ゼラ
何故、君がここにいるのか。

ゼラ
まだ理解が出来ていないようだな。

レイ
....私をうちに帰して

ゼラ
断る。そもそも、我々の甘美なる計画の一部でもある、君を。

ゼラ
地上へ帰すわけにはいかない。

レイ
お願い!!

レイ
私はうちに帰りたいだけなの!

レイ
家族に会いたい!!

ゼラ
...残念だが、君の両親は死亡したと見ている。

レイ
.....え?

ゼラ
我々の作り出した機械でもあり、君をここへ連れてきた張本人のライチに

ゼラ
人間の返り血とおもしき、血痕が付着していた。そして、君にも。

レイ
そん....な...!

ゼラ
安否の確認は出来ていないが。ライチは機械だ。人並み以上の力を持っているが故に、うっかり、人を殺めてしまうこともあるのだ。

ゼラ
....ライチに敵う人間なんていない。残念だが、受け入れる他ないだろう。

レイ
.........。

レイ
....して

ゼラ
....何?

レイ
私を、

レイ
私を、殺して.....

他全員
!?

ゼラ
....僕の聞き間違いか??

ゼラ
『殺して』だと?

ゼラ
そう言ったか?

レイ
.....

??
きゃは!!殺して欲しいの??

レイ
.....(コクリ)

??
なら、僕が殺してあげるよ♪

ゼラ
! よせ!ジャイボ!!

ジャイボと呼ばれた青年はレイの首にナイフを当てた。
レイ
......。

??
死にたいんでしょ?

レイ
....うん

??
だ~い好きなお父さんと~お母さんに会いたいんでしょ?

レイ
....会いたい。

??
......じゃあ、僕が

??
会わせてあげるよ!!!

レイ
......。

レイ
......。

レイがいつまで待っても、ナイフがレイに刺さることはなかった。
青年が振り上げたナイフはそのままの位置で止まっていた。
??
....ねえ

レイ
......?

??
なんか言いなよ

レイ
?....

レイ
何を?...

??
きゃーとか、やめてー!とか

??
泣きわめきながら、命乞いとか

レイ
....死にたいのに

レイ
そういうめんどくさいことをする必要があるの?.....

??
...はぁ?何それ。くそつまんないじゃん。

??
やーーめた。

ゼラ
ふう...ひやひやしたじゃないか

ゼラ
ジャイボ

ジャイボ
きゃは♪ごめんね~?ゼラ~♪

ゼラ
にしても、どうしたものか。

ゼラ
これでは、ただの機械人形のようだ!!!

レイ
......

ゼラ
ライチに美学を習得させ、美しい少女を連れてくるように命令したが、

ゼラ
これは美しいと言えるのか!?

ゼラ
ライチは何故!この少女をここに連れてきた!!

ゼラ
そう!!ライチがこの少女を<美しい>と認識したからだ!!!

レイ
.......。

ゼラは玉座の前でまるで、宝塚のように右へ左へ、そして困り顔で額に手をついて目眩を起こしたようにふらふらとしていた。
ゼラ
これは、重大だぞ!諸君!!

ゼラ
ライチのメンテナンスと<美学>を1から学ばせねばなるまい!!

他全員
はい!!ゼラ!!

ゼラ
そして!

ゼラ
この少女を世界征服への第一歩への糧とする!!

ゼラ
そのためには、<感情>が必要不可だ。

ゼラ
少女よ!名を名乗れ!!!

レイ
...レイ。レイチェル=ガードナー。

ゼラ
レイチェル、レイよ!!

ゼラ
君は僕らの光クラブの甘美なる計画の一部となれ!全てが上手くいったら君に!褒美として、君の望むものを与えよう!

ゼラ
そう!!!

ゼラ
最高の死を!!

レイ
!!

レイ
最高の....死。

ゼラ
そうだ!!君のためなら

ゼラ
綺麗に死ねるように、縄でもなんでも与えよう!

レイ
自殺は、だめ....

ゼラ
な、何?

レイ
自殺は、だめだよ。

ゼラ
じじじ、自殺はだめ??

ジャイボ
きゃは。なんで駄目なの~?

レイ
...<神様が、そう仰有った、から??>

ジャイボ
僕に聞かないでよ。

ゼラ
ゴホン!ま、まぁいい!

ゼラ
君がそう望むのであれば、善処しよう!!!では....。

ゼラは1個のグラスに何かを注ぎ、何かを入れた飲み物をレイに見せる。
レイ
....それは何??毒?

ゼラ
違う。

ゼラ
これは、僕が漬けたライチ酒だ。このライチ酒には僕の血が入っている。

レイ
.....。それをどうするの?

ゼラ
もちろん。

ゼラ
飲ませるのさ。

レイ
!!

ゼラ
抑えろ

他全員
はい!ゼラ!!

レイ
!?

レイの頭、両肩、両腕、両足をがっちり抑えられてしまった。
レイが暴れたことにより、縄がほどかれるがそんなの関係ない。
ゼラがライチ酒の入ったグラスを持ってレイに近づいてくる。
レイ
うっ....

目と鼻の先にライチの香りとそれを漬けたお酒のきつい香りが広がる。
ゼラ
さぁ。

ゼラ
受けとるがいい。帝王である僕の血を。

レイ
んっ!?

レイは顔を上に無理やり向かされ、ゼラに両頬を捕まれ、強制的に口を開けさせられる。
レイ
!!?

容赦なく自分の口に注がれるライチ酒。一瞬、吐き出そうとすれば、回りにいる青年達に口を抑えこまれた。
レイ
けほっ!けほっ!!

レイ
.....うっ。

喉が焼けるように熱く。そして、ライチ酒のアルコールが体に回り、レイは思わず椅子から倒れた。
レイ
(頭が....くらくら、する....)

レイ
(視界が....ぼ、やけ....)

レイ
.....(バタリ)

レイは意識を手放した。そして、レイを囲むように見下ろすのは