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『放課後屋上にきてください』 数学のノートにはさまれたメモ。 久しぶりの呼び出しだ。 高校に入ってこの格好になってからは、絡まれることも減ったのに。 目が隠れるくらいの長い前髪。 適当に結ばれたおさげ。 黒ぶちメガネに、ふくらはぎまである長いスカート。 着飾ることしか脳のないキラキラ女子たちに絡まれないように、出来る限り地味な格好で過ごす。 昼休みや放課後もなるべく図書館で自習をする。 そうすれば誰も私に話しかけてこないから。 こうして私は自分を守ってきた。
かりん
無視することも出来るけど、それでさらに反感を持たれても面倒だ。
かりん
そう思い私は屋上へ向かった。
屋上への扉はいつも施錠されているから人気(ひとけ)がない。 ためしにドアノブを回してみたらドアが開いた。
かりん
さとみ
そう言って爽やかに笑うこの男、桃瀬さとみ。
かりん
てっきり女子たちに囲まれて、いちゃもんつけられるのかと思っていた。
さとみ
かりん
なにかを頼まれるほど彼とは親しくないんだけどな。
さとみ
後ろで誰かが吹き出した。 振り向いてみても人の姿は見当たらない。
さとみ
ああ……、そういうことか。 おそらく罰ゲームかなにかだろう。 さっき吹き出したのは桃瀬くんの友達で、隠れて様子を見ているのかな。
さとみ
なんて、本当は断って欲しいんでしょ?
かりん
さとみ
かりん
断られると思っていたからだろう、私からのオーケーの返事に慌てている
かりん
私が頭を下げたらつられて桃瀬くんも頭を下げた。
さとみ
かりん
そう言うと私は屋上を後にした。
かりん
慌てふためく桃瀬くんの顔を思い出して、ちょっとだけスッキリした