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水が尽きるまで

第3話 - 視力の対価

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2022年12月24日

#雪羽　垂

#垂詞

雪羽　垂

天使...尭葉瑠に名前がついた日から１週間が経った。

３日後はついに半月...出発の日だ。

鼓羽紅主

ねぇ、尭葉瑠？

尭葉瑠

はい。

鼓羽紅主

...僕らの姿ってさ、こっちでは普通だけど

鼓羽紅主

人間っぽくはない...よね。

尭葉瑠

どうでしょう...？

尭葉瑠

人間と言うものをじっくり見たことがないので...なんとも言えません...

尭葉瑠

たいして変わらないと思いますが...

鼓羽紅主

そうかな...

鼓羽紅主

一応僕は本で見た人間の姿になれるように練習したんだけど...

鼓羽紅主

あ！尭葉瑠ちょっと見てもらってもいい？

尭葉瑠

私でよければ...是非。

鼓羽紅主

ちょっと待っててね。

鼓羽紅主

お待たせ！

鼓羽紅主

どうかな...？

鼓羽紅主

尭葉瑠

！

尭葉瑠

私が昔見た人間と似てます！凄いです！

鼓羽紅主

！

鼓羽紅主

ありがとう！

鼓羽紅主

じゃあ尭葉瑠も変えようよ！せっかくだし！

尭葉瑠

...ですが、私には神力がありません。

尭葉瑠

姿を変えるのは、神力のある方にしかできない術。
私はこの姿のままでいいですよ。

鼓羽紅主

え？

鼓羽紅主

尭葉瑠は神力あるよ？
もう君は泡じゃない、姿だってあるんだから。

尭葉瑠

え...

尭葉瑠

でも、姿があるだけじゃ...神力とは関係無いですし...

鼓羽紅主

だって、君に「姿」を与えるために僕はこの前君の翼に触れたよね？

鼓羽紅主

あのとき、僕の欠片（宝石）を君に埋め込んだんだ。
だから、僅かだけどその部分の欠片に宿っていた神力は引き継がれたはずだよ。

尭葉瑠

あ...確かに...！

尭葉瑠

...だとしたらあの時落ちていた他の多くの欠片にも神力があったって事ですか？
鼓羽紅主様が倒られた後に...私全部落ちていた物は処分してしまいましたが...

鼓羽紅主

あ～...そんなのは良いって、別に！

鼓羽紅主

それより、ほら！
姿変えてきてごらん、初めてなんでしょ？きっと楽しいよ！

尭葉瑠

...

尭葉瑠

じゃあ、やってみますね！

尭葉瑠

...あの...

尭葉瑠

どうでしょうか...?

鼓羽紅主

ぁ...

鼓羽紅主

（そっかぁ...見れないってこんなに不便なんだ...）

鼓羽紅主

（今まで見れなくても特に苦労したこと無かったからな...）

尭葉瑠

...

鼓羽紅主

！

いきなり指に柔らかいものが触れた。急な出来事に驚き、思わず手を振り払ってしまう。

尭葉瑠

大丈夫です、これは私の髪ですから。

鼓羽紅主

髪...？

尭葉瑠

手を貸してください。

鼓羽紅主

え...うん？

次に触れたのは弾力のある冷たい肌輪郭からして小顔であることが分かる。

鼓羽紅主

...たれ目

尭葉瑠

そうです。
鼓羽紅主様が切れ目でしたので、私はたれ目にしようかと思って...

次は布のような部分。服だろうか...この形状の物は人間界の物のようだ。本に書いてあった「ネクタイ」のような物もあるようだった。

尭葉瑠

...見ていただきたかったです。

鼓羽紅主

あ、ごめんね。
なんせ何百年も参拝人がいなかったから視力も後退しちゃってて...

尭葉瑠

...あ！

尭葉瑠

それは神力では治せないのですか？

鼓羽紅主

やったことないなぁ...

鼓羽紅主

あ、そうだ！彼ならなにか分かるかも！

尭葉瑠

彼？

鼓羽紅主

うん！
ちょっと着いてきて！

尭葉瑠

...ずいぶん暗い場所ですね

尭葉瑠

この先に誰かお知り合いでも？

鼓羽紅主

うん。

鼓羽紅主

たぶんまだ居るはずなんだけど...

鼓羽紅主

[壁に触れる]

尭葉瑠

？

鼓羽紅主

！

鼓羽紅主

नी:पुबयजैोक्ष*"'वीौग'-:
कुदचर"*कलॉीाो*मरग*परतसलरुपि

尭葉瑠

？

尭葉瑠

（植物の神語を何故、鼓羽紅主様が...？）

ギィィィィｨｨ

尭葉瑠

！（扉が空いた...！）

植悪寡

...鼓羽紅主か？

鼓羽紅主

うん！開けてくれてありがとう

植悪寡

そいつは誰だ？

鼓羽紅主

？

鼓羽紅主

あ、この子は僕の側近になった尭葉瑠。
水神様のとこの子だったんだけど、人間界に僕と一緒に来てくれるって言うから。

植悪寡

...だから、お前も人間の姿をしているのか。

鼓羽紅主

うん。

植悪寡

...何の用だ？

鼓羽紅主

...僕に視力を分けてくれないか？

尭葉瑠

植悪寡

...支払いは？

鼓羽紅主

...後払いじゃダメ？

植悪寡

支払いは？

鼓羽紅主

わかったわかった、これでいい？

植悪寡

！

尭葉瑠

...それは？

不思議そうに首をかしげる尭葉瑠とは逆に、植悪寡は目を輝かせた。僕の手にある物の価値が分かる者はごくわずかだった。

植悪寡

いいだろう、充分だ！

植悪寡は急に上機嫌になると、丁寧に僕の手から「それ」を取り上げた。

鼓羽紅主

それが最後だから、大切に使ってよ？

植悪寡

ああ。

植悪寡

じゃあ約束通り視力をやろう。
どのくらい欲しい？

鼓羽紅主

最低でも３前後は欲しいな。
左右両方とも。

植悪寡

構わない。

植悪寡

明日お前のところに行ってもいいか？

鼓羽紅主

うん。

植悪寡

じゃあ、明日視力を提供できるように準備しておく。

鼓羽紅主

ありがとう！

植悪寡

...礼を言うのはこちらのほうだ。
まさか「あれ」がこんなに手に入るなんて...嬉しいかぎりだ。

鼓羽紅主

...良かったね！

鼓羽紅主

じゃあまた明日！

鼓羽紅主

帰るよ、尭葉瑠。

尭葉瑠

...鼓羽紅主様、先ほどのあれは一体...？

鼓羽紅主

さぁ？なんのことかな？

鼓羽紅主

さ、帰ろう！

尭葉瑠

...はい。

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雪羽　垂

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