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人形銀河の計画

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人形銀河の計画

9 - 人の調査

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13

2022年11月13日

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陽太

ヒトの調査=ヒトの観察、と考える彼女にとってはそれが当然だろう。
だが彼女の反応を見た限り、自分の正体については全く知らないようだった。
なら都合が良い。ここで始末しておけば楽に終わるのだ。
――が、その時ふと思った。
「お前、行くあてはあるのか?」
「いいえ。でもここにいても何もなさそうだし、とりあえず移動しようかしら」
「じゃあ俺と一緒に来いよ。面白そうなもの見せてやるぞ」
こうして2人は旅を始めた。
どこに行くかも決めずに、気の向くままに旅を始める2人。
だがそれは、ヒトの歴史にとって重大なターニングポイントとなるものだった。
◆ 【第一章】
『1人の男』
◆ 時は西暦3020年。人類はまだ、新たな技術を手に入れることは出来なかった。
科学は進歩し、人々はより便利になった生活を享受していた。
そんな時代に、ひとりの男がいた。
彼は、とある企業の研究職に就いていた。
毎日のように研究に明け暮れ、休日には趣味の登山に出かけることもあった。
また、彼が所属している研究室では、新素材の開発にも取り組んでいた。
ある研究者は言った。
「どんな金属よりも硬く、しかも軽量な物質を開発したいんだ」
別の研究者はこう言う。
「僕はもうちょっと、柔軟性のある素材を作りたいんだよねえ」
さらに、別の研究者はこんなことを言い出す

陽太

ヒトの調査をしているはずなのにヒトじゃないと言われ困惑する少女だったが、すぐに何かに気付いたのか表情が変わった。
「私、なんにも知らないわ! 自分の名前すら思い出せない!」
「おいおい……お前、自分が何者かわかってなかったのかよ!?」
「だから聞いているんじゃない!」
「あー、はいはい……俺はイサ。よろしく頼むぜ」
こうして、2人の出会いは始まった。
――1か月後。
「ねえ、まだ見つかんないの?」
「いや、それがさぁ……」
イサは困った顔をして言った。
「この辺りにはもう何もねぇんだよ」
「えぇっ?! お姉さん宇宙人なの!?」
「……うん」
それから少女は自分のことを話し始めた。自分がなんなのか思い出すために。
自分の名前は「アカリ」だということ。自分はヒトに興味があってここまで来たこと。
でも何もわからなかったこと。記憶を失ったままだと、とても不安なこと。
「それで……キミは何者なの? どうしてここにいるの? 私と同じ目的を持ってるのかな?」
問われたイサは考える。
(俺は俺の任務のために来たんだが……任務の内容が

陽太

ヒトではないが、ヒトの姿形をしたモノ。それは果たしてヒトなのか? 答えを出す前に、少女は自分の正体について考え始めた。
自分は何者か。なぜここにいるのか。目的は何か。そもそも目的とはなんなのか。
少女の意識は混濁しはじめ、やがて混沌の中に沈んでいった。
その様子を見て、呆れたようにイサは呟く。
「おいおいマジかよ……」
そしてしばらくすると少女は正気を取り戻した。
「大丈夫か? お前、記憶がないんだろ? オレはイサ。イサ・ジョ」
「私の名前は……あれ?思い出せない……」
「でも大丈夫!きっとそのうち思い出せるわ!」
そう言うと少女は再び廃墟の街へ消えていった。
「さーて、オレの任務はこの娘を殺すことだっけかなぁ~?それとも保護すんのかねぇ?」
「まあどっちにしても殺す気にはなれねえけどよぉ」
そんなことを呟きながら、彼は少女の後を追っていった。
――それから2年後。
少女は廃墟で拾ったボロいカメラを持って街に出て行くようになった。
「おっ?写真撮るんだろ?いい感じに撮ってくれよな!」
いつの間にか隣にいたイサ。
少女は戸惑いながらもシャッターを押した。
「おう!良い笑顔じゃねーか!お前さんは笑顔の方が似合ってるぞ!」
そう言い残してイサは去って行く。
(さあて、俺はこれからどこに行くべきかな?)
イサの任務はあくまで外宇宙の尖兵の抹殺だが、それは彼女の自由に任せられている。
任務達成後は速やかに帰還し報告せよと言われているだけだ。
とはいえこのまま放置するわけにもいかないだろう。
あの尖兵がもし他の星の人類と接触したら? そうなった場合、まず間違いなく戦争となる。
それは避けなければならない事態だった。
とりあえず適当な町を目指すことにしたイサ。

陽太

ヒトではなく、外宇宙から来た何かだと自覚したことで、少女の心には使命感が生まれたようだった。
「私の名前は『リリィ』。貴女の名前を教えてくれないかしら」
「俺の名はイサ! よろしく頼むぜ!」
こうして奇妙な2人の共同生活が始まった。
少女の記憶を取り戻すべく行動する中、ふたりはやがて互いに惹かれあうようになった。
しかしそんな中でも「人類の敵」としての使命感を忘れない少女、リリィ。
人類を守るために戦うイサ、そしてそんな彼女を愛してしまったリリィ。
果たしてふたりはこの先どのような運命をたどるのか。それはまた別のお話。
※この作品はフィクションです。実在の人物、団体とは関係ありません。
―――ある晴れた日のこと、俺はいつも通り、登校中に犬猫の死体を見つけては埋める作業をしていた。

陽太

ヒトの調査という任務を思い出したことで少女の正体にも気付いたらしい。
「まあ、そういうこったな。さあて、お前は何者なんだ? 答え次第ではここで始末してやるよ」
イサは戦闘態勢に入る。だが、少女はそれを手で制す。
「私の名前はリリイ。あなたたちの言うところの外宇宙から来た宇宙人ってヤツよ」
「へえ、それで目的は?」
「目的? それはもちろん、人類の観察と記録。そしてあなたたち人類の強さを知るための戦い方を学ぶために」
「戦うってんなら容赦しねえぞ。俺には殺すつもりはないけどな」
「じゃあそっちこそ、加減しないわよ!」
かくして、地球人と宇宙人による戦いが始まった。
――まずは様子見だ。俺は全力を出す必要もない相手だからな。
一方的な展開になると予想していたイサだったが、意外と互角に渡り合っている。
いや、むしろ押されている。リリイの格闘術は実戦向きのもの。
一方でイサの格闘技術はまだ未熟なもの。それも当然だ。
リリイは外宇宙からやって来たとはいえ、まだ生まれて間もない新米なのだから。
だが、それでもなお互角というのは驚異的なことだった。
「ちっ! ちょこまかと動き回りやがって、面倒くせぇ!!」
「ふふん。そんな余裕見せてる暇あるのかよ」
次の瞬間には少女の姿は消え去り、変わり身として背後に現れた少女の腕を掴み地面に叩きつけるイサ。
腕を掴んだまま馬乗りになり首を絞める。
「お前の正体なんかどーだっていいんだよ。オレの任務はこの地球の平和を脅かす奴らを消すことだからなぁ!」
ギリギリと首を強く締め上げるイサ。
「ぐっ……うぅ! 私はまだ何もしていないわ」
「これから何かするつもりなんだろ?

陽太

ヒトじゃない、という言葉を聞いて少しイサは落ち込んだ様子を見せる。
「まあでもお前さんが敵だってんなら俺は容赦しねえけどな!」
拳を構えるイサに対し、少女は困惑するばかりだった。
「どうしてそんな悲しい顔をするのかしら。私には理解出来ないわ」
「そりゃこっちのセリフだよ!俺の任務は『外宇宙から来た敵の排除』なんだぞ!?」
その時、突如として地震が起こった。大地が大きく揺れる。
「お嬢ちゃん、危ないからとりあえず逃げるんだ!」
イサは彼女を庇うようにして抱きしめる。
やがて大きな地響きと共に巨大な建造物が現れた。
「これは一体なんなのかしら」
「さっき言ったろ、『外宇宙から来た敵の排除』ってよ」
「あなた、まさかあれと戦うつもりなの?勝ち目は無いと思うけれど」
「へっ、そんなこともわかんねえのかよ。お前はオレと同じ外宇宙から来たんだろ? ならわかるはずだぜ、自分が何者かってことがな!」
「私の名前は――えっと……」
「名前すら思い出せねえとはとぼけたヤツだな! まあいいさ、オレの任務はそいつを殺すことだ。ここで死んどけ!!」
言うなりイサは少女に飛びかかる。少女はそれを避けようとするが、瓦礫の中に足を取られてしまう。
そのまま少女の上に馬乗りになり、拳を振り上げるイサ。
だが少女はその腕を掴むと捻り上げ、地面に組み伏せる。
「いってぇ!! は、離せよテメェッ!!」
「それは出来ない相談ね。だってあなたは私を殺そうとしていたもの」
少女は掴んでいる手に力を込める。ミシミシと音を立てて軋むイサの腕。
「うぐぅあああっ!?」
「でも安心して。あなたはきっと悪い人じゃないと思うし、私にはあなたを殺す理由がないわ」
「だからあなたと一緒に旅をしてみたいと思ったの」
そんな突拍子もない提案をしてくる少女。だが同時にイサにも疑問があった。
「じゃあなんでお前はそのアルバムを見つめながらニヤついてたんだ?」
「それは……」
言いよどむ少女。答えを待つイサ。
やがて少女は意を決したのか口を開いた。
「あなたと仲良くなりたいから!」
少女は笑顔で言う。
「お断りします! 俺はこれから用事があるんだ」
「えっ!?」
イサの言葉を聞いた途端、少女の顔は曇った。
「まぁ、俺の任務が終わるまでなら付き合ってやってもいいけどな」
こうしてふたりの旅が始まった。
イサと少女は共に歩み始める。
廃墟となった街。崩れたビル群の間を縫うようにして歩く。
時折見かける異形のものたちを倒しつつ進むと、大きな建物が目に入った。
「ここはなんだろーな」
「さぁ? 行ってみればわかるんじゃない?」
ふたりはそのまま建物内へ入って行く。
そこは広々としていて、巨大な機械のようなものが何体も並んでいた。
「これは……戦車かな」
「戦車って何?」
「知らないのか? 兵器だよ。戦うための道具」
「ふぅん。そうなんだ」
少女は興味なさげに返事をした。
「おいおい。これくらい

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