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桜城優衣🌸
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コメント
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うわっ…第18話、読み終わったよ…😭💔 幼い頃の二人の無邪気な姿と、大人になってからのすれ違いが…辛すぎる。 「邪魔だから消えればいい」って思っちゃうグレイスの気持ち、わからなくもないけど切なすぎる…。 それにしても、左胸のズキズキする痛み、気になる…! ヴィクターの「双頭の歌姫」、その先がどうなるのか…次が待ちきれないよ🥺✨
病院の中で、赤ん坊の産声が響く
母親
母親
父親
父親と母親は、生まれたばかりの娘たちを見ては、悲鳴をあげた
しかし、二人の悲鳴の理由は娘たちの姿を見れば、簡単にわかることだった
医者
アタシとエリザベスは結合双生児として生まれた
アタシとエリザベスは、首から下の体を共有していた
母親
医者
母親は必死になっていたが、医者は首を横に振った
そりゃそうだ
この時代には現代ほどの高い医学力なんか、あるはずがなかった
父親
父親は一言も喋らず、当時赤ちゃんだったアタシとエリザベスとも、目を合わせようとしなかった
母親
父親
両親は娘二人を手放すほど鬼ではなかったため、アタシたちをこの状態で育てることを決めた
エリザベス
グレイス
幼い頃はエリザベスとも仲良しで、双子だからなのか、同じタイミングで笑っていた
この日は確か、顔のように見える床のシミを見て、指を差しながら同時に笑っていた
母親
母親がスコーンが入った小さな皿を、机にゆっくり置いた
ゴトッと鳴るその音に、アタシとエリザベスは同時に振り返り、目を輝かせる
エリザベス
グレイス
なんと、食べ物の好みでそっくりだった
アタシとエリザベスはスコーンが大好物だった
スコーンを食べていると、今でも当時の記憶が蘇ってくる
アタシ達は、幼い頃から歌が得意だった
街で大人達に向かって、よく二人で歌っていた
この頃は、今ほど歪んだ音程ではなく、歌声も綺麗に揃っていた
今日は街で「ロンドン橋落ちた」を歌っており、大人達はアタシ達の歌声を耳に刻むように聞いていた
全て歌い終わると、大人達から一斉に拍手喝采を浴びた
グレイス
グレイス
エリザベス
エリザベスとハーモニーを奏でることに成功した時は、本当に誇らしく感じていた
これ以上いない、最高の相棒だと、この頃は考えていた
大人たち
大人たち
大人達はアタシ達の頭を撫でながら、わかりやすく褒めちぎった
アタシとエリザベスは、得意げに胸を張っていた
ある日のことだった
エリザベスとアタシは、プロの歌劇団を見に行った
グレイス
グレイス
アタシはアタシ達が送っている日常とはかけ離れた、気品のある舞台を目にして、落ち着かずにキョロキョロしていた
まだ誰も歌っていないにも関わらず、アタシは開いた口が塞がらなかった
挙動不審になっている間に、歌手がステージに上がった
その歌手の歌声は、どこか儚げで、かつ透明感のある美しい高音ボイスだった
例えるなら、擬人化されたピッコロが出す音色のようだった
手鏡を持っていないからわからないが、今のアタシの表情は、誕生日プレゼントを貰った子供のように輝いているのだろう
エリザベスも同じ顔をしているはずだ
グレイス
気がつくと、本心が小さな声として漏れていた
あまりにも美しい歌声が耳に届くため、上手く言葉にすることすらできなかった
パフォーマンスが終わり、観客の騒めきが、次々へと静かになっていく
私は文豪のような語彙力こそなかったが、この感動を今すぐにでも誰かに共有したかった
勢いに身を任せて、エリザベスに声をかけた
グレイス
エリザベス
アタシ達は、さっきステージに立っていた歌手の歌唱力について、語り尽くしていた
ほとんどがアタシのマシンガントークな気もしていたのだが、エリザベスは笑顔で頷いてくれていた
一旦冷静になり、静まり返った時、突然エリザベスが口を開いた
エリザベス
グレイス
エリザベス
エリザベスは誰もいないステージを見ながら、そう言った
アタシはエリザベスの口からその言葉が出てきたのが嬉しくて、目を輝かせながら、賛同した
グレイス
グレイス
エリザベスは、アタシの思っていたよりも元気な回答が面白くなったのか、口元に手を当てながら、お淑やかに笑った
エリザベス
グレイス
エリザベス
アタシとエリザベスは、誰もいない観客席の中で、小指を絡めて約束をした
それから、アタシ達は毎日歌の練習に励んだ
小鳥の囀りのような繊細な音色と、稲妻のような勢いのある音色が、綺麗に重なり合う
グレイス
エリザベス
エリザベス
グレイス
エリザベス
そんな些細なやり取りでも面白く感じ、アタシ達は同じタイミングで笑った
その後も勿論、練習は続けたが、エリザベスと一緒に歌うことは、全く苦じゃなかった
むしろ、アタシ自身がやりたくてやっていることだった
こんな感じで、アタシとエリザベスの二人用の部屋は、毎日賑やかな声が響いていた
ある日、学校で起きた出来事だった
クラスメイト
クラスメイトの男子が、わざわざアタシとエリザベスに近づいて、そう言い放った
ほんの一瞬だけ、頭が情報を処理できなかった
エリザベス
クラスメイト
クラスメイト
ちょっとでもアタシが黙っていれば、クラスメイトの男子は好き放題言いやがってきた
何も知らないくせに、よくそんな大口を叩けるもんだよ
すると、エリザベスの反応に変化があった
エリザベス
エリザベスの目からは大粒の涙が溢れていた
片手で顔を抑えながら啜り泣いており、クラスメイトからの心無い言葉に傷ついていた
クラスメイト
エリザベスを泣かせたこの男に怒りが込み上げてきた
アタシは我慢ができずに、横から口を挟んだ
グレイス
クラスメイト
クラスメイト
モンスターという言葉で、アタシは溜め込んできた堪忍袋の緒が完全に切れた
自分自身を否定されたような気分になり、こいつを殴りたい衝動がアタシのことを襲った
怒りに身を任せたアタシは、アタシ自身でもブレーキをかけられなかった
グレイス
エリザベス
アタシは男子の胸ぐらを片手で掴んだ
怒ったアタシの力が強かったからか、男子は少し足がよろけてしまう
クラスメイト
グレイス
アタシは即座に手を離し、男子に向かって拳を振った
…と思いきや
先生
近くを通りかかった先生に手首を掴まれた
先生に声によって、アタシは我に返り、渋々動きを止めた
後々湧いてくる「自分が暴力を振るおうとした」実感で、何も言葉が出なかった
しかし、だからといって、大人しく頭を下げる気にはなれなかった
クラスメイト
クラスメイト
アタシが動きを辞めた瞬間、クラスメイトの男子はあたかも自分が被害者であるかのように猫を被った
エリザベス
エリザベスは必死に反論してくれようとしていたが、先生はエリザベスの言葉を聞こうともしなかった
先生
先生はアタシの手首を乱暴に掴み、引き摺りながら職員室に連れて行った
先生
アタシとエリザベスは椅子に座らせられ、先生のネチネチとした長い説教を聞かされていた
確かあの時のアタシはいけないことをしたかもしれないが、アタシだけに非があるみたいな言い方をされているので、納得がいかなかった
何よりも、無関係のエリザベスまで怒られているのもまた、納得がいかなかった
アタシは悔しさで、唇を噛み締めていた
グレイス
グレイス
グレイス
アタシは事実を一生懸命話したが、先生はまるで路地裏に捨てられたゴミを見るような目で見た
そして、同時に信じられない言葉を吐いた
先生
先生
エリザベス
言葉すら出なかった
これにはエリザベスも思わず声を漏らしていた
アタシだって、好きでこんな風に生まれたわけじゃないのに
できることなら、みんなと同じように生まれたかった
これも、神様のお遊びなんだ
別に、エリザベスが嫌いなわけじゃなかったが、生まれ持った身体的特徴のことを指摘されると、さすがに傷ついた
先生
グレイス
先生
先生はわざとらしくアタシの言葉を遮り、首を横に振って全否定した
エリザベス
先生
グレイス
先生
自分の立場を利用して好き放題言ってくるこの先生に対して腹が立ち、終始先生を鋭い目つきで睨みつけていた
エリザベスはアタシの横で、ずっと俯いていた
あの後、アタシとエリザベスは家に帰った
アタシはしばらく無気力で、大好きな歌の練習ですら全力で頑張れなかった
数時間が経ち、エリザベスがアタシの横ですやすやと寝ていたが、アタシは夜になっても眠れなかった
夜の12時を過ぎていたが、アタシの瞼は一向に重くならなかった
グレイス
グレイス
あの教師の言葉が、アタシの頭の中で何度も再生されており、忘れることができなかった
確かに街中で身体にハンディキャップを抱えている人たちは冷ややかな目で見られるのが、この街では当たり前であるような風潮があった
この前なんか、物乞いをしている子供や、車椅子に乗っているっていうだけで、仕事すら与えられなかった人だって目撃した
…これらを見てわかった
アタシ達も例外じゃないんだなと
悪ガキ達に言われる前から、好奇の目で見られたり、陰口を何度も言われてきた
当時はそこまで傷ついていなかったが、今思い出すととても辛くなる
グレイス
グレイス
泣くことすら、できなかった
アタシとエリザベスは、成長につれて意見が合わなくなった
そして、あの事件から数週間が経った頃、アタシとエリザベスは学校に登校していた
正直言うと、うんざりしていた
周りを見渡せば、好奇の目で見る連中ばかりで、それにすら怒りが湧かなくなっていた
これが当たり前なのだと思い込み、心が麻痺していた
しかし、アタシはそれに気づくことすらできず、どんどん捻くれていく
街の人たち
街の人たち
街の人たち
心無い言葉ばかりが耳に届く
街の人たち
街に住む男に、エリザベスが石を投げつけられていた
エリザベス
エリザベスは街の人達に怯えており、横で啜り泣いていた
アタシは投げつけられた石をキャッチした
グレイス
グレイス
アタシは聞こえる大きさでわざと舌打ちし、石を投げ返した
とにかく全部が鬱陶しかった
街の人たち
グレイス
エリザベス
アタシはエリザベスを引っ張っていく形で、その場を後にした
ヒソヒソ話も好奇の目もない、人気のないところへ着いた
今は、学校に行くことなんか、考えてられなかった
エリザベス
エリザベスは、アタシにそう言った
何を当たり前のことを言っているんだろうと思った
その問いは、アタシが「自分って女性なの?」と聞いているのと同じだった
グレイス
エリザベスは何か幻想を抱いているのかもしれないが、アタシは現実を突きつけた
早くから現実を知らないと、エリザベスはアタシと一緒にこの先、生きていけないだろう
勝手に思っていた
エリザベスはアタシの言葉を聞いて、悲しそうに目を逸らすだけだった
それから、学校に着くまで一切会話をしなかった
あれから、アタシ達は大きくなり、仕事を探さなければならない年になった
エリザベスの要望により、諦めていた歌手の道へ進もうとしていたが…
大人たち
エリザベス
グレイス
答えは予想通りだった
アタシ達はオーディションを受ける前に、すぐさま断られた
大人たち
大人たち
心のどこかで少し期待していたが、それも全部バラバラに砕け散った
エリザベス
エリザベスは不可能な夢をまだ抱いており、大人しい姿からは想像できないほど、必死に反論していた
そんなエリザベスの姿すら、見苦しく見えていた
だから…
グレイス
エリザベス
エリザベス
グレイス
いつからか、エリザベスと一緒にいることすら鬱陶しくなった
アタシはエリザベスを無理やり連れて行くように、その場を去った
その後も、アタシはエリザベスに振り回されるように着いて行った
エリザベスはまだ諦めていなかったようで、何度も歌の職業に就こうとした
しかし、歌手になれないのはもちろん、他の仕事にすら就けなかった
理由はマナーがなっていないわけでもなく、実力不足だったわけでもなかった
「身体にハンディキャップがあるから」
それが全てだった
エリザベスも懲りたようで、大人しく家に帰った
エリザベス
エリザベス
まだ粘ろうとするその姿に腹が立った
醜い嫉妬も含まれているのかもしれない
グレイス
グレイス
グレイス
エリザベス
エリザベスはあの頃と変わっていない
ハイライトで輝く彼女の目は、夢見る子供同然だった
しかし、諦めの悪いエリザベスすら、めんどくさくなった
…何が、最高の相棒だよ。アホらしい
グレイス
こんなことまで思うようになった
今じゃ、エリザベスが鬱陶しくてたまらない
自分の行動が制限される度に、意見が合わない度に、苛立っていく
アタシは間違ってる?
完全に夢と希望を失ったある日のこと
アタシはあるものを目にする
グレイス
それは、黒くて怪しげな雰囲気をしたテントだった
アタシは隣のエリザベスの存在を忘れて、ぼーっと一点だけを見つめていた
次の瞬間、
ヴィクター
ヴィクター
テントの中から、恐らく団長であろう長身の男性が現れた
彼は自らを「ヴィクター」と名乗った
アタシ達を見て初っ端から「美しい」だなんて、この男は皮肉でも好きなのか?
グレイス
ヴィクター
エリザベス
ヴィクター
エリザベス
エリザベス
グレイス
まだ戻らない過去を語っているのかと、アタシは心底呆れていた
まるで自分のことのように、とにかく嫌で仕方なかった
アタシはエリザベスをギロっと睨んだ
エリザベス
ヴィクター
グレイス
この男が言うことは嘘かもしれないのに、アタシは胸に少し希望を抱いた
エリザベスはもちろん、驚く
エリザベス
ヴィクター
ヴィクターは穏やかで不気味な笑みを浮かべた
この日から、アタシ達は「双頭の歌姫」としてステージを立つことが許された
あの日から、かなりの時間が経った
夢だった歌手になったはずなのに、嬉しいという気持ちはなかった
エリザベスに対する苛立ちは、日にちが変わる度に悪化していくままだった
そして、この前来たばかりだった「アリス」という普通の少女が「ミラードール」という異形になってしまった
異形のみんなは、悲しみと後悔で暮れていた
しかし、アタシだけはなぜかそれが面白くて仕方なかった
グレイス
アタシは吹き出るように笑いが出た
エリザベスが黙り込んでいるのにも関わらず
エリザベス
グレイス
グレイス
エリザベスは理解できないという表情で、アタシのことを見つめる
だが、無我夢中に歌手を目指した結果、捻くれてしまったアタシみたいで、馬鹿らしく見えていた
だが、笑いが収まり、冷静になった頃に、一つだけ違和感があった
グレイス
さっきから、左胸がズキズキするように痛い
アタシは、この痛みの理由を知ることすら、できなかった