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日本国退去

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日本国退去

1 - 1章 閉ざされた日本国

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2024年01月09日

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皆さんは、自衛隊と言われると何を想像するだろうか?

多くの人は、災害が起きた時は救助をし、有事が起きた際は国民の盾になる存在だ。っと答えるだろう。

しかし、私は自衛隊員でありながら一回も国民を助けたり守ったりしたことがない。

災害派遣をされたことはあるが、被災地で人々を助けたことがない。 いや……違う……

‪”‬助けに行かないんだ……‪”‬

そう、私は助けに行かない。足がすくむ‪‪…怖くて助けに行くことができない…

目の前には助けを求める人達がいる。なのに私はいつも他の隊員に救助を任せる。自衛官でありながら…最悪な人間だ。

そして、上官に叱られる。

当たり前だ。自衛官でありながら職務を放棄している。

そんな私がなぜ自衛隊に入隊したのか…それは‪”‬この国が好きだから…‪”‬

私は幼い頃から日本が大好きだった。だから日本を守りたいと思い自衛隊に入隊した…なのに…守れてないよね…私…。

そして私は逃げるように所属部隊を変更し、海上自衛隊に転属した。

海から日本を守る毎日…。災害派遣をされた時は物資を運ぶことが主な任務だから、直接人を助けに行くことはない

私は海上自衛隊員として日々、海洋での訓練に取り組んでいる。

しかし、日本がこんなことになるなんて……誰も思ってもいなかっただろう…

【神奈川県 海上自衛隊 横須賀基地。】私は護衛艦の甲板で少し休憩をとっていた。

麗華

ふぅ…やっぱり、まだ海上自衛隊に慣れないな…

麗華はため息をつき、横須賀基地の護衛艦を眺める。

麗華

海上自衛隊に転属はしたけど…まさかこんな大きな基地に転属が決まるとは思わなかったな…

その時、護衛艦の船務長の大和が麗華に話しかける。

大和

やぁ、麗華。こんなところで休憩か?

麗華

や、大和船務長。すみません…。少し横須賀基地の護衛艦を見てました…

大和はニヤニヤしながら護衛艦見る。

大和

あぁ。横須賀は海上自衛隊の中でもかなり大きな基地だからな。世界最強の米艦隊‪の‪”‬第七艦隊‪”‬が所属していることも有名だな。

麗華

第七艦隊…知ってます。世界最強クラスの航空母艦‪”‬ロナルド・レーガン級空母が一隻とアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が三隻以上…。陣形や戦術が世界最高峰なんですよね…

大和は少し驚いた様子を見せる。

大和

おぉ…よく知ってるな…

麗華

私の友人に、第七艦隊の艦艇に所属している友人がいるので…よく話を聞いていました。

大和

第七艦隊所属の友人って…すげぇな!今度俺にも紹介してくれよ!

麗華は微笑する。

麗華

はい。今度改めて紹介させてもらいますね!

田村(艦長)

ちょっといいか…?

大和と麗華はすぐに敬礼する。2人の前には護衛艦の艦長 田村が立っていた。

大和

田村艦長…どうかされましたか?

田村(艦長)

説明は後だ。ひとまずミーティングルームにこい。

田村は少し慌てて護衛艦の艦内に入ってゆく。麗華と大和もミーティングルームに急ぐ。ミーティングルームには多くの自衛官が集まっていた。麗華と大和も席に着く。

田村(艦長)

まずは、この画像を見てほしい。

ミーティングルームの中央モニターに東京、神戸、福岡の都市にそびえ立つ巨大な柱の画像が映し出される。それは人が作り出したものではなかった。

大和

!?

麗華

田村艦長…この画像は…?

田村(艦長)

あぁ。航空自衛隊が撮影したものだ。現在東京、神戸、福岡の3つの都市にそびえ立っているらしい。

大和

そんな物が…どこから…?

田村(艦長)

東京都民の証言によると、突然地面に穴が開きそこから出てきたらしい。

麗華

地面に穴が…?

田村(艦長)

現在、警察と海上保安庁が対応しているが自衛隊全部隊にも待機命令が出た。各員、いつでも出航できるように用意しておけ。質問のある者はこの場で手を上げろ。

麗華は手を上げる

麗華

万が一、国民に被害が及んだ場合。我々はどう対応するんですか?

田村(艦長)

最前線での対応は陸上自衛隊がおこなうだろう。我々は護衛艦に国民を1人でも多く乗せ日本から退去することだ。

大和

我々の目的は…敵の排除では無いのですね…?

田村(艦長)

いや、現状を言うとまだ分からない。敵の形や姿も分からないんだ。もし陸上自衛隊の装備が劣るなら、我々は海洋からの援護という形になる可能性もある。

麗華は息を飲む。万が一、自衛隊が動くならば麗華は国民を守るために戦わなければいけないからだ。人を1人も助けたことがない麗華にとっては戦闘は想像すらできないものだった。

田村(艦長)

まぁ、今は警察と海上保安庁が対応しているから我々は政府の指示を待つのみだ……。他に質問があるやつは?

誰も手をあげない

田村(艦長)

質問はないな…各自持ち場につけ!解散!

部屋にいた自衛官は部屋を出て自分の持ち場に戻っていく。麗華はCICに戻り気持ちの整理をしていた。

CIC(戦闘指揮所)

麗華

(大丈夫…大丈夫だから…私…。自衛官なんだから……国民を守らないと…)

麗華は心の中で自分に語りかける。

大和

どうした?浮かない顔して。

麗華

大和船務長…。実は私…

麗華は今までの自分の自衛隊での経緯を説明する。自分が人を助けたことがないこと、いつも他の隊員に救助を任せていたこと。

大和

人を1人も助けたことがないと…

麗華

はい…自衛官でありながら情けないです…申し訳ありません…

大和

なんで俺に謝るんだ?

麗華

え…?

大和

俺の方が上官だからか?それは違うと思うぞ

麗華は大和の言葉に息が詰まる。

大和

謝らず…助けを求めている人達に手を差し伸べろ…麗華1人で助けている訳じゃあないだろ?なんのために仲間がいるんだよ…

麗華

はい…

大和はそういい、モニターを再び見る。彼女はなんとも言えない感情になっていた。

その時、CICに田村が勢いよく入ってくる。

田村(艦長)

メインモニターにニュースをうつせ!はやく!

大和は急いでメインモニターにニュースをうつす。そこには上空から映し出され、青色に光るあの巨大な柱が映されていた。

ニュースキャスター

信じられますでしょうか!突如現れた巨大な柱が青色に光り輝いています!

巨大な柱は神々しく街の中心にそびえ立ち青色に光っている。

大和

光って…やがる…こいつはどうやって…発光しているんだ…?

田村(艦長)

分からない…だが、いい予感はしないな…

日本国 官邸。 内閣府緊急閣議

会議室にSPを連れた総理大臣が入ってくる。

総理

誰か、現状を説明したまえ。

国土交通大臣

はっ。現在、柱は東京、神戸、福岡の都心部の中心にそびえ立ち謎の光を発しています。

国土交通大臣

発光に備え、警視庁のSAT(サット)と海上保安庁のSSTを派遣しました。

総理

国民の避難経路はどうなっている。

国土交通大臣

はっ。現在、柱を中心に5キロメートル範囲に住む国民に避難指示を出しました。現在、柱の5キロメートル圏内には国民はおりません。

総理

早い対応ご苦労。外務大臣、アメリカと中国はなんと言っている。

外務大臣

はい。現在アメリカに連絡を取りましたところ、アメリカは‪”‬いざとなれば在日米軍に出動派遣を要請する‪”‬とのこと。中国は、協力する気はなく…いざと言う時は自衛隊で解決しろとのことです。

総理

分かった…。アメリカと中国に私から直接話そう…。防衛大臣。

防衛大臣

はい。

総理

福岡県、及び兵庫県、東京都、神奈川県、京都府に配属されている全自衛隊部隊に出動待機を命じてください。

防衛大臣

了解いたしました。

神奈川県 横須賀港 海上自衛隊 基地

大和

麗華。

麗華

はい。なんでしょう?

大和

横須賀基地の自衛隊部隊に出動待機が命じられた。

麗華

!?

大和

もちろん。俺たちも出動に備えて準備する。まさか俺たち(自衛隊)が動くことになるとはな…

麗華

わ、分かりました。

その時、護衛艦に艦内放送がながれる。

田村(艦長)

艦長の田村だ。各員聞いていると思うが…横須賀の自衛隊部隊にも出動待機が命じられた。各員、持ち場につき準備しておけ。以上だ…。

その時、少し護衛艦が揺れる。

麗華

あれ?横須賀の海流ってこんなに荒くないですよね…?

大和

やばい予感が…

大和と麗華は護衛艦の艦橋から東京方面をみる。すると東京の柱があった位置から青い巨大な光の柱が発しられている。

麗華

な…なんですか…?あれ…?

大和

分からねぇ…あの柱…何する気だ…?

日本国 官邸 内閣府緊急閣議

国土交通大臣

総理!ただいま、海上保安庁のヘリから報告がありました!

国土交通大臣

東京都、福岡県、兵庫県の都心部にそびえ立っていた柱が突如巨大な閃光を発し、3つの柱がそれぞれの閃光を繋ぎ日本のEEZ(排他的経済水域)内を謎の結界でおおったとのこと!

総理

何!?

国土交通大臣

結界は電磁波のようなもので形成されていて外に出ることが不可能とのこと!

総理

つまり…日本国全体が鉄壁の壁で覆われ閉ざされたと…

総理

防衛大臣

防衛大臣

はっ。

総理

出動待機を命じていた自衛隊部隊に‪”‬防衛出動‪”‬を命じてください。なお、他の部隊は国民の安全を守るため国民の避難誘導を命じてください。

防衛大臣

了解いたしました。

総理

国土交通大臣

国土交通大臣

はっ。

総理

柱の10キロメートルに住む全国民に避難指示を発令してください。

国土交通大臣

分かりました。

神奈川県 横須賀基地

護衛艦 CIC。 CICの隊員はメインモニターにニュースをつける。

ニュースキャスター

えー。先程、内閣府の緊急閣議により自衛隊に戦後初の‪”‬防衛出動‪”‬が命じられました。総理が柱に対して武力攻撃を命じたのです。

CICの空気は緊張で包まれる。

麗華

ぼ……防衛出動…

大和

こいつは…大事になったな…

その時、護衛艦の艦内放送がなる。

田村(艦長)

艦長の田村から達する。防衛出動が下令された。本艦はこれより、出航し東京湾に向かう。各員持ち場につけ!

護衛艦艦内は慌ただしくなり港から抜錨し、横須賀基地を出る。

CICに田村が入ってくる。

田村(艦長)

対空、対潜警戒を厳となせ!

隊員

艦橋からCICへ。東京湾に入りました。本艦前方に目標(柱)も視認。

田村(艦長)

了解…対空戦闘用意!

大和

対空戦闘用意!

田村(艦長)

VLS 1、2番管!発射用意!

麗華

VLS 1番2番管…発射用意よし。

田村はつばを飲む。CICにはかつてない緊張が走る。

田村(艦長)

対空戦闘…CIC指示の目標、VLS うちー方始め!

大和

てぇ!!

護衛艦から二発のミサイルが放たれ東京にそびえ立つ柱に向かう。柱は今もなお頂点から閃光を発している。

麗華

着弾まで…5、4、3、2、1……ミサイル着弾!

田村(艦長)

艦橋、目標を確認せよ。

隊員

艦橋よりCICへミサイルは着弾。しかし効果は認められず

田村(艦長)

なんだと…

大和

ミサイルが…効かない…?

田村(艦長)

防衛省に報告。我が護衛艦の対地ミサイルが無効。航空自衛隊の協力を要請。

大和

了解いたしました。

田村(艦長)

ひとまず、安全のため東京湾からでる。とり舵いっぱい!右源フタ十度ヨーソロー!

護衛艦は半円を海面に描くように旋回し東京湾からでる

内閣府

防衛大臣

総理!

総理

防衛大臣…どうかしたか?

防衛大臣

海上自衛隊の護衛艦から報告がありました。

総理

柱に攻撃を実施したのか!

防衛大臣

はい…しかし、護衛艦の対地ミサイルが効かなかったそうです…

総理

そうか…。松島基地の空自戦闘機に攻撃要請を出す。

総理

それと…

防衛大臣

はい…

総理

日本国民全員に…

日本国退去を命じる…

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