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33 - にぃにのおまじない

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2025年09月16日

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あづは、お部屋の小さなベッドの上で、 くるくる足を揺らしていた。

窓の外は、ぽつぽつと雨が降っている。

紫合 あづ

(にぃにはね、つよいの。すごいの!)

紫合 あづ

(だって、おまじないができるんだもん!)

机の上には、兄が作ったという

「おまじない守り」の袋が置かれている。

紫陽花の小さな飾りがついている。

紫合 あづ

おまじないさん、おまもりしてね〜

小さくお祈りするあづ。

トントン…扉が開いて、黒いワイシャツを着た介が顔を出す。

紫合 介

あづ、まだ起きてたの?

紫合 あづ

にぃに〜!

紫合 あづ

おまじない、行ってくるの?

紫合 介

うん。すぐに帰ってくるから、いい子に待ってて。

介は優しく微笑んで、あづの頭を撫でる。

あづは、ふわふわと笑って、兄の手に両手を重ねる。

紫合 あづ

がんばってね〜♪

紫合 介

…うん、あづのためだからね。

介は、いつもそう言う。

あづは…それが嬉しい。

兄が出ていったあと、あづはベッドからそっと降りて、窓のそばまで行く。

紫合 あづ

(にぃにのおまじないは、お外でするんだって!)

紫合 あづ

(むずかしいのかなぁ?)

雨の夜道。 遠くの小さなお山に、小さく懐中電灯の光が揺れている。

紫合 あづ

にぃに、がんばって〜

あづは、手を振るように、窓をぺたぺたと叩く。

一方、その向こうで──

兄は藁人形を手に、ゆっくりと、

静かに…釘を打っていた。

紫合 介

…紫合家の名にかけて──

もちろん、あづには…そんな呪文の言葉は聞こえない。

紫合 あづ

(にぃにのおまじないは、きっと、お友だちが増えるおまじないかも!)

紫合 あづ

(あづに、いじわるなひとが来なくなるおまじない、だもんね)

紫合 あづ

(にぃに、すごい!)

あづは、嬉しそうに笑って、またベッドに戻る。

紫合 あづ

おやすみなさい、にぃに…。

…外では、最後の釘の音がコツン、と鳴った。

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コメント

2

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最後の釘の音って、あづちゃんは聞こえたのかな?浅い考察が止まらないぜ

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