⚠︎nmmn注意⚠︎ ⚠︎キャラ崩壊注意⚠︎ ⚠︎誤字脱字注意⚠︎ ⚠︎神様パロ⚠︎ ⚠︎ちょっとだけおふざけ⚠︎
主
主
主
黒猫は街を歩き、願いを壊す
六奏神社の朝は、どこか懐かしい匂いがする。
清められた空気と、風の神すちが掃いたばかりの境内の土の匂い。
屋根瓦に落ちた露は光を受けてきらきらと輝き、社の奥ではらんの祈りが静かに響く。
そんななか――
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声の主は、六柱のひとり・いるま。
人の姿では紫髪に月のような瞳をした青年だが、今は黒猫の姿をしている。
夜の闇をぎゅっと濃縮したように艶やかで、尻尾だけは少し長く、先がふわりと揺れる。
こっそり神社の裏に開いた小さな“抜け道”から、ひょいっと外へ飛び出す。
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猫の姿で伸びをすると、背中がしなやかにしなる。
神様とはいえ、長いあいだ社にこもっていると気が詰まる。
いるまはこっそり街へ出るのが昔から好きだった。
神社から少し離れた街は、朝の気配に満ちていた。
通勤途中の大人たち、制服姿の子どもたち、自転車のブレーキ音にパン屋の香り。
いるまは黒猫だからか、誰からも“ただの猫”だと思われる。
これが実に都合がいい。
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尻尾を左右に揺らしながら歩いていると――
女子高生がしゃがみ込み、目を輝かせる。
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心の声は猫の姿では届かないから、代わりにお腹を見せてコロンと転がる。
少女の顔がぱあっと明るくなる。
頭を撫でられ、顎をくすぐられ、尻尾をつままれ、いるまはご満悦で喉を鳴らした。
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人間ってほんとチョロ……いや、素直でいいよな〜
何人かに撫でられ、飴を差し出されそうになり、パンをくれるとまで言われ、いるまは内心で笑う。
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ひとしきり撫でられたあと、いるまは尻尾を立てて歩き出した。
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坂を下り、住宅街を抜け、街の中央病院へ向かう。
猫の姿のまま正面玄関へは行けない。
いるまは慣れたように建物の裏へ回り、外壁をぴょんぴょんと登り、二階の廊下のひさしの上へすいっと上った。
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黒猫の身体は軽い。
人間のときよりも数倍自由だ。
そのまま狙うのは――
病室の“外側”。
神様といえど、いきなり姿を現して病室に入るのは禁忌だ。
六奏神社の神さまたちは、決して人前に神の姿を直接晒してはならない。
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だからいつも、窓の外からこっそり祈る。
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目的の病室は418号室。
カーテンの隙間から、中の男性が見える。
痩せて、酸素マスクをつけ、点滴に繋がれ……とても長くはない状態。
ふう、といるまは息をつく。
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黒猫の瞳が細くなる。
紫色の光が、その奥に静かに揺れた。
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尻尾が小さく揺れる。
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小声でふざけつつ、窓枠に前足をかける。
神様であるいるまの能力は――創造と破壊。
世界にあるあらゆる“形”を創り出し、世界にあるあらゆる“歪み”を壊すことができる。
その力は、時に人の病に対しても行使できた。
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黒猫の姿のまま、いるまは小さく鳴き、
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同時に、小さな祈りを落とす。
紫の光が、病室の壁をすり抜けて患者の身体へ届く。
癌という“異物”だけを、静かに、確実に、跡形もなく壊す。
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軽口の裏に、ちゃんとした想いがある。
……死ぬにはまだ早ぇよ
お前の絵馬、なつとみことが持ってきたんだからな
黒猫の耳がふるりと揺れる。
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ひさしから飛び降りようとした、その瞬間――
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病室のベッドの横。
患者の枕元に、小学生くらいの女の子が泣きながら置いたであろう折り紙の鶴が落ちていた。
折り直したい衝動がこみあげる。
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くしゃくしゃだった折り鶴がふわりと形を整え、美しい紫の光を一瞬だけ纏った。
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満足してくるりと背を向け――そのまま病院の屋根へ軽やかに降り立った。
帰り道。
いるまはしばらく猫のまま町を散歩した。
いいよな〜……人間って、ちゃんと誰かを想って生きてんの
願いも祈りも、全部“誰かのため”なんだもんな
そんなふうに考えていると、
パンを片手にした男の子が手を振る。
あ〜……まただ
また撫でられる流れだこれ
だが、足を止める。
男の子は病院の方を見つめていた。
その言葉に、いるまの尻尾がぴくりと揺れた。
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でも声には出せない。
ただ男の子の足元に擦り寄り、軽く尻尾で靴を叩いた。
少年が頬を緩める。
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いるまは小さく鳴き、歩き出した。
神社に戻ったのは昼過ぎ。
こさめは屋根の上で昼寝、なつは絵馬の整理、みことは茶を淹れている。
いるまは猫の姿のまま、そっと縁側に上がる。
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すちが気づく。
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慌てて物陰に飛び込む黒猫。
すちはため息をついた。
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情けない声で泣きながら丸まった。
黒猫は街を歩き、願いを壊す
コメント
2件
いるまくんがチョロいって言いかけたのと台本が出てきたところで ずっと笑ってましたwwww いるまくんいくら神とはいえ優しすぎん!? 続き楽しみにしてます!!!
いるまくんが可愛すぎますww マジで神作すぎて好きです!