いつも通り学校も終わり、今日はサークルもお休みの日やったから、俺はあるショッピングモールの雑貨屋に足を向けていた。
それは【好きな香水を組み合わせることが出来て、世界でひとつの自分だけの香りを作ることが出来ます✨】
というフレーズに惹かれてしまい、今、自分でプレンドしている真っ最中だった。
大橋和也
うーん、これかな?いや、これも違うなぁ・・・
もうかれこれ、30分以上なやんでいる。あの香水の香りに少しでも近いものを探し出そうとしていて必死やった。
藤原丈一郎
何しとるんやあいつ・・・
?
ねぇ?丈くん、どうしたの?
藤原丈一郎
いや、知り合いがおったから・・・
?
へぇ?知り合い・・・(男の子が?)
大橋和也
あっ・・・・丈くん・・・・
藤原丈一郎
!?
?
ねぇ?誰なの?(可愛い子)
藤原丈一郎
同じサークルの仲間や・・・(って言うか何してるんや)
?
へぇ?
藤原丈一郎
行こか・・・
そう言って、彼の横を彼女とものも言わずに通り過ぎた。
大橋和也
・・・・・(丈くん、彼女いるんや・・・)
大橋和也
(えっΣ(゚д゚;)なにこれ)
西畑大吾
あー!はっすんやー!
大橋和也
だ、大ちゃん・・・
西畑大吾
ずっと連絡ないからさぁ!もう風邪は治ったんやろ?
大橋和也
うん、心配かけたなぁ 。ごめんな?連絡もせんと
西畑大吾
ええよ?治ったなら良かったなに?香水探しとんの?
大橋和也
うん、この前看病してくれた人の香りを探したくてな・・・
西畑大吾
(はっすんは、正直者やな)へぇ?看病してくれた人の事そんなに気になるんや
大橋和也
なに?その顔は。まさか大ちゃんまで俺を助けてくれた人の事をしっとるんか?
西畑大吾
おー!もちろん知ってるで?(めちゃめちゃ言いたいんやけど・・・)
大橋和也
えー?だれなん?流星も教えてくれやんかったし・・・。んー、でも【その人】は俺も知ってる人みたいなんやよね・・・
西畑大吾
おー!よく知っとるで?
(知っとるからこそ言いたいのにー)
大橋和也
声からして、【男の人】って言うのは分かるんやけど、全然覚えがなくて・・・その人の顔見とけばよかった。
だから、覚えてるんは香水の香りだけなんや。
少しでも近い香り作れたらなって・・・・
西畑大吾
えー?なにそれ!はっすん!それ恋しとるやん
大橋和也
えー?恋?誰が誰に?
西畑大吾
その香りの人に、はっすんは恋しとる!まるで【初恋の君】・・・みたいな?
大橋和也
・・・・いや、そんなはず・・・
西畑大吾
正直に言うて大丈夫やで?長年の親友やん!
じゃあさ、俺も正直に言うていい?
大橋和也
えっ?ええよ?聞いたろ
西畑大吾
俺今、片思いしとる子がおるんや
大橋和也
えっ?そうなん?好きな子できたんや!
で?で?
西畑大吾
・・・・けど、そいつは男なんや
大橋和也
えっΣ(゚д゚;)
西畑大吾
みんな知ってる。サークルのみんな・・。その好きな子以外
大橋和也
そうなんやな。大ちゃんは俺に1番に報告してくれたんかと思ってた
西畑大吾
あはは!ごめんやで?いやでも、まだ片想いやから
大橋和也
そっか・・・
西畑大吾
俺は、はっすんの恋、応援する
大橋和也
えー?だから、恋とかやないし・・・(多分)
西畑大吾
相手が男でも女でも応援するわ!だって、親友やん
大橋和也
あはは。ありがとな!でも、俺な?実は振られたんや
西畑大吾
えっ?Σ(゚д゚;)振られた?(誰に?秒速?)初耳やわ
大橋和也
だって、誰にもまだ話してへんし
あっ、でも流星には少し話したけど・・
西畑大吾
・・・・・そうなんや、それで?
大橋和也
その子には騙された
西畑大吾
はぁ?騙された?
?
和也くんが、好きです、ここで待ってます!
大橋和也 「そう言われて約束したんやけど、結局来やんかった
西畑大吾
待ち合わせ場所間違えたとか?
大橋和也
それがな?問いただしてみたんやけど・・・・
西畑大吾
うん
大橋和也
けどな?【嘘つき】って泣かれただけやったわ
西畑大吾
そうか辛かったなぁ
大橋和也
雨に濡れたまま寝てしもて、風邪引いたんや
西畑大吾
そんなことがあったんやな。はっすん、辛かったなぁ・・・よしよし。よお、耐えたなぁ
と、俺をよしよししてくれる大ちゃん。相変わらず優しいなぁ。
大橋和也
あっ、でも、その子とは和解できたんや
西畑大吾
へぇ?そうなんや。よかったやん
大橋和也
それよりも、俺のことを、助けてくれて看病までしてくれて、部屋にまで運んでくれた・・・・。そんな親切な人、おるんやなぁ
西畑大吾
だな(急に話変えんでよー(笑))
大橋和也
部屋にまで入って。プリンまで買うてきてくれて・・・
西畑大吾
あはは
はっすんの一生懸命説明してくれる姿がとても可愛らしくて、恋する女の子やった。
大橋和也
一体誰なんやろ・・・
西畑大吾
(はっすんの鈍感さにもうしばらく気づかんふりしとこかな。丈くんにはお気の毒やけど、はっすん、しばらく気づかんわ・・・この調子じゃ(笑))
大ちゃんははっすんの【恋をしている顔】をいつまでも見つめ続けていた。
大橋和也
あっ!そうや!大ちゃん、誰かと待ち合わせしとるんちゃうの?
西畑大吾
そうなんよ!やっとデートに誘えたんや!
大橋和也
ごめん、引き止めてしまったんやない?
西畑大吾
えー?何言うてんの。声掛けたのは俺やで?
大橋和也
そうやけど・・・
西畑大吾
はっすんもさ、すぐそばに居る人のこと、ちゃんと気づくんやで?
大橋和也
はぁ?なにそれ・・・(笑)俺にはそんな人、おらんってば
西畑大吾
はっすんにとって今いちばん大切なひとが誰なんか思い出さなあかんわ
大橋和也
・・・・大切な人・・
西畑大吾
(あかん。やっぱりすぐには気付かへんわ。一生、気づかんつもりか?)
そんな、西畑のムズムズする気持ちを知らないはっすんなのだった。