礼拝堂
柚葉
お待たせしました‼︎
凛
別に待っていませんよ。それで用件は何ですか?
柚葉
えっ、いや別に大したことはないんですけど...ただ姉さんとお喋りがしたくて...
凛
構いませんよ、立ち話も何ですし私の隣に座って下さいよ。
柚葉
あ、はい‼︎失礼しまーす...
スタスタ ストッ
凛
....
柚葉
....
凛
...どうしたんですか?そんなに暗い顔をして。
柚葉
だ、だって今日で姉さんと一生会えなくなるんですよ...そんなの...明るく振る舞える訳ないじゃないですか...
凛
柚葉さん、あなたは何か勘違いをしていますよ。
柚葉
...勘違い?
凛
柚葉さんは私と一生会えなくなると言っていますが、それは私が完全になくなる訳ではないんですよ。
凛
人格は消えても、私が今まで得た知識や経験がそのまま残り続けるんです。
柚葉
でも...
凛
私と初めて会った時のこと覚えていますか?
柚葉
えっ?
凛
私は人体実験で感情を消されてから、つまらない日々を送っていました。
凛
ですが研究所を脱出後、仮想空間に私達を送る際に琥珀さんが私の感情を想像して具現化してくれたんです。
凛
それが今の柚葉さんです。
凛
だから柚葉さんを見ていると昔の私を思い出すんです。あの楽しかった頃の自分を...
柚葉
姉さん...
凛
だから柚葉さんは私の分身...いや、私自身としてこれからも生きて下さい。
凛
これが私の願いです。
柚葉
...姉さんは私のヒーローです。困った時にすぐ駆けつけてくれる優しい心の持ち主です。
柚葉
例えそれが感情がなかったとしても、殺人鬼だとしても...
柚葉
こんな紛い物に対して妹のように接してくれたこと嬉しかったです。
柚葉
抗体人間の皆さんと仲良くする機会を与えてくれて嬉しかった...です。
柚葉
だから...だから...
柚葉
柚葉
いなく...なっちゃ...いやだよぉ...
柚葉
ウッ...グスッ...
凛
...ごめん。
凛
ごめんなさい...
ギュッ
柚葉
姉さん...ッ‼︎
柚葉
うわあぁぁぁぁッ‼︎
数十分後
凛
落ち着きましたか...?
柚葉
は、はい...すみません、取り乱してしまって...
凛
こんな状況で取り乱さない方がおかしいですよ。
柚葉
で、でも私は下界に戻っても姉さんのことは決して忘れませんから...
凛
あー...そのことなんですが...
凛
凛
この島での記憶は下界に引き継ぐことが出来ないんですよ。
柚葉
えっ⁉︎そ、それじゃあ...
凛
下界に戻ったら私の存在も島で過ごした記憶も全て忘れてしまうらしいんです。
柚葉
な、何で...そんな残酷な...
柚葉
いやです‼︎私は...私は姉さんのことを忘れたくないです...ッ‼︎
凛
ですから
柚葉
だったら今すぐにでもここに残れるか鼎さんに聞い
凛
柚葉さん‼︎
柚葉
っ⁉︎
凛
先程、私が言ったことを忘れたんですか?
柚葉
えっ...
凛
人格は消えても、私が今まで得た知識や経験がそのまま残り続ける...
凛
言い換えれば私の生き様は全て柚葉さんが引き継ぐんです。
柚葉
あっ...
凛
だから柚葉さん、あなたは私が積み上げてきたものを存分に活かして生きて下さい。
凛
それが私にとって一番嬉しいことなんです。
凛
一生私のことを思い出せなくても、私にとってはこの上ない喜びなんです。
凛
だからお願いします...いや、“約束”です。
柚葉
“約束”...
スッ
凛
さぁ、指を出して下さい。
柚葉
....
スッ
凛
指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます指切った。
凛
これでもう嘘はつけませんね。
柚葉
...そうですね。
柚葉
柚葉
よし‼︎目が覚めた‼︎
柚葉
私は絶対に“約束”を破りません‼︎絶対に‼︎
凛
良かったです、元気になってくれて。
凛
さてこの後どうしますか?
柚葉
もちろん、最後まで皆さんと一緒に楽しみましょう‼︎
柚葉
悔いを残さないためにも...全力で‼︎