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33
芙月みひろ
248
#ソフトバンクホークス
さくら
90
kty(ちけっと!、nrkr)
1,923
学者
生理学者が、引き攣った笑みを浮かべながら間へ入る。
ヴァローナ
ヴァローナは、また首を傾げた。
ローゼ博士
ヴァローナ
どうやらローゼは、他人として出演しているようだった。 世間が見る『ローゼ・シュテアネ』そのもの。 淡泊で。 合理的で。 ヴァローナとは犬猿の仲である、冷たい博士。 その様子に、ヴァローナも顔をしかめる。 暑い。 喉が渇く。 緊張のせいで、そんなことすら忘れていた。 けれど、それよりも。 それ以上に、疑問だった。
ヴァローナ
二度、三度。 重ねた。 交えた身体。 その意味を、純粋に疑問に思えてしまった。 あの時。 ローゼは、何を思っていたのだろう。 この言い表せない思いを、確かめたかった。 ヴァローナは二段上の席にいるローゼを見上げる。 真っ直ぐに。 答えを待った。
ローゼ博士
ローゼは、淡泊に返した。 今の彼は『ローゼ博士』だ。 その人物を貫くならば、答えはそれしかなかった。
学者
隣席の動物学者が、ヴァローナの顔を覗き込む。
学者
天文学者の声に、会場が静まり返った。
ヴァローナ
ヴァローナは、はっとする。 慌てて首を振り、カーディガンの袖で頬を拭った。 濡れていた。
ヴァローナ
そう言葉にする。 けれど、涙は止まらない。 拭っても。 拭っても。 次から次へと溢れてくる。
学者
学者たちの間に困惑が広がった。 誰も状況を理解できない。 スタッフたちも、カメラを止めることすら忘れていた。 その日。 民衆は初めて、ヴァローナの涙を目にした。 ヴァローナは元々、弱くて泣き虫だった。 だからずっと、自身のシステムに感情を抑制してもらっていた。 けれど今日は、そのシステムを切っている。 ローゼを怒らせた。 理由が知りたかった。 自分の何がいけなかったのか。 ローゼが何を思っているのか。 ちゃんと知りたかったから。 それが、裏目に出た。
ヴァローナ
泣きながら謝る。 涙を止めようと、何度も袖で目元を拭う。 学者たちが次々と席を立った。 観客からも心配する声が飛ぶ。 けれど。 どうして泣いているのか。 本人にさえ、分からなかった。
ローゼ博士
コメント
1件
うわあ……第33話、もう胸がぎゅっとなる展開でした😢 ヴァローナがシステム切って、自分の感情をそのまま出すって決めたのに、ローゼの冷たい一言で涙止まらなくなっちゃうところ、すごくリアルで切なかったです。特に「なんでお前が泣くんだよ」っていうローゼの言葉、あれはきっと本人も動揺してるんだろうな……。重いけど、丁寧に描かれてて、グッときました🖤