指をレッドの目と鼻の先に押し付ける

レッドは驚いて目を見開いていた

ブルー

俺とここに来るって事だったら、もちろん時間はここに来る為に使うって事だろ?

ブルー

だったら、ちゃんと宿題は最終日までに終わるようにしてくれよな

レッド

何年上みたいな事言ってるんだよ、俺がわざわざ一緒に来てるのは誰の為だと思ってんだ…

ブルー

う…まぁ確かにそうなんだけどよ……

ブルー

…でも、そんな事言ったらそっちも好きで一緒にやってくれるんだろ?

レッド

……ま、まぁな………

レッド

レッド

あ〜もう、分かった分かった

レッド

今年はちゃんと宿題やる、ちゃんと終わらせるって約束するぜ

ブルー

…テキストちゃんと俺の所まで持って来いよ?

レッド

おいおい真面目に教師の顔してんじゃねぇよ!!

ブルー

へっ、流石にそこまではしねぇよ、冗談だって

ブルー

どの道俺が見たってレッドがやってる勉強は絶対ちんぷんかんぷんだしな

レッド

お前は絶対初めに終わらせる達だろうな

ブルー

あ〜…どうだったっけ…

ブルーは思い出したいのか頭をブンブン振ってみたり、引っ掻いたりしてみたが……

やがて諦め、ため息を落としてから微笑んだ

青いパーカーが、虚しげに揺れる

ブルー

……分からねぇや、多分そうだと信じたいぜ

レッド

……そうか

レッドは何となく視線を逸らして、ペットボトルのキャップを指先でパチンと回す

微かな摩擦音がなり、現れた輪っかに口を付ける

少しだけ傾けると、口の中に冷水が流れ込んで来たが____

冷たすぎるからか否か、味をあまり感じられなかった。

レッド

あ〜…そういやこんな事やってたっけな…

レッド

チッ、教科書読み直して復習するしかねぇか……

レッド

……というかよ…

宿題を始めて結構経った頃だ、俺はいきなりシャーペンを放り出した

これはサボりたい、ってだけの話じゃない。

───普通に考えてみろ!!

レッド

いくら長い夏休みと言えどこの量の宿題は終わらねぇよ!!

レッド

教師は俺達に休ませないつもりか!?

机の片隅で絶望を見せつけるように積み上がっているテキストやプリントに、思わず目を背けたくなる

…数にすると全てが見えるって、マジで本当だよな。

レッド

一番目に見えて嫌なものは課題の提出期限とテストの点だけどな

レッド

うっ…テスト……頭がっ…

以前に取ってしまった激ヤバ点数を思い出し、あ‪”‬あ‪”‬あ‪”‬と叫び声を上げてしまった

レッド

これもじゅーぶん嫌な奴だぜ〜…

レッド

…あれ、今って何時だ?

ふと俺はスマホの画面を光らせる

ど真ん中に記されていた時間。

11:20

レッド

やべっ、そろそろ家出ないと行けないじゃねぇか…

レッド

あ〜でもテキストがキリが悪すぎる…

レッド

……もう終わらしちまえ!!やる気出せ!遅れちまうぞ!俺!!

頬を両手でベシベシと強めに叩くと、まるでスイッチが入ったようにペンを握った手が動き始めた

数分でペンを乱雑に放り出す

シャー芯がポキリと折れて転がっても今はガン無視だ

いつも使っているバックを肩に掛け、流れる様に財布とスマホを鍵をぶち込む

騒がしく足音を立てて、俺は階段を滑るように下って行った

レッド

さーて、今日もあっちぃな…

レッド

地面に卵を落としたら目玉焼きが出来上がっちまいそうだな

銀さん

そんなもん誰が食うんだよ!!

レッド

うぉっ!?…なんだ銀さんか…

銀さん

何だよ、ちょっとがっかりしてるのは……

マジで驚いた。まさかクラスメイトがいるとは思いもしなかった。

見間違えない白髪。間違いない。

同じクラスの銀さん。真面目なクラスのまとめ役…という名のツッコミ役でもあるな

銀さん

夏休みに会うのは初めてかもな!暑すぎてやってられねぇよ…

彼はガックリと肩を落とす。俺もうんうんと頷いた

レッド

同感だぜ、お陰で毎晩布団を吹っ飛ばしてるな

銀さん

……寝相悪いせいじゃねぇか?元々めっちゃ悪いって評判だし…

レッド

変な噂を広める奴もいるんだな

銀さんは苦笑すると、「あっ、」と話を変えるように言った

銀さん

そういや、レッドはどこに行くんだ?

銀さん

俺は親から買い物行ってこいって言われたんだけど……

レッド

俺か?俺はちょっと駅に行ってくる

銀さん

何か用事があるのか?

レッド

そんな所だな

ふーん、と呟く銀さんに対して、俺はちょっと聞いてみたい事があった

大体答えの予想はついてる。…ちょっと気になるだけだ

レッド

…なぁ銀さん、聞きたいことがあるんだが……

銀さん

…別にいいけど…ん?…まさか、宿題の答えか!?

レッド

あ〜…今度教えてくれ

銀さん

絶対教えねぇよ!!!

レッド

ってかそんな事はどうでもよくてな、

銀さん

無視かよ!?!?

レッド

銀さんは「ブルー」って知ってるか?

銀さん

‪”‬ブルー‪”‬…?誰だ?なんかのキャラクターか?

やっぱり知らねぇか……まぁ、知る由もないからな

レッド

…いや、何でもねぇよ

銀さん

いや聞いたんだから絶対なんかあるだろ…

銀さん

でもレッド嫌な事なら深入りはしないぜ、気にすんな

ありがたいな、銀さん。───お前はちょっと優しすぎるんだよ

レッド

こっちもただ聞いてみたかっただけだし、すぐに忘れてくれ

銀さん

分かったぜ

ってか本気で行かないと遅刻しないか!?のんびり話してんじゃねぇって!!

俺は銀さんに向けて焦ったような笑いを浮かべた

レッド

あ、ちょっとそろそろ行くわ

銀さん

そうだな、俺も行かねぇと……またな!!

レッド

おうよ〜

手を振った銀さんに、俺も手を振り返した

───見えないんだな、‪”‬あいつ‪”‬が皆には…

そう思いながら、俺は駅へ続く道を一目散に走った

HiddenMemories〜懐かしの夏〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

214

コメント

9

ユーザー

今回もまじでサイコー! 続きが楽しみ😊

ユーザー

う"っ……レドブル兄弟やないか…! Mr.レッドとMr.ブルーって、自覚ないけど仲良いって感じで好き!!! (勿論過去も設定も好きすぎる。) そして案の定リーブは書き方上手い!めっちゃ尊敬するんだけど…!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚