藤澤涼架side
役目を終えた僕たちは、三人で家路についた。
外は寒そうだった。
しっかり上着を着る。
大森.
若井.
藤澤.
大森.
大森.
元貴がそう言いながら振り向いた
大森.
大森.
元貴がそう言った瞬間、若井がまた泣き始めた
元貴が笑いながら若井の背中を摩る。
僕も泣きそうだった
若井のくしゃくしゃになった泣き顔に、元貴が笑う。
そして若井のいじけた顔に僕はちょっと笑った。
この時が、ずっと続けばいいのに。
でも、時間は止まってくれなかった。
外に出ると、もうすぐ春なのに冷たい風が吹いてくる。
僕の髪を風が弄んでいる
元貴と若井は後ろから笑いながら僕の方に寄ってきた。
その満面の笑顔に、これから言うべきことを言うべきかどうか迷う。
でも言わないといけない。
だっていつか全て忘れてしまって、傷つくのは二人だから。
ごめん、元貴。
ごめん、若井。
最後の最後まで、言えずにごめんね。
藤澤.
藤澤.
大森.
若井.
藤澤.
二人の顔から笑顔が消える。
その顔に、どうしようもなく悲しくなった。
胸が締め付けられるみたいな、そんな悲しみ。
その途端、頭がきゅーんと痛くなる。
若井.
大森.
若井side
俺たちはBFFの歌唱を終えて、それぞれ帰る時だった。
BFFは成功したし、元貴の想いも聞けて、すごく嬉しかったし、楽しかった。
でも、
『僕、Mrs.GREEN APPLEをやめる』
そう、涼ちゃんは言った。
さっきまで涼ちゃんは一人で夜空を見ていて。
涼ちゃんの髪が風に靡いているのを、俺は元貴と話しながら見ていた。
なにか、嫌な予感がしたから。
その予感は、当たった。
元貴が「は?」と低い声を出す。
そして冗談なら笑えないとでも言わんばかりの表情を涼ちゃんに向ける。
でも涼ちゃんはさっきの発言を撤回する気はないみたいだった。
藤澤.
大森.
藤澤.
大森.
大森.
藤澤.
涼ちゃんは泣いていた。
何に泣いているのかはわからなかった。
そして何に泣いているのか、涼ちゃんが俺たちに教えてはくれなかった。
若井.
藤澤.
俺がそう言った瞬間、涼ちゃんは口をつぐんだ。
一瞬口を開こうとした気もした。
俺たちを頼ろうとしてくれていた気がした。
でも、結局涼ちゃんは理由を話してくれなかった。
藤澤.
最後に謝って、涼ちゃんは走って行った。
最後まで、俺たちの名前も呼んでくれなかった
若井.
若井.
世間に、と言う意味だった。
俺は元貴が涼ちゃんが抜けたことを言う前に、涼ちゃんをもう一度説得する気でいた。
元貴は俺の方を向いてはっきり言った。
大森.
元貴はさらに続ける。
大森.
大森.
若井.
でも、ひとつだけ、たったひとつだけ、気がかりがあった。
涼ちゃんの、忘命性障害のことだ。
忘れっぽくなって、
脈拍が速くなって、
寝不足になって、
涼ちゃんの症状にバッチリ当てはまる。
もし、本当に涼ちゃんが忘命性障害なら。
さっき俺たちの名前を呼ばなかったことにも説明がつく。
涼ちゃんは、俺たちの名前を、忘れていた?
それを、元貴に言わなければならない。
若井.
若井.
こんにちは✨
2000いいねありがとうございます😭 感想もたくさん書いてくださっていて、めちゃくちゃ嬉しいです✨
BFFいい歌ですよね、 大森さんがBest Friends Foreverを意識したのかはわかりませんがそうだといいなぁ✨
この作品もいいねと感想してくれると嬉しいです🤲
それではまた!
コメント
8件
やば……最高すぎますッ! 涼ちゃん抜けないでくれるといいな…