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最後の釘の音って、あづちゃんは聞こえたのかな?浅い考察が止まらないぜ
あづは、お部屋の小さなベッドの上で、 くるくる足を揺らしていた。
窓の外は、ぽつぽつと雨が降っている。
紫合 あづ
紫合 あづ
机の上には、兄が作ったという
「おまじない守り」の袋が置かれている。
紫陽花の小さな飾りがついている。
紫合 あづ
小さくお祈りするあづ。
トントン…扉が開いて、黒いワイシャツを着た介が顔を出す。
紫合 介
紫合 あづ
紫合 あづ
紫合 介
介は優しく微笑んで、あづの頭を撫でる。
あづは、ふわふわと笑って、兄の手に両手を重ねる。
紫合 あづ
紫合 介
介は、いつもそう言う。
あづは…それが嬉しい。
兄が出ていったあと、あづはベッドからそっと降りて、窓のそばまで行く。
紫合 あづ
紫合 あづ
雨の夜道。 遠くの小さなお山に、小さく懐中電灯の光が揺れている。
紫合 あづ
あづは、手を振るように、窓をぺたぺたと叩く。
一方、その向こうで──
兄は藁人形を手に、ゆっくりと、
静かに…釘を打っていた。
紫合 介
もちろん、あづには…そんな呪文の言葉は聞こえない。
紫合 あづ
紫合 あづ
紫合 あづ
あづは、嬉しそうに笑って、またベッドに戻る。
紫合 あづ
…外では、最後の釘の音がコツン、と鳴った。