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帰りの会が終わった。 先生から瑠音の分の課題を貰った。
担任
連午
あいつ、葛原瑠音が来なくなって1年が経とうとしている。
あいつとは保育園からの仲だ。 家が近いこともあってよく遊んだし、小学生の時は4回も同じクラスになった。
笑ったり、泣いたり、沢山遊んだりして、とにかく楽しかったことは覚えている。 でも、中学生になって、状況は変わった。
瑠音はいじめられていたらしい。 違うクラスだったからわからなかったけど、あいつは夏休みが終わっても学校に来ることはなかった。
悔しかった。 何も気付いてやれなかった。
あいつは口は悪いけどいいやつだ。 どこか抜けてて、それでも明るくて、一緒に時間を過ごしても苦じゃなかった。
気付いてやれなかったその罪滅ぼしの為にも、今はあいつの力になることをするしかない。
連午
手に持っているファイルを見つめた。瑠音の家に行っても、何の収穫もない。
ただ虚しく、課題を詰めたファイルを投函する音が響くだけだ。 あいつとは顔を合わせていない。
チャイムを押しても、誰も出ない。 あいつの母親はシングルマザーで仕事が忙しいから、僕が帰る時間帯にもいない。
連午
でも、どうにか瑠音と会いたいという気持ちが心の中で渦巻いていた。
もうすぐ夏休みだ。 地面から這い出る蝉の幼虫のように、瑠音も暗闇から出てきてはくれないだろうか。