まただった。 胸がぎゅうっと締めつけられて、 息ができなくなる。 何もしていなくても、 突然、理由もなく波が襲ってくる。
えいく
でも、今回は違う。俺は今、ひとりじゃない
はやと
颯斗の声が、遠くからじゃなくて、 すぐ近くから聞こえる。
強くも、優しくもない、ただ真っ直ぐな声。 俺の名前を呼んでくれるだけで、 不思議と呼吸が整ってくる。
ぐしゃぐしゃな顔で、彼を見上げると、 颯斗は俺の頬をそっと拭いながら、微笑んだ。
はやと
えいく
はやと
そう言って、颯斗が顔を近づけてくる。
頬に触れたその唇は、 やさしくて、あたたかくて。 深く深く、想いを伝えるように、 時間をかけて確かめ合うキスだった。
唇が離れたあとも、 彼の瞳はまっすぐ俺を見ていた
はやと
頬が熱くなった。でも、 それ以上に心が熱かった。
えいく
ぎゅっと手を握って、 今度は俺の方からキスをした。 言葉よりも強く、伝えたかった。
静かな部屋に、時計の音だけが響く。 でも、ふたりの心は今、確かに重なっていた。
END
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