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羽沢音

お兄ちゃん、またゲーム?

羽沢鳴

このあと望月が来るんだよ

羽沢音

え⋯⋯

羽沢鳴

明日休みで泊まっていくから。
今荷物取りに行ってる

羽沢音

と、泊まるの!?

羽沢鳴

なんだよその顔

羽沢音

お、お母さんは?

羽沢鳴

遅くなるって

羽沢音

またぁ?

羽沢鳴

お前、少し望月に慣れろよ

羽沢音

でも⋯⋯

羽沢鳴

お母さんか僕がいなきゃ、
何もできなくなるよ

羽沢音

そうだけど⋯⋯

羽沢鳴

望月が可哀想だ

羽沢音

⋯⋯

望月さんが女の人ならなあ。 こんなに緊張しないんだけど。

⋯⋯ううん、女の人でも緊張する。

望月涙

こんばんはー

羽沢鳴

ほら

羽沢鳴

玄関開けてやれ

羽沢音

ぁう⋯⋯⋯

羽沢音

お兄ちゃんが──

羽沢鳴

僕は準備で忙しいの

駄々を捏ねているうちに、 二度目の呼び鈴が鳴った。

望月涙

すみませーん

羽沢音

⋯⋯どうぞ

望月涙

ああ、妹ちゃんか。
こんばんは

羽沢音

こんばんは⋯⋯

望月涙

鳴から聞いてる?
あ、これ、飲み物とお菓子

羽沢音

わ、ありがとうございます

望月涙

夜は冷えるね、
女子はスカート大変だね

羽沢音

スパッツ履いてるから⋯⋯

望月涙

あ、そっか、そうだよね。
⋯⋯これセクハラになる?

羽沢鳴

有罪

望月涙

うわっ

羽沢音

⋯⋯

羽沢鳴

なにこれ、お菓子?

羽沢音

あ、飲み物ももらったよ

羽沢鳴

気使わなくていいのに。
悪いな

望月涙

鳴に使ってないよ、
妹ちゃんとご家族に

羽沢鳴

あっそー

羽沢音

いまお茶、入れます

望月涙

ありがとう、手伝うよ

望月さんが台所まできてくれる。

コップを出す手が微かに震えた。 鳴は素知らぬ顔だ。

望月涙

可愛いコップだね

羽沢音

小さい頃から使ってて

望月涙

どっちが妹ちゃんの?

羽沢音

猫⋯⋯

望月涙

じゃあ犬が鳴のね。
お茶とコーラ混ぜちゃうか

羽沢音

ふふっ

望月涙

妹ちゃんは猫みたいだね

羽沢音

そうですか?

望月涙

警戒心が強くて逃げ足が早い

羽沢音

⋯⋯ぅ

望月涙

あと可愛い。
ちょっかい出したくなる

羽沢音

⋯⋯

望月涙

赤くなるってのも追加で

羽沢音

それ、猫、関係ないです

しっかりして私の頬!

何度か会って喋って。 からかわれてるだけ。

望月涙

でも物持ちがいいんだね。
子供の頃からこのコップ?

羽沢音

はい、親戚の人がくれて

望月涙

それは捨てられないねえ

羽沢音

その人、私達が双子と勘違いして対のものばかりくれるんです

望月涙

⋯⋯そうなんだ

羽沢音

年子だし、
顔も似てるから

望月涙

⋯⋯

望月涙

違うところもあるけどね

羽沢音

そう、ですか⋯⋯?

望月涙

妹ちゃんの方が唇が薄い。
鳴の方が睫毛が短い

羽沢音

あ──

伸びてきた長い指が、 どこに触れようとしたのか⋯⋯。

一瞬のことで避けることも出来なくて。 彼がどんな顔をしているのかも、 わからない──。

羽沢鳴

──準備できたよ

羽沢音

望月涙

ありがと、こっちもだよ

羽沢鳴

いつまでお茶いれて──

羽沢鳴

なんだこの禍々しい色

望月涙

俺特製カクテルかな

羽沢音

⋯⋯

⋯⋯。

私の方が睫毛長いんだ。 知らなかったなぁ。

そのあとのゲームは盛り上がって、 私も途中から一緒に騒いだ。

お母さんが帰ってご飯の後も、 ずっと3人でゲームをしてた。

望月涙

妹ちゃん、楽しい?

楽しいなぁ。

ずっとこの時間が続いたらいいなあ。

ふわふわと気持ちのいい感覚。

どれくらい時間が経ったのだろう。 居間でそのまま寝てしまった。

暗闇の中、唐突に目が覚めて、 微睡む頭のまま目をこらす。

羽沢音

⋯⋯?

望月涙

⋯⋯

人影がはっきりしてくる。 あれは⋯⋯。

望月涙

⋯⋯

羽沢鳴

すぅ⋯⋯

羽沢音

⋯⋯

鳴はまだ寝てる。 起きているのは望月さんだ。

なにを、している、の⋯⋯?

望月涙

鳴──

羽沢音

⋯⋯!

熱っぽい声音。

回転速度を上げる頭。 もやの晴れた視界。

────

見えたのは、鳴の額にそうっと唇をつける望月さんの姿だった。

羽沢音

⋯⋯ぁ

望月涙

⋯⋯

羽沢音

⋯⋯

望月涙

妹ちゃん、起きてるの?

羽沢音

⋯⋯

夜の闇の中、目が合った。

望月涙

内緒ね、妹ちゃん

──ああ、

あの時、 この人が触れようとしたのは──

羽沢音

お兄ちゃん⋯⋯

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