コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第1章すべての始まり
奇跡
「なぁ、今度カラオケで愚痴大会あるらしいぜ」
「なにそれ、子供じゃん」
「え?真奈美は面白そうだと思うよ。」
愚痴大会なんて何年ぶりだろ?
昔から人の愚痴を聞くのは少し楽しかった。
ちょっと悪趣味だけど
「行かねー?」
「真奈美いく!」
伊織の通り、なんて子供みたいな愚痴だろう。
「なら私も行こうかな」
やっぱり伊織は優しい。
凄く優しい。
いつも私を心配してくれて
可愛がってくれて。
もう伊織は完璧だよ
次の日、私たち3人は
それぞれチャリにまたがって
10分くらい先のカラオケへ向かった。
「お、これで全員!?」
「じゃあ始めよぜ」
カラオケでは約8人くらいいた。
5人でも窮屈な部屋に8人揃い
ペチャクチャと喋った。
「ちょっと真奈美お手洗いいってくる。」
相変わらず心配性な伊織は、、
「一人で大丈夫?」
ほんっと優しいね。
でももう幼稚園児じゃないよ。
ありがとね。
「大丈夫だよ。行って来まーす」
私はトイレに行くわけでもなく
ただ、カラオケのロビーでぼぉー
っとしてた。
愚痴を聞いているとはしゃぎすぎて
冷静を取り戻せなくなっちゃう。
それにしても、私はバカだな、、
もう一度あの"彼"に会いたい。
偶然でもなんでもいい。
なんて、漫画みたいなことが起きるわけないか...
「ふぅっ、」
私は諦めてロビーをあとにしようとした時
なんとなく喫煙所を見た。
「嘘.....」
彼だ....
あの3人組の真ん中にいるのは
確実彼だよ。
「おぉーい!真奈美~?」
「あ、伊織....」
「どーしたの?」
「あれ、見てよ!」
ヤバい、今の私は絶対顔が真っ赤だ。
「あの人達がどうかした?」
鼓動が早くなる。
「あの人がそうだよ!」
「前に言ってた人!」
「嘘!真奈美が惚れた人!?」
伊織が何度も質問してくる。
私はそれに何度も何度もうなずいた。
それでも伊織は「あり得ない」と言うように目を丸くした。
そりゃ私も驚いたよ。
追いかけたくて、
追いかけたくて仕方がない。
でも私は珍しく足がすくんで動けない。
「真奈美、もう行っちゃうよ!」
「分かってる、けど....」
ドンッ
私は伊織に『早く行け』と言わんばかりに
背中を押してもらった。
お陰で動くようになった。
「あ、あの...」
何してるのよ、どれだけ声を張っても
自分でも驚くほど凄く小さい、そして弱々しい声がでた。
私は一度伊織に視線を送り、
「ムリムリムリ!」と首を振る。
それでも伊織は"負けるな!"と言ってくれる。
答えなきゃ、
伊織に答えなきゃ。
心臓が破裂しそう、
でも、頑張らなきゃ!
頑張れ私。
「すみませんっ!」
よし、これで振り向いてくれるはずっ
「は、はい?」
「あ、あの...」
「私のこと、覚えて、ない....」
「ですか.....?」
ちゃんと言えた。
ちゃんと声を振りしぼったはずなのに
あたしってこんなに声小さかったっけと思った。
「あ、えっと、ごめん....誰だっけ?」
振り向いた彼は凄く驚いて目を大きく見開く。
そりゃそうだよね。
知らない人から声かけられたらびっくりするよね。
私自身声かけたことにもびっくりしてる。
「この前の東高の体験で....」
「あぁ、あの茶髪の子だ!」
あぁ、よかった
この髪の毛のお陰で思い出してくれた。
染めなくて良かったと始めて思った瞬間だった。
「覚えてくれてたんですか...?」
「もちろん!」
「あの自習上手かったよね!」
初めて褒めてもらった言葉。
初めてしっかり喋ったこと。
しっかり記憶に刻んでおかなくちゃ。
「第一志望ここ?」
「は、はい....っ!」
「そっか、頑張って受かってね。」
「もちろんです!」
ダメだ舞い上がっちゃだめ。
「あ、名前聞いても良いですか?」
「ふっ、いいよっ。」
は、初めてちゃんと笑ってくれた?
でも何で笑ったんだろ
「名前は、川岸 湊太。」
川岸 湊太。か、
普通の名前。でも、凄くかっこよく思える。
あぁ、ダメだ。
完全完璧惚れた。
「ありがとうございますっ。」
「じゃあまたうちの高校で会えたらいいね。」
「はいっ!」
「またね。」
そう言って川岸"は友達と部屋に入って行った。
また高校で会おうか....
そんなの待てないよ。
毎日会いたい
今会ったばかりなのにまた会いたい。
こんな気持ち初めてだ。
今までたくさん付き合ってきたけど初めてだよ。
君が____。