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来夢
50
#つづくかしらん☆
253
なな🍆
109
赤ちゃんの産声が聞こえてくる
母親
母親
父親
母さんと父さんは、生まれたばかりの自分たちの娘の姿を見て、悲鳴を上げる
その理由は姿を見れば明確だった
医者
そう、私とグレイスは結合双生児として生まれたからだ
結合双生児には様々な種類があるが、私とグレイスは首から下を共有するタイプだった
母親
医者
医者は残念そうに首を横に振った
分離手術ができるほどの医学力なんか、この時代にはなかった
父親
父さんは目を逸らし、黙ったままだった
母親
父親
両親は私とグレイスをこのまま育てることに決めた
エリザベス
グレイス
小さい頃はグレイスと仲良しで、同じタイミングで笑い、同じことを考えていた
顔に見える床のシミを見て、同じタイミングで指を差した
母親
母さんがスコーンが入った皿を机に置いた
皿を机に置く音で、私とグレイスは目を輝かせながら、同じタイミングで振り向く
エリザベス
グレイス
私もグレイスもスコーンは大好物だった
双子だからか、何もかもが同じタイミングだった
そんな私たちには共通の特技があった
そう、それは「歌」だった
私とグレイスは街中で、「ロンドン橋落ちた」を歌っていた
かつては今ほど不定調和だったわけではなく、音程も揃っていた
大人たちは心を落ち着かせながら、小さい私たちの歌を黙って聴いていた
グレイス
グレイス
エリザベス
全て歌い終わると、大人たちは拍手をした
大人たち
大人たち
大人たちは大袈裟なほど私たちを褒めてくれていた
私とグレイスは得意げになって、二人で胸を張っていた
ある日、私とグレイス達は歌劇団で歌を聴きに来た
ステージに立つ歌手の歌声は、ガラス細工を撫でるような、繊細で透明感のある高音だった
最初は震えていた歌手の歌声が、サビに近づくにつれて、力強い低音へと変化していく
エリザベス
私は肌に鳥肌が立ち、気づけば頬が涙で濡れていた
グレイスの方を見てみたが、彼女の肌にも鳥肌が立っているのを見た
歌手の歌を聴くグレイスの目は、一等星のように輝いていた
歌手によるパフォーマンスも終わり、観客席が段々静かになってきた
グレイスは目を輝かせながら、私に話しかけた
グレイス
エリザベス
私とグレイスはステージに立つ歌手の歌唱力の高さについて語り合っていた
そして、私の胸の中で小さな願いが生まれていた
エリザベス
グレイス
エリザベス
私は歌手のいないステージを見ながら言った
すると、グレイスは満面の笑みで賛同した
グレイス
グレイス
エリザベス
グレイス
エリザベス
私とグレイスは観客席の中で、小指を絡めて誓ったのだった
それから、私たちは毎日歌の練習に励んだ
繊細なソプラノと力強いアルトが綺麗に重なり合う
小さい頃は調子がいい日が多かった
グレイス
エリザベス
エリザベス
グレイス
エリザベス
私とグレイスは同じタイミングで笑った
たくさん笑った後、再び歌の練習を続けた
体調不良にならない限り、練習は休むことなく続けたが、決して無理をしているわけではなかった
むしろ、やりたくてやっていることだった
ある日のことだった
クラスメイト
学校の教室で、クラスメイトの男子が私とグレイスに近づいて、冷たい言葉を発してきた
私は自分の耳を疑ってしまい、思わず聞き返した
エリザベス
クラスメイト
クラスメイト
私が黙って聞いていれば、クラスメイトの男子は好き放題言ってくる
言われる度に、私の目から涙が溢れてくる
やっぱり、他人の目は思っていたほど甘くなかった
エリザベス
クラスメイト
私の泣き声に反応したグレイスは、クラスメイトの男子を鋭い目つきで睨みつける
グレイス
クラスメイト
クラスメイト
クラスメイトのその一言で、グレイスの堪忍袋の緒が完全に切れ、
グレイス
エリザベス
グレイスは男子に片手で掴み掛かった
勢いが強かったため、胸ぐらを掴まれた男子は少しよろけてしまう
クラスメイト
グレイス
グレイスは男子に向かって、握りしめた拳を振り下ろしてきた
しかし、
先生
偶々近くを歩いていた先生にグレイスは止められた
グレイスは渋々男子の胸ぐらを離した
クラスメイト
クラスメイト
エリザベス
先生
先生はグレイスの手首を掴み、職員室へ無理矢理連れて行った
先生
私とグレイスは椅子に座らせられ、先生の長い説教を俯きながら聞いていた
エリザベス
エリザベス
グレイスは私のために怒ったと自分に言い聞かせていた
隣にいるグレイスは納得がいかないようで、唇を噛み締めていた
グレイス
グレイス
グレイス
グレイスは必死に反論したが、先生は冷たい視線でグレイスと私を見た
先生
先生
エリザベス
信じられない言葉を先生は言い放った
しかし、この時代ではこんな差別発言も正当化されていた
もはや悲しいという感情が出てこなくなった
呆れてしまい、ため息しか出てこなかった
先生
グレイス
先生
グレイスが何かを言いかけたが、先生はそれを遮るように否定した
エリザベス
先生
グレイス
先生
グレイスは終始、先生を睨みつけていた
私は先生の顔を見ることができずにずっと俯いていた
私とグレイスは成長するにつれて、息が合わなくなっていた
好きな色も、好きな食べ物も、性格も、何もかもが違った
そして、あの事件から数週間が経った頃、私とグレイスは学校に登校していた
エリザベス
エリザベス
私の勘は正しかったようで、街の人たちは私とグレイスを好奇の目で見ていた
外の世界は、私たちが想像していたよりも、ずっと厳しかった
街の人たち
街の人たち
街の人たち
街の人たちのコソコソ話が、私の耳に届いてしまう
耳を澄ましてみれば、どれもこれも心無い言葉ばかりだった
街の人たち
エリザベス
中には石を投げつけてくる人だっていた
私はどうすることもできず、ただ「やめて」と言いながら、怯えるしかできなかった
しかし、その横でグレイスは投げられてきた石を手に持つ
グレイス
グレイス
グレイスはわざと聞こえる大きさで舌打ちをし、石を投げ返した
街の人たち
グレイス
エリザベス
私はグレイスに引っ張られる形でその場を退散することになる
エリザベス
私はグレイスに思い切って聞くことにした
グレイスなら、そんなわけないと否定するのだと勝手に思い込んでいた
しかし、私が思っていた返事は返ってこなかった
グレイス
返ってきた返事は、短くて残酷なものだった
それから、私たちは学校に着くまで会話をしなかった
私たち姉妹の関係が悪化したのは、この日からだった
私たちは大きくなり、就職先を見つけなければいけない年になった
なので、早速歌の仕事に就こうとしたが…
大人たち
エリザベス
グレイス
オーディションを受ける前に断られてしまった
なんでと聞いたものの、理由はなんとなく判っていた
大人たち
大人たち
エリザベス
普段は大人しかった私だが、納得ができずに反論してしまった
だって、幼い頃から休むことなく練習してきた歌を披露できる場だ
こんな場所、見逃してはならなかった
しかし…
グレイス
エリザベス
エリザベス
グレイス
グレイスに引っ張られる形で、舞台から立ち去ってしまった
最初だけ断られたからって諦めることはできなかった
グレイスを振り回す形で、色々な舞台に就職を希望した
しかし、期待した結果になることはなかった
歌手どころか、そもそも仕事に就くことすらできなかった
理由はもちろん、この見た目だった
私が思い描いていた未来予想図はバキバキに砕け散った
私とグレイスは大人しく家に帰るしかなかった
エリザベス
エリザベス
グレイス
グレイス
グレイス
幼い頃から一緒に練習してきたグレイスは、完全に性格が捻くれてしまっていた
かつてのグレイスの目はあれほど希望に満ちていたのに、今じゃあ溜息しか吐かなくなった
このグレイスはもう、仲良くしていたあの頃とは違うんだと、改めて実感した
そして、変わり果てていくグレイスを見て、私は段々と苦手意識を持つようになった
そして、
エリザベス
…こんなことまで思うようになってしまった
私は何か間違っているのかな?
あんなに可愛かったのに、今じゃグレイスが憎くて堪らない
次第にこの体まで嫌になってきた
そして、ある日のこと
私とグレイスは完全に夢と希望を失っていた
しかし、私はあるものを目にする
エリザベス
それは、黒くて不気味なテントだった
雰囲気でわかるが、恐らくあれは見世物ショーのテントだった
私はグレイスのことを忘れて、このテントをじっと見ていた
すると…
ヴィクター
ヴィクター
中から、シルクハットをかぶった男性が現れた
彼は帽子の先を持ちながら「ヴィクター」と名乗った
グレイス
ヴィクター
エリザベス
ヴィクターは名乗ってもいないはずの私たちの名前を呼んだ
ヴィクター
エリザベス
エリザベス
グレイス
私は歌手を目指していた頃の過去を語っていた
その横で、グレイスは嫌悪感に満ちた表情でこちらを睨んでくる
エリザベス
ヴィクター
グレイス
エリザベス
ヴィクター
ヴィクターはそう言いながら、穏やかな笑みを浮かべた
その日から、私たちは「双頭の歌姫」として、フリークショーに出ることになった
あれから何年の月日が経った
「双頭の歌姫」として歌手としての夢を叶えたはずなのだが、達成感はどこにもなかった
時が経つ度にグレイスへの感情を拗らせ、その度に音程もズレていった
そして何よりもショックだったのが、アリスが「ミラードール化」してしまったことだった
エリザベス
かつてのような幼さは残っておらず、私は唖然とした
グレイス
しかし、その横でグレイスが腹を抱えて笑った
等々頭がおかしくなってしまったのではないかと疑った
エリザベス
グレイス
グレイス
何をしたらそんな考えになるのか、私にはわからなかった
グレイスのことがわからなかったのは元からのことだったが、今回でさらに理解ができなくなった
…でも、いつからこうなったんだろうか
いつからグレイスのことが理解できなくなっていたのだろうか
いつからグレイスのことを憎んでいたのだろうか
いつから音程が外れたのだろうか
エリザベス
コメント
1件
もうっ、第17話読み終えたよ…!😭💕 結合双生児として生まれたエリザベスとグレイス、小さい頃はあんなに仲良しで、一緒に歌手を目指してたのに…「この子さえいなければ」ってエリザベスが思っちゃうとこ、胸がギュッてなったよ…切なすぎる。大人や周りの cruel な言葉、石を投げられる描写、全部リアルで苦しかった。 でもヴィクターが出てきて「双頭の歌姫」としてステージに立てる展開、希望の光が見えたようでちょっとホッとした…!グレイスの性格が捻じれていく過程も丁寧に描かれてて、続きが気になりすぎる…!!桜城さんの文章、エモさと痛さが絶妙だよ〜😢💕